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2024年注目!イベント・復元が行われる城

城びと

2024年注目!イベント・復元が行われる城

今年の訪城計画を立てたいけれど、どこへ行こうか悩んでいる…という方必見! 2024年に周年事業や復元・整備など、大きなイベントが行われる城をご紹介します。

周年事業・山城サミット… 地域一丸で行われるイベントを楽しもう!

お城を通じて地域が活気づく周年記念などの大型イベント。2024年は古代城柵の多賀城が創建1300年、島原・天草一揆の舞台となった島原城が築城400年を迎えます。そして、山城ファンが気になる「山城サミット」は、島根県益田市での開催! 今から地元の盛り上がりが楽しみですね!

【多賀城(宮城県多賀城市)】創建1300年記念で南門が復元される!

多賀城南門の復元イメージ(多賀城市教育委員会提供)

多賀城は大和朝廷によって陸奥国に築かれた古代城。軍事機能がメインである中世の山城とは異なり、政庁と軍事拠点を兼ね備えた東北統治の中心地でした。創建は神亀元年(724)とされており、2024年は創建1300周年にあたります。これを記念して多賀城市では様々な記念事業が行われています。

中でも注目なのが南門の復元。この門は8世紀中頃に造られた格式高い二重門とされています。門本体は2023年2月に完成し、現在は附属の築地塀の工事が進行中。完全公開は2026年となる予定です。他にも古代米と地元原産の蜂蜜で作られた記念ビールの限定発売や各種イベントなどが行われています。

【島原城(長崎県島原市)】大乱の記憶をつづる400周年イベント

昭和に復元された巽櫓(西望記念館/写真手前)と天守(写真奥)

島草・天草一揆の舞台にもなった、島原藩(長崎県)。一揆終盤では3ヶ月に及ぶ過酷な籠城戦が繰り広げられ、幕府の政策に影響を及ぼしたほど重大な事件となりました。そんな過酷な歴史を持つ島原藩に聳え建つ壮麗な城、島原城は2024年に築城400周年という節目を迎えます。

400周年を祝って、2024年への年越しでは地元アーティストを迎えたカウントダウンイベントが4年ぶりに開催されました。1月には第12回日経小説大賞を受賞した天津佳之氏による、松倉重政を主人公とした小説がWebにて公開。五層の天守を持つ島原城を築城した一方、過酷な年貢の取り立てで民を苦しめた悪名高い松倉重政がどのように描かれているのか楽しみですね。

また大人気だった島原城の御城印の2024年版が4月から販売。古地図専用台紙つきのセットも数量限定販売されますので、気になる方はお早めに。他にもイベント新情報がHPにて公開されるようなのでチェックしましょう!

【七尾城(島根県益田市)】今年の「山城サミット」は益田市!

上空から見た七尾城(益田市教育委員会提供)

秋のお城イベントといえば「全国山城サミット」!! 2024年の開催地は毛利元就と戦った豪族・益田氏の居城・七尾城が残る島根県益田市。島根県芸術文化センター「グラントワ」と益田市立歴史文化交流館「れきしーな」を中心に、11月16日(土)・17日(日)の2日間、シンポジウムや城跡見学などが行われる予定です。イベントの詳細はまだ未定ですが、これから市のHPなどで情報公開がされていくので、見逃さないようにしましょう!

大災害からの復興を見守ろう!

お城が大きな被害を受けた災害として記憶に新しい熊本地震(2016年)と首里城火災(2019年)。被災した熊本城と首里城では、懸命な復興工事が続いています。2024年は復興にどんな動きがあるのでしょうか?

【熊本城(熊本県熊本市)】宇土櫓復旧に向けて解体工事を開始!

地震により壁や石垣などが崩れてしまった宇土櫓(2022年1月撮影)

2016年の熊本地震で大きな被害を受け、復興工事が続いている熊本城。すでに天守は復興を終え、2022年4月にリニューアルオープンしたことは記憶に新しいでしょう。天守復興後も櫓や石垣の修復が進む予定ですが、まず修復されるのが平左衛門丸の宇土櫓です。

修復がはじまる宇土櫓は慶長年間(1596〜1615)に創建され、築城当時の姿を保っている櫓。三層五階地下一階で高さ19mという天守にも匹敵する規模を誇るため「第三の天守」とも呼ばれています。しかし、2016年の熊本地震で柱や建物の基礎が破損し、壁が崩れ、床が傾くなどの被害を受けました。

2023年12月に屋根頂部から1927年の解体修理時に取り付けられたしゃちほこ2体を取り外す作業が開始しました。2024年1月からは本格的な解体工事が始まり、復旧完了は2032年度の見込みとなっています。再建された姿が待ち遠しいですね!

【首里城(沖縄県那覇市)】消失した正殿復興への道のりが折り返しへ

素屋根内に設けられた見学エリア(首里城提供)

2019年の首里城火災で焼失してしまった正殿を含めた9つの施設。2022年に起工された正殿の復興工事は、2024年に折り返し地点の3年目へ突入。7月に正殿の柱を支える礎石が運び込まれ、9月には記念すべき最初の柱が建ちました。2024年は屋根に瓦が葺かれ、壁張りと塗装がされる予定です。戦後の再建では鮮やかな赤に塗られた外壁は、研究の成果に基づき琉球時代の正殿に近い色合いで再現されるそうです。

また、正殿復興では「見える復興」に力を入れており、2023年8月に素屋根内に見学エリアがオープン。この見学エリアでは復興工事の様子を間近に見ることができ、映像展示や木材を触って楽しめるスペースもある充実した施設となります。他にも、端材の限定グッズの登場や首里城破損瓦・石材の活用者募集など親子や友人同士で楽しめる様々な取り組みが行われています。2026年の復興完了まであと少し、華やかな工程が多い2024年は見学にぴったりな年になりそうですね。

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2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震で、能登畠山氏が築いた全国屈指の山城・七尾城(石川県七尾市)も甚大な被害を受けました。現在立ち入り禁止となっている被害状況が七尾市HPに掲載されています。被害を受けられた方々の生活再建のあとに、時間はかかっても七尾城も元の姿を取り戻していくと信じています。

城の往時の姿に迫る復元・発掘に大注目!

最後は復元や発掘で大きな動きがある3城をご紹介。金沢城の二の丸御殿復元や安土城の発掘・整備の長期計画、鳥取城大手道の復元整備など、ビッグプロジェクトが進行中です!

【金沢城(石川県金沢市)】絢爛たる100万石の御殿の復元工事が始動!

焼失前の金沢城。鼠多聞(下の櫓門)の上にそびえる建物群が二の丸御殿だ(金沢大学附属図書館蔵)

加賀100万石の城として名高い金沢城。広大な城域に建ち並んでいた門や櫓の多くは明治時代の火災で消失してしまいましたが、1996年からはじまった復元整備で菱櫓や五十間長屋などが再建。「平成の築城」とも呼ばれた復元事業は令和に入ってからも続いており、2024年からは二の丸御殿の復元工事がはじまるそうです。この二の丸御殿は、藩の政庁である「表向」、藩主の日常空間である「御居間廻り」、藩主の家族が暮らす「奥向」の3エリアで構成されています。

今回復元されるのは表向で、まずは御殿の玄関や式台などが第1段階として着工されるそう。さらに第2段階では大広間(竹の間)などが、第3段階では書院などが復元される予定です。御居間廻り・奥向は現段階で復元予定はありませんが、今後調査が進めば復元の可能性もあるようです。

復元工事では、見学台の設置や見学会の開催なども予定されているそうなので、何度も城を訪れて御殿ができあがっていく様子をチェックしたいですね。

※2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の影響で一部立ち入り禁止区域がありますが、開城しています。

【安土城(滋賀県近江八幡市)】幻の城の真実に迫る調査プロジェクト

天主台は現存しているが、一部は地中に埋没している。今回の調査で天主台の全貌が明らかになれば、天主の構造解明にもつながるかもしれない

織田信長によって築かれ、近世城郭の祖型となった安土城。信長自慢の壮大な天主は本能寺の変後に燃え落ちてしまい、どのような姿だったかも分かっていません。そんな謎多き城の実態を解き明かそうとする「幻の安土城」復元プロジェクトが始まろうとしています。

この事業は安土城築城から450周年となる2026年を目標に発掘や史料の調査から城の姿を解き明かし、整備やARなどを用いて安土城を「見える化」するというもの。さらに20年の長期計画で発掘調査や整備が続けられるそうです。すでに天主の姿の重要な手がかりとなる「安土山図屏風」探索のため、屏風が贈られたバチカンへ副知事が派遣されるなど調査がはじまっています。城跡でも、これまで未調査だった天主台の北側で2023年10月から発掘調査が開始。ここは山崎の戦い後の火災の際に天主が倒れた方向とされており、瓦など天主に関わる遺物が見つかるのではないかと期待されています。

信長が築いた幻の城はどんな姿だったのか? このプロジェクトで真実が明かされるのが楽しみですね!

【鳥取城(鳥取県鳥取市)】中ノ御門渡櫓門の復元工事が進行中!

2023年7月に行われた渡櫓門の上棟式の様子(鳥取市教育委員会提供)

飢え殺しで知られる羽柴(豊臣)秀吉の兵糧攻めが行われた事で有名な鳥取城。落城後、近世城郭に改修され、江戸時代は鳥取藩の政庁として幕末まで存続しました。廃城令後、城内の建物はすべて取り壊されてしまいましたが、かつての大手の姿を復元する事業が進められています。

復元事業ではすでに大手の擬宝珠橋、中ノ御門表門が完成。2023年からは、中ノ御門の枡形を構成するもう一つの門・渡櫓門の復元工事がはじまり、7月に上棟式が行われました。2024年中工事が進められ、2025年初冬には門の外観がお目見えとなりそうです。また鳥取市によると、復元を盛り上げるべくイベントも計画されているそうなので、気になる方は市のHPなどをチックしてみてくださいね。

執筆・写真/かみゆ歴史編集部(小関裕香子、小林優、須田雅大)

「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。地形地理や地政学の視点から、その地に城が築かれた理由や合戦の舞台となった理由などを検証する『地政学でわかる! 日本の城』(イカロス出版)が好評発売中!

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