パリ五輪で日本人初のセーリング競技運営スタッフを務めた、逗子開成中高ヨット部顧問の内田伸一教諭が感じたオリンピック
逗子開成中学高校教諭でヨット部顧問の内田伸一さん(53)=人物風土記で紹介=が、先月閉幕したパリオリンピックのセーリング競技で日本人初のインターナショナル・テクニカル・オフィサー(ITO)として、レースの運営に携わった。世界で220人、日本では2人しかいないインターナショナル・レース・オフィサー(IRO/※)の中から15人が任命された狭き門だ。
セーリング競技はマルセイユで7月28日から8月9日まで行われた。風が弱くレースがスケジュール通り消化できず、スロースペースな展開だったが、内田さんが担当したILCAという一人乗りのクラスは予選とメダルを確定するレースまでうまくできたという。
さまざまな大会を経験してきた内田さん。オリンピックについて、技術がトップレベルということだけが醍醐味ではないと話す。「これまで積み重ねてきたこと、競技とどう向き合ってきたかということが全部出る。そういう生き様というのが感動を与えるのだろう」と語った。「今、世界で大きな戦争が起こっている中でもスポーツに集中できるのは『平和』だから。そういう中で個々の選手がどう取り組んできたか姿勢が表れるんだろうなと、現場にいて感じた」と振り返った。
また、競技とは別に、チャレンジすることの大切さを感じたという。「外国の人と同じ立場で一緒のことをやっていくことができないと、ビジネスのシビアな世界で対応するのは無理だと思った。だから、生徒たちには、できるかできないか分からなくても、自分の好きなことや得意なことでどんどんチャレンジしてもらいたいと思う。そういう意味では今回私自身はトライしてよかった。行ってみたら、何とかなる部分もあるし、全てがうまくいったわけではないが、一歩引いたら何も始まらないですよ」と熱く語った。
※レースオフィサー
レース運営の資格を持つスタッフ