芸人が地方イベントでやるご当地ネタはなぜウケづらいのか【ご当地ネタ論】
マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオが語り合う番組。
12月7日の放送(第605回)は「ご当地ネタ論」をお送りしました。
マキタ:あのさ、ご当地ネタって難しくない?
タツオ:ご当地ネタは難しいな~。
マキタ:これは許可局をやっているせいもあって。ライブをやったときに来てくださる許可局のお客さんって、非常にフラットな目線で僕らの発言とかをおもしろがってくれるところはあると思うんですよ。
鹿島:大人ですよね。
マキタ:たとえば、「政治と野球と宗教の話はするな」ということがあったうえで、政治の話も野球の話も宗教の話もするということが、ちゃんと文脈からわかってくれて、あえてやっているということも、言ってる内容もちゃんと受け止めて、「また馬鹿なこと言ってるな」とか「おもしろいこと言ってるな」とか「興味深いこと言ってるな」とかの楽しみ方をちゃんとしてるじゃないですか。
鹿島:マキタさんが「政治と野球と宗教の話はしませんからね」と言ったら、それだけで喜んで拍手してくれる。
マキタ:それだけで笑ってくれたりして。そういうことがあることを意識して、地方に行くと結構やけどをするんです。
タツオ:そりゃそうだ(笑)「政治と野球と宗教の話をするな」という戒めを身をもって感じているんですね。
マキタ:そういうことです。
鹿島:逆に言うと、許可局のお客さんというのはありがたいよね。言わんとすることをすべてわかって。これは行間の笑いだと思うんですけど。
タツオ:しちゃいけないことをやる。禁忌を犯すっていう一つのエンタメですよね。
マキタ:そうそう。でも、それほど過激なことを言ってるわけじゃないからね。
鹿島:そうです。
マキタ:この前、ツアーで地方を回っていたんですけど、行く先々で今年あったいろんなトピックスを時事替え歌と称して、前半40分くらいかけて短いネタを数珠つなぎにしてやるんですよ。で、明らかに傾向として、今年は政治系のトピックがいっぱいあったじゃん。タツオ:選挙もいっぱいあったしね。
マキタ:そうそう。都知事選のことをネタにしても、広島県民は笑ってくれないんですよ。
タツオ:アハハハハッ!
鹿島:でも、じつは地続きですけどね。石丸さんってもともと河合さんの事件から出てきた人だから。
マキタ:あと、地方のお客さんは僕のことをテレビで知って、ドラマで見て、その有名人がやってきた感じでチケットを買ってくれて来てくれているケースなんですよ。
タツオ:それはすごいですね。
マキタ:それで「なにかやってくれるらしい」と。
タツオ:「なにやるんだろう?」って思いますよね。
マキタ:そうしたら、政権批判ではないけど、政治家にあったスキャンダルとかをからかうと。で、それを「どう見たらいいの?」ってわからない顔をするんだよ。
タツオ:だって『地面師たち』の裏話が聞けるのかなと思って行ったら、角度のついた批評が入ってくるわけでしょ。
マキタ:あと、小粋な地口ですね。ダジャレみたいなやつ(笑)
タツオ:しかも楽器弾いてるし。「なんだ?付け焼刃にしてはうまいぞ」みたいな(笑)
鹿島:「こういう人だったのか!」と来て初めて知るパターンですね。
(TBSラジオ『東京ポッド許可局』より抜粋)