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横浜市緑区長津田の佐々木京子さん 「肉声」宿る軍事郵便 展示 戦死した伯父からの17通

タウンニュース

長津田郵便局に展示した資料を紹介する佐々木さん(左)と井上局長

長津田在住の会社員・佐々木京子さんが現在、戦死した伯父から戦中に届いた17通のはがき(軍事郵便)に関する資料などを長津田郵便局(長津田6の7の1)で展示している。

実家で偶然発見

はがきは6年前、佐々木さんが実家を掃除していた際に開けた古い段ボール箱の中から見つかったもの。差出人は佐々木さんの伯父で、太平洋戦争末期にフィリピン・レイテ島で、19歳の若さで戦死した勝見清さんだ。

はがきは清さんが当時の満州・ハルビン滞在中の1944年4月から7月に掛けて出されたもの。多くは自身の両親宛てにしたためられている。清さんの弟であり佐々木さんの父・勝見倉吉さんに宛てたはがきには「お前達兄弟はお互に力を合はせて一生懸命に勉強して両親を大切にしなくてはだめだよ。兄さんの様な親不孝物になってはだめだ」(原文ママ)とした言葉も綴られている。80年を経て、茶色く変色したそれぞれのはがきの文面からは、戦地から家族を思う清さんの「肉声」が伝わってくる。

「平和の尊さ伝えたい」

発見した当初は「心に響くものがあまり無かった」という佐々木さん。ただ、時間を掛けて何度も読み返すうちに、若くして死を覚悟した伯父の無念さがひしひしと感じられ、心が震えた。

戦争体験者の高齢化が進む中「どれもが戦中の貴重な資料。いまこそ多くの人に伝えていくことが私たちの使命なのでは」と一念発起。伯父のはがきだけでなく、地域に暮らす戦争体験者たちについても取材し、戦争の悲惨さ、平和の尊さを発信する活動を始めた。

今回の展示は、地元の人が多く利用する長津田郵便局で資料を展示したいと、佐々木さんが同局に打診し、初めて実現。文字起こしされたはがきの文面だけでなく、清さんの姿やハルビン駅の写真なども展示した。

SNSなどが普及し、コミュニケーション手段が多様化した現在と比べ「戦時中は、軍事郵便が唯一の家族との連絡手段。それも1〜2週間も掛かり検閲した後の郵便のやり取りだった」と佐々木さん。「その文章に込められた文字から家族は気持ちを読んでいたのだと思います。地元の方々にこの軍事郵便を見ていただくことで、戦争についてそれぞれ感じていただきたい」と言葉に力を込める。

同局の井上一郎局長は「展示することで、少しでも地域の人たちの役に立てればうれしい」と話している。

同局の営業時間は、平日午前9時〜午後5時。資料の展示は8月30日(金)までを予定している。

はがきを送った勝見清さん(1944年撮影、提供写真)

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