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諸行無常の8センチCD!90年代は「おどるポンポコリン」に始まり「だんご3兄弟」で終わる

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1990年04月04日 B.B.クィーンズのシングル「おどるポンポコリン」発売日

華やかなイメージを持たれることの多い1980年代だが、他の時代に比べるとレコードの売上枚数は低い。例えば、1987年のシングル年間チャート1位は瀬川瑛子「命くれない」の約42万枚。他の年に比べるとかなり低い売上枚数である。そんな時期に現れたのが、短冊型ジャケットに収納された8センチCDシングルである。そう、日本で8センチCDシングルの販売が開始されたのは1988年2月21日で、1989年に入るとアナログレコードの約8倍の8センチCDシングルが出荷されている。

現在も国民的ヒットとして愛されている「おどるポンポコリン」


1990年代最初のミリオンヒットは、1990年にB.B.クィーンズが歌った「おどるポンポコリン」。フジテレビ系テレビアニメ『ちびまる子ちゃん』の初代エンディングテーマ曲に起用され、現在も国民的ヒットとして愛されているあの曲だ。

1991年あたりからは、ドラマ主題歌に起用された楽曲がミリオンセラーを記録し、やがてこの時代のサウンドを “J-POP” と呼ぶようになる。ヒット曲のほとんどがドラマ主題歌やCMソングに起用されたもので、タイアップが付かなければシングルはリリースできないとさえ言われていた。CDプレーヤーの普及とともに音楽の楽しみ方も大きく変化し、カラオケ音源が収録されるようになったのも8センチCDシングル時代の大きな特徴だろう。

90年代の大きなムーヴメントとして括られることが多いのが “ビーイング系” “小室系” “ビジュアル系” “渋谷系” あたりだろうか。先にご紹介した「おどるポンポコリン」はビーイングによる制作だが、1991年にB'zの「LADY NAVIGATION」がミリオンを記録して以来、WANDS、大黒摩季、T-BOLAN、ZARD、DEENらがミリオンヒットを連発している。ちなみに、昨年の紅白歌合戦の出場が大きな話題となったB'zは、90年代にミリオンヒットを最も多く生み出したアーティストだ。

多くのミリオンヒットを世に送り出し小室哲哉


小室哲哉がプロデュースをした “小室系" も多くのミリオンヒットを世に送り出している。1994年にtrfの「survival dAnce~no no cry more~」がミリオンヒットを記録すると、1997年までに、篠原涼子 with t.komuro「恋しさと せつなさと 心強さと」、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント」、globe「DEPARTURES」、安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」などがダブルミリオンになっている。そんな小室ブームも1998年あたりには収束されていくが、小室哲哉が宇多田ヒカルの「Automatic」を聴いた時にあまりの衝撃に “引退” という文字が頭をよぎったというのは、有名なエピソードだ。

ビジュアル系と呼ばれていたV-ROCKシーンも90年代J-POPに大きな影響を与えたジャンルだが、GLAY、L'Arc~en~Ciel、LUNA SEAらは、アルバムだけでなくシングルも大ヒットさせている。また、小林武史がプロデュースを手がけたMr.Children、My Little Loverのメガヒットも忘れてはならない。特にミスチルはB’zに続きミリオンヒットを多く世に送り出しているアーティストだ。

ニューミュージックの女王と呼ばれた中島みゆき、松任谷由実も互いに3曲のミリオンヒットを生み出している。他、サザンオールスターズ、DREAMS COME TRUE、スピッツ、SPEED、CHAGE&ASKA、KinKi Kidsもミリオンヒットを連発しており、誰もが90年代を代表するアーティストと言えるだろう。

90年代最大のヒット曲「だんご三兄弟」


そんな90年代にミリオンセラーを記録した楽曲は174曲存在し、そのほとんどが8センチCDシングルとして発売された曲ばかりだ。売上のピークは1995年〜1997年で、この3年間に至っては、毎年1.6億枚以上の8センチCDシングルが流通している。その後、マキシシングルとよばれた通常CDサイズのシングルに移行していき、2000年頃にはその役割を終えている。

つまり、8センチCDシングルは90年代を象徴する音楽フォーマットであり、そのヒットのほぼすべてが8センチCDシングルから生まれたものだと言える。そんな90年代最大のヒットは、1999年に発売された「だんご3兄弟」というのは意外だろうか。NHKの教育番組『おかあさんといっしょ』の歌のコーナーから発表されたこの曲は、全国の子供たちのハートをがっちりと掴み、約300万枚を売り上げている。「おどるポンポコリン」で始まった90年代は「だんご3兄弟」のヒットで終わりを告げたと言ってもいいかもしれない。

書籍「8cmCDで聴く、平成J-POPディスクガイド」発売


ここ数年、“昭和レトロ” と共に “平成レトロ” も話題になっており、8センチCDシングルが密かなブームになっているようだ。そんな中、筆者が監修した書籍が発売された。タイトルは『8cmCDで聴く、平成J-POPディスクガイド』(DU BOOKS)。90年代にヒットした200アーティスト200曲を掲載したディスクガイドだが、リアルタイムで音楽シーンを体験してきた同世代のライター4人と一緒に、90年代J-POPに真っ向から向き合った、至って真面目な内容だ。

昭和歌謡やシティポップのディスクガイドは多く存在するが、90年代のJ-POPはそこまで深く語られておらず、このディスクガイドを通じて90年代の音楽を知っていただけると嬉しい。1990年は今から35年も前のことなので、すでに大昔と呼んでもいいのかもしれないが、書籍に掲載されているアーティストの多くは現役で活躍しているというのも、ある意味驚異である。

この書籍の情報が解禁されたときに、ファンキー加藤さんがすぐに反応してくださり、ご自身を “Mr.90’s” と称されていたのがとても嬉しかった。そんなファンキー加藤さんと同世代の40代はもちろん、最近増えている30代以下の8センチファンにもぜひ読んでいただきたいディスクガイドだ。この機会に改めて90年代のJ-POPを再評価していただけると、リアルタイム世代である筆者としてはとても嬉しい。

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