杉の力強い生命力。ガイドの本間さんが語る「大佐渡石名天然杉」の魅力。
佐渡市の石名と呼ばれる地域では一般的な杉とは違い、力強くうねるような曲線的な形の杉を間近で見ることができます。大雪や強風など厳しい環境を耐え抜いたことで、特徴ある形になったんだとか。2011年から石名天然杉を巡るトレッキングコースのガイドをしているという本間さんに、実際に案内してもらいながらお話を聞いてきました。
トレッキングガイド
本間 一寿 Kazuhisa Honma
1955年佐渡市生まれ。石名集落に生まれ、2011年より「大佐渡石名天然杉」のガイドとして活動。ロマンチストな性格。
――本間さんはいつから石名天然杉のガイドをされているんですか?
本間さん:正式なガイドになったのは、「石名天然杉」の遊歩道がオープンした2011年かな。私は石名集落の生まれ育ちなんで、お越しになる方がただ杉を見て帰ったんじゃあ、せっかくのものが生かされないなと思って「よし、ガイドをやろう」と決めました。
――なるほど。石名のご出身なんですね。
本間さん:ガイドは家内と一緒にはじめたんです。花だとか自然の状況だとか、そういうものにすごく知識があるし飲み込みも早いんですね。今、家内はガイドをしていないんですけども、ふたりでやっていたから元気が出たし、今につながっているなと思います。
――実際に天然杉までの道のりを案内していただいていますけど、トレッキング初心者でも気軽に楽しめるコースなんですね。
本間さん:うん、それがかなり重要なポイントです。まったくの初心者でも、歩ける人なら子どもから年配の方まで楽しめます。
――そもそも、石名天然杉ってどんな特徴の杉なんでしょう?
本間さん:「すごく大きい」とか「すごく格好いい」というよりは、一本一本からそれぞれの生体がよく分かるという面白さがあります。要は、過酷な環境の中で生き抜いてきた杉の生命力、あるいは杉の家族みたいな関係。杉の姿からどういうふうに生きてきたのかが分かる、そんな場所だと思います。
――特徴あるいろいろな杉から、佐渡の自然や杉の生態について学べるわけですね。
本間さん:ただ、ここがオープンしたときに「この杉はこういうものです」「樹齢何年です」って案内にするだけではダメだと思ったんです。だから自分なりに研究したし、勝手な妄想とかも浮かぶタイプなので、いろいろな話をするようにしています。
――ただ知識を教わるだけじゃなくてちょっとしたストーリーを知れると、杉に対してすごく想像が掻き立てられます。
本間さん:それから今持っているのは、私が天然杉をガイドするときのあんちょこ。面白く、楽しく知識がついたほうがいいと思って、オリジナルのもので案内しています。実はコースの途中には私の秘密の場所もあって、来てくれた方にはそこの案内もしているんですよ。
――天然杉のガイドを続けられていて、どういうときにやりがいを感じますか?
本間さん:お越しになった方に喜んでいただける。それがいちばんの糧で楽しみですね。林間学校は特に面白いかな。子どもたちには杉の生態から家族の絆とか、「お父さんとお母さんが僕を育ててくれたんだな」っていうことまで感じてもらえたらいいなと思っているんです。そこまで意識を変えてしまうような案内を目指してガイドをやっています。
大佐渡石名天然杉
佐渡市石名