【倉敷市】【5/25(日)開催】倉敷ひまわり号尾道の旅 ~ 障がいのある人とボランティアが、手を取り街をつくる旅に参加しよう
倉敷市では、1985年から障がい者と医療・福祉の専門家やボランティアがともに貸切列車で一日旅行を楽しむ観光列車「ひまわり号」が毎年運行されています。(新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症拡大対策の影響で中止した年もあり)
2025年も5月25日(日)に倉敷駅を出発し、広島県尾道駅との間を運行する予定です。当日は、障がいのある当事者1名につき1~3名のボランティアが同行してともに旅をします。
倉敷ひまわり号尾道の旅では、現在障がいのある参加者とボランティアを募集中です。
申込締切は以下のとおりです。
・障がいのある当事者は4月15日(火)
・ボランティアは4月30日(水)
・当日に向けてどのような準備が進められているのか?
・ひまわり号の企画趣旨や活動内容とは?
・応募方法は?
下見調査のようすや、ひまわり号事務局のインタビューを紹介します。
「倉敷ひまわり号尾道の旅」とは
ひまわり号は、1982年に東京で始まった障がい者専用の貸切団体列車です。
当時は、列車や駅のバリアフリーが現在ほど普及しておらず、障がい者にとって列車に乗って旅することには多くの困難がありました。
そのようななか、障がい者やその家族・ボランティア・労働組合が中心となって「ひまわり号」の運行が始まり、全国に普及。倉敷市では、1985年に初めてのひまわり号が倉敷駅から広島駅間で運行されました。
2024年は兵庫県の姫路駅へ向かった倉敷ひまわり号。38回目の運行となる今年は、広島県尾道市へ向かいます。
乗車申込の案内
倉敷ひまわり号尾道の旅の募集人員、運行日程、参加費、参加申込方法、申込締切などについては、以下の画像を確認してください。
障がい者の参加条件は、倉敷市内およびその近郊に在住し、以下の障害者手帳を所持する人です。
・身体障害者手帳
・療育手帳
・精神障害者保健福祉手帳
募集しているボランティアは、以下のとおりです。
・介助ボランティア
車椅子や目の不自由なかたと一日一緒に旅を楽しむ
・設営ボランティア
車内の仮設トイレやベッド、おしめ交換所などを設置。朝早くから最後まで参加必須
・レクボランティア
歌や腹話術、人形劇、紙芝居など得意なレクリエーションで楽しく和らいだ雰囲気を作る
・記録ボランティア
当日のようすを写真などにおさめ、後日記録集として作成
ボランティアは初心者も大歓迎。小学4年生以上のお子さんとその保護者が親子でボランティアに参加することも可能ですよ。(単独参加は、中学生以上)
乗車前の2025年5月6日(火・祝)午後1時から2時間程度、倉敷健康福祉プラザ201にて、ボランティアに初めて参加するかたを対象としたボランティア教室も開催されます。車椅子介助やガイドヘルプを実践的に学べるのでおすすめです。
「ひまわり号」を走らせる倉敷実行委員会へのインタビュー
倉敷ひまわり号尾道の旅について、「ひまわり号」を走らせる倉敷実行委員会 会長の西尾隆広(にしお たかひろ)さんにインタビューしました。
──「倉敷ひまわり号」とは、どのような取り組みですか
西尾(敬称略)──
障がい種を問わず、さまざまな障がいのあるかたとボランティアがともに旅をする貸切列車の旅です。
倉敷では、1985年からひまわり号の運行が始まって、2025年は38回目の開催となります。
ありがたいことに、毎年参加者希望者が定員を上回り、抽選で参加者を決定しているんですよ。
抽選に外れたかたには、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
経験を積んだ実行委員が自分たちの足で何度も下見を繰り返していますし、医療スタッフも同行するので、障がいのあるかたのご家族には安心してご本人を送り出してもらいたいです。
また、倉敷ひまわり号の取り組みはOHK岡山放送で特集番組を作ってもらうなど、メディアにも取り上げていただいています。ボランティアとともに観光地のバリアフリー設備なども積極的に利用し、障がいのあるかたの個人旅行のヒントにもなればと思っています。
──障がいのある参加者は、どのような障がい種のかたがいますか?
西尾──
募集要項に記載しているとおり、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者福祉手帳いずれかの障害者手帳を所持していればだれでも参加できます。
一番多いのは、車椅子を使う肢体不自由者です。その他、視覚障がい・聴覚障がい・知的障がい・精神障がい者は、同じくらいの割合で参加されていますよ。
2024年4月に障害者差別解消法が改正され、事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられましたね。
これは、倉敷ひまわり号も例外ではありません。
それぞれの障がい特性に合わせた介助ボランティアを配置できるよう、準備しているところです。
──2025年は尾道へ行くのですね
西尾──
倉敷ひまわり号で尾道を訪れるのは、2017年以来8年ぶりです。
5月の尾道は気候も良く、千光寺の坂を越えると、川でも海でもない尾道水道特有の景色が見られます。
写真や画面越しではなく、生の尾道水道の景色の美しさをぜひ体感していただきたいです。
千光寺公園には、急な坂道もあります。
そのような坂道には、尾道学園 尾道高等学校ラグビー部の高校生たちが車椅子を引くボランティアに入ってくれます。
尾道高等学校ラグビー部のみなさんには、前回の倉敷ひまわり号尾道の旅でも手伝っていただきました。
倉敷から同行するボランティアだけでなく、旅先でもボランティアが出迎えてくれるのが倉敷ひまわり号の旅の特徴です。
──尾道でおすすめのスポットはありますか?
西尾──
我々健常者は、つい旅に行ったら観光スポットを巡ってほしいと思ってしまいがちなんです。
でも、旅を終えると障がいのある人もボランティアもみんな、以下のような人との触れ合いの体験が印象に残っているようです。
・電車に乗ってみんなで旅をした体験
・同じチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら、歩くルートを考えたこと
・同じチームのメンバーと一日を過ごした思い出
つまり、実は目的地がどこであろうとも「ひまわり号に乗ること」自体がもう旅のメインイベントなんですよね。
とはいえども、毎年いろいろな体験をしていただきたいので旅先は実行委員が一生懸命選んでいますよ。
今回は、お昼にお弁当を食べる千光寺公園を出発するバスが尾道市役所に停まります。
尾道市役所の屋上は、尾道水道を一望できるだけでなく、千光寺公園や展望台も見渡せるスポットです。
山も海も楽しめる尾道市役所の屋上は、ぜひ上がっていただきたいですね。
──ボランティアも、たくさん募集されるのですね
西尾──
障がいのある参加者一名に対して二名程度の介助ボランティア、そのほかにもさまざまな役割のボランティアに乗車していただきます。
そのため、日々介護を頑張っているご家族のかたには、安心して障がいのあるかたを任せてゆっくりとした休日を楽しんでもらいたいです。
昨今は有償ボランティアなどもありますが、倉敷ひまわり号では発足当時から障がい者もボランティアも同額の参加費をいただいています。
なぜなら、倉敷ひまわり号に参加するボランティアは参加する障がい者からさまざまなことを学べるからです。私たちは、障がいがあるなしにか関わらず参加者を共生社会の一員だと考えています。
障がい者の参加者のなかには「ボランティアさんも参加費がかかるの?!」と驚かれる人もいますが、障がいのあるかたと直接かかわれる一日には価値があるものなのだと当事者にも知ってもらいたいですね。
──参加者には、どのようなことを感じてもらいたいですか
西尾──
初めて参加するボランティアのかたには、今まで知らなかった「障がい者が生きる世界」を実際に体感してもらいたいです。ボランティア教室もありますし、実行委員を含め長年の参加経験者も多くいるので新たな挑戦の機会として一歩踏み出していただきたいですね。
継続で参加されるボランティアのかたには、毎回行き先も介助する相手の状況も変化するので、前回の参加時とはまた違った体験ができるはずですよ。
障がい者のご家族には、安心して見送っていただきたいです。
なぜなら、当事者が外出して旅をすることで、公共交通機関や観光施設のバリアフリー設備を障がい者が実際に利用していくことが、ユニバーサルな街づくりになると思うからです。
障がい者の旅そのものが、立派な社会貢献のひとつだと私は考えます。
ボランティアも障がい者も「楽しかった」と思ってもらえる一日になるよう、実行委員一同準備に力を入れていきます。
──読者へメッセージをお願いします
西尾──
障がいのある人たちは、私たちが思っている以上にずっとたくましく生きています。その姿に直接触れてみませんか。
ボランティアと障がい者がともに旅をする、まさに共生社会の入口となるこの倉敷ひまわり号尾道の旅に参加して、充実した一日を過ごしたいかたとお会いできるのを楽しみにしています。
おわりに
私も2024年に運行されたひまわり号37号姫路の旅に、聴覚障がいのある当事者ボランティアとして参加しました。
行きの電車内では少し緊張していた参加者も徐々に打ち解けていき、帰りは名残惜しそうに倉敷駅で解散。どの写真も、参加者の笑顔であふれていました。
尾道は、商店街の真ん中に多機能を備えたバリアフリートイレがあったり千光寺公園へ向かうロープウェイに車椅子用リフトが付いていたりと、ハード面での環境も日々整備されている街なので、当事者のかたも安心して参加できるのではないでしょうか。
山あり、尾道水道あり、笑顔ありの一日を、倉敷ひまわり号尾道の旅で過ごしてみませんか。