Yahoo! JAPAN

静岡『しずてつストア 長泉店』~富士山麓で交差する地元美食素材と食文化~

さんたつ

静岡のご当地スーパーといえば『しずてつストア』と『遠鉄ストア』。今回は静岡の東側に広がる『しずてつストア』を訪ねました。これぞ本場の本気! 売り場の棚には、かつお、いわし、さばなどの削り節各種がずらり。さて、お店の中をのぞいてみましょう。

しずてつストア 長泉店

今回のゴーゴー!

『しずてつストア 長泉(ながいずみ)店』(静岡県長泉町)

同じ県内でも、食文化が異なるということを地元や旅先で経験したことがあるかもしれません。東西に広い静岡県では、食文化の境目がスーパー分布図にも重なります。県内2トップの鉄道系ご当地スーパーの分布は、おおよそ大井川周辺に境界線があり、その東側に広がるのが33店舗を誇る『しずてつストア』です。

本拠地は静岡市ですが、今回訪れた『しずてつストア 長泉店』は、静岡の中部と伊豆半島を含む東部の食文化が混在する三島エリアにあるため、幅広い品ぞろえのなかに局地的なご当地の味も見つけることができる、楽しみの多い店。とりわけ私が気に入っているのは、この店の駐車場から外観を見たとき、大きなガラスに映り込む富士山の姿です。外側から旅情を掻き立てられるご当地スーパーは、そう多くはありませんので。

入ってすぐ、見るからにイキイキとした野菜が目に入ります。野菜にも地元感! しずてつには、契約農家と協力し販売する低農薬栽培の野菜が豊富。さらに乾物売り場の棚には多数の削り節があり、地元商品たっぷり。厚削りのかつお節はおやつやおつまみに、いわしの削り粉は地元では焼きそばに使います。

新しいごちそうも発見! しずてつのPB(プライベートブランド)の一つ「富士山グルメディッシュ」は、静岡産原料を使用または地元の名店とコラボレーションした冷凍食品。ピザも食材に恵まれた静岡の味が満載です。

広くて明るいイートインコーナーで、購入したご当地食を味わうのもいいし、三島駅前の公園や三嶋大社周辺でのんびりいただくもよし。ちなみに『しずてつストア 長泉店』に近い三嶋大社は、源頼朝と北条政子ゆかりの地。一方、しずてつ本拠地の『しずてつストア 新静岡セノバ店』の目の前は、徳川家康ゆかりの駿府城公園。大河ドラマの聖地巡礼をしながら、“しずてつ”めぐりというのも楽しいに違いありません。

お土産にもぴったりのご当地定番商品

お土産っぽい富士山デザインの商品は少なめの店内。毎日本物を拝めるから? “ソウルフード”と呼ばれる地元メーカーの定番品は、見た目も中身もシンプルで素敵!

地元の有名人・清水次郎長ゆかりの名がついた「石松鍋」は、「病気のときのお楽しみ」的存在の桜えび天入り鍋焼きうどん。ちびまる子ちゃんの口癖「いけずぅ」は、当時の同社CMのフレーズなのだ。
駿河湾の幸、桜えびとたたみいわしは常備食。青海苔入りたたみいわしも。
こだわりの原料と製法のホワイトシップ印「まぐろ油漬」は県民が誇る味。地元・由比(ゆい)缶詰所製の高級品で贈答需要にこたえ、セット商品もある。
「富士山マコロン」。近くの三嶋大社前の老舗菓子店・兎月園(とげつえん)製で、銘菓「三島ざくら」も美味。
地域の名産「蒲原鰯削りぶし」のぶっかけご飯はゲキうま!

ここだけにしかないオリジナル商品

しずてつPBは「選味鮮価」が目印。独自に開発したオリジナル品としずてつストアの厳選品で構成され、地元で愛される味も多いのです。

「選味鮮価 東伊豆産ニューサマーオレンジジャム」が涼やか。静岡産いちごやブルーベリーなど、地域の果実ジャムがそろう。
タマネギがさわやかな「選味鮮価 オニオンソース」は、県民が愛する味を追求。
「選味鮮価 オニオンソース」は、こんだてやスタッフ・高田孝枝さんのおすすめ!
台湾発の新食感ドーナツBobiiBobiiは、外はサクッ、中はモッチリ食感。写真は地元の「結苺(むすびいちご)」を使った期間限定品。
「選味鮮価 無りん黒はんぺん」は、希少なハダカイワシを原料に保存料不使用の本格派、でこの価格!?

イベントに注目!

この日は、静岡放送の番組『ヨエロスン』の山田さんとえり奈さんなど出演者が来店。番組が勝手に応援する「ハム」ソングを披露し、番組コラボの台湾ドーナツも対面販売。ワインセミナーなども開催しています。

『しずてつストア 長泉店』の詳細

しずてつストア 長泉店
住所:静岡県長泉町中土狩325-4/営業時間:9:30~21:00/定休日:無/アクセス:東海道新幹線三島駅からバス3分の中土狩東下車、徒歩3分

取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2023年5月号より

菅原佳己
スーパーマーケット研究家
執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。

【関連記事】

おすすめの記事