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未経験からITエンジニアへ。──元医療事務・派遣社員の黒澤楓さんが“人生を変えた一歩”を踏み出すまで

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いま、エンジニアをはじめとしたIT人材が世の中に不足しています。

厚生労働省の調査*1では2030年までに最大80万人の規模で人材が不足すると予測され、未経験者を対象とした求人も増えつつあります。 また、ITエンジニアのなかには高年収やテレワークが可能な求人もあり、転職するなら「狙い目」という見方も。

一方で、未経験者の場合は「自分にできるだろうか?」という不安も抱えがち。マイナビ転職の調査データでは、「ITエンジニアになる前、不安はあった?」という問いに対して約半数の48.8%が「スキルを習得できるか不安だった」「大変そうに感じた」と回答しています。

そこで今回は、働きながらスキルを身に付け、まったくの未経験からITエンジニアに転身して活躍する黒澤楓さんにお話を伺いました。

なぜITエンジニアを目指そうと思ったのか? どのようにしてスキルを習得したのか? 黒澤さんの足跡を辿ることで、リアルな「エンジニアへの道」が見えてきます。

※前・後編のシリーズの前編です。後編はこちらからご覧ください
「ITエンジニアとして働く今」——黒澤楓さんが語る“人生を変えるキャリア”のつくり方 - ミーツキャリアbyマイナビ転職( https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20251001-kurosawa )

黒澤 楓さん プロフィールMs.Engineer株式会社所属のITエンジニア。
宮城県で医療事務を経験した後に上京し、派遣社員としてコールセンターや事務を転々とするなか、リスキリングしてITエンジニアの道へ。
現在はデータベースの設計・運用など社内データ管理に携わる一方で、AIプロダクトの開発ではプロジェクトリーダー兼メインデベロッパーとして企画から実装まで携わる。モットーは「働きながら勉強も趣味も恋愛も諦めず、全方位・全力で楽しむ人間でありたい!」

こんなにカツカツなのは私だけかも……。やさぐれ状態からの脱出・上京

──黒澤さんは、かつて医療事務をしていたと伺っています。どのような理由から医療事務を選ばれたのでしょうか。

黒澤楓さん(以下、黒澤):当時、「早めに結婚して、出産してお母さんになって、育児して…」という人生を思い描いていました。そこで「育児が一段落してから職場復帰しやすそうな仕事ってなんだろう?」と考えた時に、医療事務が思い浮かんだんですよね。それが理由です。

ただ実際に働いてみると、想定していたよりもお給料が少なすぎて……。手取り12万円くらいから始まって、年収は200万円程度。年の昇給も微々たるものでした。

北の一地方とはいえ、ワンルームの家賃は5~6万円くらいかかるんですよ。出産や育児を考える以前に、これじゃ自分の面倒すら見られない……って悲観して。どうしたらこの状況から抜け出せるんだろうと考えていろいろと求人をチェックしていましたが、当時の私のスキルでお給料の上がる仕事を、どうしても見つけられませんでした。

医療機関には、医師やレントゲン技師など専門的なスキルを持つ人がたくさん働いています。医療事務も専門性が求められますが、どうしても自分を彼らより下に置いてしまうというか、「こんなにカツカツの生活をしているのって、たぶんこの病院で私だけなんだろうな……」とやさぐれていましたね。

そんな日々を送るなか、突然、思い立ったんです。「あ、都会に行けばいいんだ」って。

そこからは速かったですね。東京へ遊びに行くついでに住む部屋を決めて、持っていた車を売って、保険を解約して。有給休暇の消化中にはもう東京暮らしを始めていました。


Excelでテンションが上がるも、ITエンジニアになるのは「うらやましいけど多分ムリ」

──思い立ったが吉日!とばかりに動いたんですね。上京した時点では、お仕事は決まっていたんですか?

黒澤:いいえ。ただ派遣社員として人材エージェントには登録していて、「こういう仕事ありますよ」と言われたら、「何でもいいからやってやろう!」と構えていました。

実際にコールセンターや事務の仕事を転々としていましたね。で、たまたまIT企業のアシスタント業務をしている時に運命の出会いがありまして。

──いまのお仕事の上司の方ですか?

黒澤:いえ、Excel(エクセル)との出会いです(笑)。

職場でいろいろと操作するなかで「コレ、楽しいかも」と感じたんです。「こんな機能があるんだ」と、ひとつのことを覚えると、それがベースになって更に別のことができるようになる。

それが面白くて、次々と関数を覚えて「この作業、面倒だから自動化しよう」と自分で自動化設定を組んだり、Excelを使いこなせるようになっていきました。

そこで初めて周囲から「楓ちゃん、ITエンジニアが向いているんじゃない?」と言われました。実際にその職場ではITエンジニアの人たちも働いていて、なんだかカッコよく見えましたね。

コロナ禍で皆が在宅ワークになって、アフターコロナで再び出社してくるようになっても、エンジニアの人たちは在宅のままだったんです。「なんだか特別な存在だ……」「エンジニアってどこにいても仕事ができるんだ」と気になり始めた一方で、この時点ではまだ自分がエンジニアになることは考えていませんでした。

私はスキルもないし学歴もない。年齢もソコソコいっていましたから、「うらやましいけど多分ムリ」と決めつけていましたね。


「パソコンを触ったことすらなかった卒業生」に感化されて一念発起

──「多分ムリ」から「もしかしたら、いけるかも」に変わったのは、どんなタイミングでしたか?

黒澤:副業で、女性のためのプログラミング講座を展開している「Ms.Engineer」で事務として働いていた時ですね。

たまたま、講座を卒業した生徒さん達による成果発表をオンラインで視聴する機会があったんです。実際に見ていたんですが、難しいことを喋っていて、当時はまったく理解できませんでした。

ただ、卒業生の1人が「講座を受ける前まではパソコンを触ったことすらなくて、エンジニアとは無縁の仕事をしていた」と話していて。

他にも、「講座の存在は新聞で知った」というアナログなタイプの方や、私より年上の40代でエンジニアを目指している方も1人じゃありませんでした。なかには「夫は単身赴任で、3人の子育てをワンオペでこなしつつ、働いて、勉強もして」という規格外の方もいたんです。

正直、かなり衝撃的でしたね。それから「もしかしたら、私も目指してもいいのかもしれない」と思えるようになりました。

──確かにそれは「私も!」となりますね。そこからどんな流れで実際にエンジニアを目指す勉強を始めることになったのでしょうか。

黒澤:プログラミング講座を働きながら受講できるコースができたと同時に飛びつきました。

オンライン授業でしたが、動画視聴型のeラーニングではなく、ちゃんと時間割が決まっていて、同期と一緒に受講するスタイル。いつでもどこでも視聴できると、私の場合は「明日の私」に丸投げして怠けちゃいそうで、時間的に拘束されるほうが合っているなと感じましたね。

もうひとつ大きかったのは、同期という仲間の存在です。授業は月曜・木曜の週2回と隔週土曜。毎回課題が出るので、火曜と金曜は同期の仲間とオンラインで一緒に課題に取り組んでいました。

得意な人に教えてもらったり、逆に私が得意なところは皆に教えたりと、お互いに学びを深め合える感覚がありましたね。

受講していて内容が理解できない時でも、同じように理解できない仲間がいると、「自分だけじゃないんだ」と安心し、孤独感を抱くこともありませんでした。

勉強だけでなくプライベートの話でも盛り上がったりして楽しい時間を過ごせましたし、良い関係でした。卒業したいまでも集まってご飯へ行ったり、旅行がてら地方在住の同期とオフで初対面したり。

大人になってから築くコミュニティって貴重だなと実感しています。

学び始めた時点で、心が軽くなって余裕も生まれた

──一方で、「これは大変だったな」と感じた点はありますか?

黒澤:強いて言えば、学習時間の確保でしょうか。

働きながらだったので、「勉強に集中したいので、講座を受けている半年間は残業できません」と会社に伝えて、同僚も理解してくれていました。

それはとても有難かったんですが、時間は常にカツカツでしたね。仕事終わったらすぐ授業! みたいな。これほど集中的に勉強したのは受験以来だと思います。

ただ、「本気」を伝えると、会社も友人もすごく応援してくれるし、助けてくれる。周囲に恵まれているという事実にあらためて気づけたことも、勉強して良かったことのひとつです。

──働きながらの勉強だからこそ、受講した半年間は多忙を極めましたよね。

黒澤:仕事と勉強以外は何もできないだろうなと覚悟していたんですが、意外にも、けっこう遊ぶ時間も取れたんですよ。

スケジュールが詰まっている分、空いている時間も明確に分かるようになるんです。これまでの私だったら絶対に自宅でゴロゴロしているような時でも、友達と遊びに行くなど予定をギチギチに詰め込んでいました。

いつもより遊んでいたかもしれないです。その代わり家事をしっかりやるとか、いわゆる“丁寧な暮らし”のようなことは、あまりできなかったかもしれません。

──医療事務をしていた頃と比べて、ずいぶん心持ちが違うのではないでしょうか。

黒澤:そうですね。私の場合は「エンジニアを目指そう!」と勉強を始める時点で覚悟が決まって、心持ちが変わりました。

医療事務をしていた頃は「次のお給料が入るまでにいくら使えるんだろう?」と常に考えていましたし、上京して派遣で働いている時も「3年周期で職場が変わってしまう」「この仕事、何歳まで続けられるんだろう?」というような不安に駆られていました。

それがエンジニアの勉強を始めた途端、「このままいけば正社員になれるだろうし、いまより稼げるようになるだろうな」と思うように。常に抱えていた不安が和らぎ、これまで見ていた将来の景色がガラッと変わったんです。

自分に自信が持てるようにもなり、仕事が休みの日はあの勉強をしてみようと計画したり、ジムに行ってみたり、いままで手が回らなかった“自分磨き”のようなことを考える余裕も生まれました。

その時はまだエンジニアになってはいなかったのですが、前向きな将来に向かって着実に進んでいると実感できていたことが大きかったですね。


「このままじゃダメだ」と一念発起し、未経験からITエンジニアを目指した黒澤楓さん。後編では、エンジニアとして働く今のリアルな日常や、キャリアを通じて見えてきた“自分らしい生き方”について伺います。

▶【後編】はこちら
「ITエンジニアとして働く今」——黒澤楓さんが語る“人生を変えるキャリア”のつくり方 - ミーツキャリアbyマイナビ転職( https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20251001-kurosawa )

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制作:マイナビ転職

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