【静岡の高校サッカー戦後史Vol.73】小林大悟を擁した2000年度の清水商業(現清水桜が丘)全国優勝のトロフィーを最後に掲げた日
【清水商⑱】ユースで復活 5度目のV
※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。静岡サッカー応援アプリ「シズサカ」でまとめてご覧いただけます。
1998年(平成10年)度の清水商は、選手権県予選で静岡学園に1−0で競り勝ち、本大会へ駒を進めた。全国選手権出場は4年ぶり10度目だった。
初戦(2回戦)は高松商(香川)を3−0で退け、好発進した。ところが、3回戦は一転、滝川二(兵庫)に2−4で屈した。シュート数は22―8と圧倒した。だが、「攻め込んだ裏を突かれた」と、主将でセンターバックだった池田学(三菱UFJ不動産販売)は無念の戦いを振り返る。
輝いた全日本ユース
翌99年度は一度も全国へ名乗りを上げることはなかった。いったん、ブレーキが掛かった清水商の歩みだが、2000年度になると再加速し、三大大会全てで全国の舞台を踏んだ。
中でも輝いたのは全日本ユース(U-18)だった。1回戦は小林大悟(J清水)の2得点が利き、秋田商(秋田)を4−1と圧倒、2回戦は主将・佐野裕哉(SC相模原)の決勝点で、柏ユースを1−0で下した。
横浜Mユースとの準決勝
準決勝は横浜Mユースと対戦。防戦に追われながらも1−1でしのぎ、PK戦にもつれ込んだ。ここで、GKの為田聡史(日刊スポーツ)が存在感を示す。守護神としてだけでなく、キッカーとしても。
横浜M4人目の動きを読み切ってはじき出すと、5人目のキッカーとして相手GKと対峙した。「腹が据わっているから」とあえて要の5人目に起用した監督・大滝雅良の期待に応えて、ゴールネットを揺らした。
PK勝ちして臨んだ決勝は、前橋商(群馬)を相手に前半で3得点。後半、猛追されたが、ぐっと踏ん張り、3−2で押し切って、5年ぶり5度目の栄冠を手にした。
GK為田「誇らしいが、寂しい気も」
横浜国際総合競技場(現・日産スタジアム)のピッチで大いに輝いたが、この時以来、Vトロフィーを掲げる清水商の姿は見られない。県内の高校単独チームの全国Vも、この全日本ユースが最後だ。「そう思うと誇らしいが、寂しい気もする」と為田。母校はもちろん、県内高校チームの勇姿を伝えたい―とは、記者としての強い願いだ。
清水商の次の全国大会登場は02年度の総体で、準決勝に勝ち上がった。しかし、先手を取りながら、国見(長崎)に2−5で逆転負けした。さらに、7年ぶりに出場した09年度の総体は、2回戦で前橋育英(群馬)に1−4で敗れ、再起へ険しい道を歩んできた。
学校再編の流れの中、清水商は13年度、庵原と統合する。(敬称略)
2000年度全日本ユース決勝先発メンバー
GK
為田聡史
DF
藤田直己
秋本倫孝
河野淳吾
井上敬雄
MF
佐野裕也
小林秀崇
鳥沢和正
小林大悟
FW
佐野裕哉
山口健
<次回からは「浜名」です>