物語で「期待」を裏切る方法は?【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】
NO.21 期待【きたい】[英:Anticipation]
【意味】
ある物事が実現することを心待ちにすること
【類語】
希望 希求 所期 願望 本望 見込み 待ち望む こいねがう ホープなど
体(フィジカル)の反応
周囲を行ったり来たりと落ち着きのない行動に出る唇を噛む何度も時計を見やるスマホを頻繁に確認する手足が震える手汗をかく前のめりな姿勢になる相手を質問攻めにする目がキラキラと輝く食事が喉を通らなくなる足を踏み鳴らす髪の毛をよく触る自分の手をぎゅっと握る鼓動が速くなる呼吸が浅くなる
心(メンタル)の反応
ソワソワする集中力が低下するポジティブな思考ネガティブな意見が耳に入らなくなる成功したときの自分の姿を妄想する喉が締めつけられるような感覚人の言動に敏感になる気が焦る時間の経過を遅く感じる感情が高まりすぎないよう気持ちを抑えこむ情緒が不安定になるまわりの人と積極的に関わろうとする
主人公の「期待」通りに運ぶのはたった一度きり、ラストだけに
何かを願い、望む「期待」は、人の感情で大切な役割を担っています。人は「期待」を抱くからこそ、明日も明後日も前向きに生きようと気持ちを新たにできます。もしも「期待」するものが何ひとつなければ――そんな日常が楽しいと思えますか?
答えはNOですね。
「期待」がなかったり、もしくは「期待」外ればかり続いたりすれば、誰でも生きているのが嫌になってしまいます。
が、物語の主人公に関してはどんどん「期待」を裏切り、次々に失望と絶望を与えましょう。「期待」通りに進む主人公を見ていても、読者はちっとも楽しくありません。度重なる苦悩と痛苦でどん底に落ち、そこから努力と友情で勝利を掴むからこそ楽しいのです。
つまり、物語において主人公の「期待」通りに事が運ぶのは、たった一度きり、しかもここぞという、ラストで成就させましょう。これこそ読者が「期待」するハッピーエンドの理想形なのです。
「期待」を裏切る連続展開からの「やったー!」が効果的
【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅