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副業年収、1万円以下が約6割。10万円以上の割合は?副業の理想と現実、年収アップの可能性を探る

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いわゆる「副業元年」と呼ばれ正社員の副業を解禁する動きが進んだ2018年以降、副業は、とても身近なものになってきています。副業の選択肢としても、面接などの選考なしで1日だけ働くことが可能な「スポットワーク」が広がるなど副業へのハードルが下がり、副業をしている、またはしたいと考えているという話を周りの人から聞くこともあるのではないでしょうか。

総務省が5年毎に行っている調査(※1)によると、 「副業がある者」は2022年時点で約305万人で、2017年から約60万人増加したという結果に。また、マイナビ転職が20〜59歳の会社員(正社員)を対象に行ったアンケート調査(※2)では、金銭的な不安を感じている人ほど副業経験があるという結果も出ています。

では実際に副業経験者はどのような副業をし、どれくらいの収入を得られているのでしょうか。副業で本当に理想の年収アップが実現できるのか? データから見える副業のリアルを解き明かしていきましょう。

副業収入の理想と現実。ギャップは月額約5万円?

まず最初に、副業をしている人の年収実態を見てみましょう。1年以内副業経験者の年収中央値は400万円。400万円以下の人が約半数を占めます。

年収不満や生活不安を抱いている働き手にとっては、収入補填手段の一つとなる副業。副業を始めたきっかけで最も高かったのは「お小遣い/趣味に使える収入を増やしたいと思った」が31.8%、「将来への備え・貯金を増やしたいと思った」が24.0%、「将来の収入への不安を感じた」が20.5%と続いています。

TOP3にはすべて収入(生活)に関する選択肢が入る結果となりました。副業解禁に踏み切った企業のなかでは「副業を通してスキルアップや自己研鑽をしてほしい」という意図を掲げるところも少なくありませんが、実際に副業をする社員側の目的とは大きなズレがあるようです。

では、目的である「副業による収入補填」は果たせているのでしょうか。

副業年収の実態を見ると、11万円以上得ている人は3割弱で、1万円未満が約6割。収入補填と言えるだけの額を得るには高いハードルが存在しているようです。

また、副業収入の実際の金額と理想の金額をみると、実際の金額は平均年収67.8万円・平均月収5.7万円。一方で、理想の収入額は平均年収125.9万円・平均月収10.5万円となっており、副業収入の現実と理想の間には月額4.8万円のギャップがあるようです。


人気の副業は? 本業の年収が増えても副業は続ける?

次に、副業経験者がどのような副業に取り組んでいるのかを見てみましょう。1年以内に実施した副業の内容を見ると、全体では「接客・販売・サービス職(店舗スタッフ、調理、受付など)」が12.3%で最も高く、「ネットオークション・フリマアプリ出品」が9.3%、「クラウドソーシング(データ入力/翻訳/資料作成など)」が5.3%と続いています。

副業を選んだ理由別で見ると、“手軽に始められそうだから”として選んだ副業は、「ネットオークション・フリマアプリ出品」「接客・販売・サービス職(店舗スタッフ、調理、受付など)」が上位の結果になりました。

店舗スタッフなどは、現在は隙間バイトアプリ・サービスなどの普及により、履歴書や面接などの就労にあたって発生する手続きナシで手軽に始められ、報酬が日払いになるところも少なくないそう。趣味や旅行など大きな出費がある時だけ、必要な分だけサクッと稼ぐというケースもあるようです。

さらに、副業経験者と「今後副業をする意向がある」人に、本業の収入がいくら増えたら副業をやめるか聞いたところ、「収入が増えてもやめない」と回答した人が約3割となりました。

実際に副業をやってみると、やりがいや視野の広がりなど「収入以外」のメリットを感じる、せっかく稼げるならやっておくにこしたことはない、などの理由で副業を継続していく層も一定数いるようです。


副業によって生活は変わった? 始める前に知っておくべき注意点も

ほか、副業を始めることで生活にどのような変化が現れるのでしょうか。副業で感じたことの最多回答は「生活の時間に余裕がなくなった」「やりがいを感じている」で同数。一方で、副業の目的である年収関連項目を見ると「思うような収入を得られていない」が4位。「思うような収入を得られている」は10位以下に留まり、「がんばっている割には稼げない」「労力に見合わない」という感覚の人も少なくないかもしれません。

これらのデータからも見えるとおり、副業を始めるにあたって懸念となるのは、本業外でも労働に従事すること。なかには「本業が週休3日制なので空いた1日を副業にあてる」などのケースもありますが、週休2日の企業に勤めながら副業するケースだと総労働時間が増大し、いわゆる「過労死ライン」など健康に影響するような働き方をしてしまうリスクがあるということです。また、副業での労働実態は勤務先では把握が難しくなるため、本人の自己管理が重要になってきます。

副業をする人は自ら意識して労働時間を管理すること、企業としては副業など社外収入で補填しなくても不安なく生活できるだけの賃金を支払っていくことが、今後はさらに求められるでしょう。

ちなみに、副業満足度について尋ねると、満足している人は47.5%、満足していない人は21.0%で満足している人の方が多い結果となりました。「思うような収入が得られている」人は8%台にもかかわらず、半数近くの人が満足しているということは、上記であがった「普段の仕事では感じられないやりがい・達成感を得られてうれしい」「普段とは違う仕事や違う環境で働くことで視野が広がった」など、成長実感や手ごたえなど精神的充足が多くあるということなのかもしれません。


まとめ:副業は数ある選択肢の一つとして

以上、副業の理想と現実について、データを基にひも解いてきました。今の年収に満足できていない、もっと稼ぎたいと思い副業を始める人が多い一方で、理想通りの年収アップを果たしている人は多くないようです。

ただ、収入を得るだけでなく副業での経験がスキルアップにつながっている実感を持つ人も多いこと、副業に満足している人が一定数いることから、年収アッププラスアルファで得られるものがあることも事実。

また、給与アップを目指して新たな仕事に挑戦したい際、副業で自身の適性を「お試し」し、やっていけそうだと思ったら転職に踏み切る、本業は生活手段のための仕事と割り切り、「やりがい」「つながり」など人生を豊かにする趣味のような感覚で副業をやっていくなど、本業と副業をうまく組み合わせて年収アップや「年収とやりがいのいいとこどり」を叶えていく人もいます。

そして、もし副業で思うような年収アップにつながらなかった場合は、「副業以外」の方法で年収アップを目指していくのも一つの手段。昨今は人手不足のなかで人材を確保するために「賃上げ」をしている企業も。その波をうまく利用して転職することで年収アップを叶えている方も一定数いるのです。

自分がどう働きたいのか、将来どうなりたいのか、理想の年収を追いかけたい人はどんな選択が最適なのか。ぜひ考えてみてください。

【出典】
※1 令和4年就業構造基本調査(総務省)( https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kyouyaku.pdf )

※2 マイナビ転職「正社員の賃金不満と副業など年収アップの意識調査」( https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/17/ )

文:マイナビ転職編集部

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