川崎市介護・福祉 離職防止へカスハラ窓口 暴言など迷惑行為受け
川崎市は4月1日、市内の介護・障害福祉事業所向けのカスタマーハラスメント(カスハラ)相談窓口を新たに設置した。市の調査では、介護・福祉職員らの約3割が暴言を受けたなどの被害報告があり、職員が離職する原因の一つになっている。市は支援体制を整え、人材の定着を図りたい考えだ。
カスハラは、顧客や取引先などが企業や従業員に対し社会通念上不当な要求や言動を繰り返し、労働者の就業環境が害される行為。暴行や暴言、脅迫などが挙げられる。
市が実施した介護労働者実態調査によると、仕事中に利用者やその家族から「暴言」を受けたと回答した職員の割合は28・9%に上り、「暴力」を受けた経験があるとの回答も11・6%だった。具体的には、「ばかやろう」などと大声で暴言をうけた、定められた生活援助以上のサービスを要求された、脅しや唾をかけられたといったカスハラが報告されている。
新たに開設する相談窓口では、介護・障害福祉にかかわる従事者や事業所からの相談を、警察OBでハラスメント対策に詳しい相談員が受け付ける。知識を生かし被害を受けた時の対応方法や予防策を助言し、法的な対応が必要な場合は法律相談にも取り次ぐ。職員が精神的に追い詰められ退職や休職に追い込まれることのないよう、助言を通して心理的な負担軽減につなげていく。
窓口は、市福祉人材バンクのウェブサイト上に設け、メールまたは電話で受付。電話相談は平日の午前9時から午後7時まで、メール相談は24時間対応する。市の高齢者事業推進課は「安心して働き続けられる職場環境を整えることで、人材を確保し、質の高い介護福祉サービスの提供につなげたい」と話す。
相談窓口の設置を要望してきた川崎市介護支援専門員連絡会の出口智子代表理事は「現場の被害は深刻。相談窓口が設置されたことは問題解決の第一歩になる。専門的な対応について相談できることは、職員が問題を抱え込むことの防止につながり、離職対策、人手不足の解消にもなる」と期待を寄せる。