名張警察署だより 夏山、秋の行楽期 山岳遭難防止
地域課長 黒川功祥
7月以降、富士山での悲惨な事故が報道されていますが、命の危険につながる山岳事故は県内でも発生しています。過去に山岳遭難者の捜索救助に携わった経験から、5つの注意点について話させて頂きます。
1点目は「安全で余裕を持った登山計画を作成する」です。体力・技術・経験に見合った山や登山ルートを選び、事前に道迷いをしやすい箇所や、滑落の恐れがある危険箇所を把握しておいてください。日帰り登山では、暑さや日没に備え早朝から入山して早めの下山を心掛けてください。
2点目は「単独登山を避けグループ登山にする」です。事故発生時の対処が困難な単独登山を避け、グループによる登山を心掛けてください。単独登山者が道に迷って登山道から大きく外れ、救助が困難になった事例や、滑落により身動きがとれず、命を落とされた事例がありました。
3点目は「登山届を提出する」です。登山届の提出は、遭難時の早期救助だけでなく、ルートの確認や装備品の確認など登山前の事前準備にも役立ちます。提出方法は三重県警察のウェブサイト「山岳遭難情報メニュー」で紹介していますのでぜひご確認ください。
4点目は「十分な装備を携行する」です。万が一に備え、十分な水や食料、照明具、雨衣、携帯電話、モバイルバッテリー、コンパス、笛などを必ず携行してください。また、転倒や滑落などを防止するために必ず登山靴を履くとともに、登山に適した服装を励行してください。
5点目は「異状を感じた場合、早めの下山と救助要請を判断する」です。要請を受けても救助には時間を要します。登山中に体調不良などを感じた場合は早めに下山するか救助を要請してください。また、道迷いに気付いたら自分の位置が分かる場所まで引き返すか、安全な場所にとどまり救助を要請してください。無理な下山は危険につながります。
以上注意点を守って頂き、安全で安心な登山を楽しんでください。