藤枝順心の全日本高校女子サッカー選手権3連覇に隠されたドラマ…ダブルキャプテン佐藤ふう&植本愛実、2人の絆にヒデも感動
SBSラジオの静岡サッカー熱血応援番組「ヒデとキトーのFooTALK!」に、第33回全日本高校女子サッカー選手権で3連覇を果たした藤枝順心高校サッカー部の中村翔監督、佐藤ふう、植本愛実(オンライン)の両キャプテンをお招きしました。聞き手はパーソナリティのペナルティ・ヒデさんと鬼頭里枝さん(2025年2月4日放送)
ヒデ:あれ、なんで愛実ちゃんはスタジオに来ないんですか?今どちらに?
植本:千葉にいます!
ヒデ:もう内定しましたからね。
鬼頭:その話も後ほど聞きたいと思います。
「ふう&ヒデ」…
ヒデ:まずは監督、有言実行ですよ。でも決して楽な試合だったとは思わない。大変なシーンもありました。3連覇した今の気持ちをお願いします。
中村:今年の選手たちだったらやれると思ってました。植本と佐藤が中心になって成し遂げてくれるだろうと思って、彼女たちにキャプテンを託したので、その通りにチームを引っ張ってくれて、本当によくやってくれたなと思います。
ヒデ:ただね、予選の県大会は2位通過でした。
中村:予選が始まる前から、全国大会に臨む上ではチームとしてもいくつか改革をしていかなきゃいけないと感じていました。予選を一つポイントとして、どう全国に向かっていくかを考えていけば、全国制覇もできるなと思っていました。
ヒデ:そして見事期待に応えてくれました。キャプテンの佐藤さん、もう「ふうちゃん」でいいですよね?俺たち、そういう仲だもんね?もう2回目だから。
鬼頭:近い、近い。
ヒデ:ふう&ヒデだもんね?偉業を成し遂げましたけど、あらためて今の気持ちを。
佐藤:もう本当に嬉しいなって感じです。この1年間やってきたことが最後の大会で、結果として表れて本当に良かったと思います。
ヒデ:県予選は2位で通過となり、焦りはなかったですか?
佐藤:焦りはなかったけど、その時に全国大会ではいろんなチームに分析されて、止められる部分が増えてくるんだろうなっていうことを、その負けから得られました。自分が感じたことをすぐチームに伝えて、みんながもっとそれを自覚して練習できるよう自分も取り組みました。
ヒデ:愛実ちゃんは?
植本:今年は特に新しいことにチャレンジすることが多くて、そういった部分が自信に繋がっていったので、選手権を戦ってる最中はもう負ける気がしなかったです。
鬼頭:この選手権、順心は6試合で39ゴール、無失点。そして植本キャプテンは6ゴールと大活躍でした。
中村:こんなに得点を重ねるとはちょっと思ってなかったですね。
鬼頭:1試合目は17-0とすごかったですけど、決勝も5−0でした。
ヒデ:爆発したね。
植本:点を取りたい気持ちと、絶対ゴールを守るんだっていう気持ち、各ポジションでの責任を1人1人がしっかり持てていたから結果に繋がったかなって思います。
ベストゴールは佐久長聖戦の一発
鬼頭:どれが自分の中のベストゴールですか?
植本:佐久長聖戦のミドルシュートです。あの時はとにかくミートすることを意識していました。
鬼頭:喜び方も選手の皆さんキュートでかわいらしいですよね。「女子サッカーいいな」ってテレビで拝見して思いました。
ヒデ:藤枝順心は分析され続けても勝ち続けています。監督としては、その立場が長く続いていて難しさも徐々に出てきてるのでは?
中村:うちを何とか倒そうというチームばかりだと思うし…。ただ、選手たちにも言い続けてきたのですが、プレッシャーも含めて、その立場にいる人しか感じることができないもの。全国で順心にしかないと。どこよりも成長できる要素が詰まった1年間だからこそ、いろんなことにチャレンジして、それを上回るチームになろうってことはずっと言ってました。
ヒデ:さすが順心の一言です。
ダブルキャプテンが描いた夢
鬼頭:佐藤キャプテン、今回はみんなを支える方に回る時間も多かったと思うんだけど、最後決勝の時には…。
ヒデ:いや~、これね!
鬼頭:監督も粋だなと思いました。
ヒデ:こういうことする人でしょ?もう俺、大体わかってきた。
中村:大会が始まる前から、もうその絵をイメージしていました。
ヒデ:いや~、しびれるね。
鬼頭:佐藤主将は(植本主将から)キャプテンマークを託されて、最後にピッチに立ちました。
ヒデ:絶対そこまでいくって絵まで浮かべて、そしてこのシーン。これは感動するわ。
鬼頭:どんな思いだったんですか?
佐藤:前から愛実と約束してました。決勝で自分がもし出たら、そのキャプテンマークを自分にまかせてもらって、最後優勝して抱き合おうとまで決めてました。それが叶った時は、サッカー人生で一番嬉しかったです。
鬼頭:きちっとチームを締めて優勝に導いた。涙なくして、ですよ。
ヒデ:親心も、監督さんの思いも、それを実現する選手たちも素晴らしい。
鬼頭:家族みんなで全国から来て、寮で暮らしたりして、女の子たち頑張ってますもんね。家族の思いもスタンドにあります。
中村:頑張ってない選手は誰1人いなくて、だからこそ「他の選手たちのために勝とう」ってずっと言ってましたね。それを「ちゃんとプレーで示そう」って。そういうのを次に繋げて、みんなで最後に最高の冬にしようとも言ってました。
負けて再認識した自分たちの良さ
ヒデ:苦しかった時期をそれぞれお聞きしたいです。今年はどうでした?
佐藤:負けが続いた時期かな。皇后杯、ファイナルズ、県大会の決勝と続けて負けました。「もっと変わらないとね」って、より愛実と話すことも増えたし、新しいことも始めました。
ヒデ:常勝軍団で勝ち癖ついてたから、逆に負けることで学ぶことってあると思う。
中村:本来の自分たちの良さは何かを再認識した時期だと思います。県予選のところも含めて、自分が試合を決めなきゃいけないとか、自分が自分がっていうプレーがちょっと多すぎて、それが彼女たちの本来の良さを消してる部分もありました。
自分たちのいいところって何だったかという話を徹底していきながら、それぞれ戦っていく上で、何度も何度もグループでやり取りをしたり、個人でやり取りしたりしながら歩んできました。
「チームの中心が崩れなければ、チーム全体が崩れることはない」
ヒデ:愛実ちゃん的には、ふうちゃんと話し合ってた時に特に印象に残ってる言葉とかありますか?
植本:選手権が始まる直前のミーティングのときに、自分自身も崩れそうになりかけてた時もあったんですが、「チームの中心が崩れなければチーム全体が崩れることはない」っていうのを聞いて、絶対耐えようとずっと思って選手権を乗り切りました。
ヒデ:覚えてますか?
佐藤:覚えてます。
ヒデ:どういう思いで言ったんですか?
佐藤:ちょうど移動の時にバスで本を読んでて、その本の一言がすごい今の自分と愛実に刺さるなって思いました。中心となるのは自分だけじゃなくて愛実もだから、それをすぐに愛実に伝えようと思って、全体のミーティングが終わった後に残って伝えました。
ヒデ:なんかいい関係ね~。監督が任せる理由がわかりました。
互いの良さを引き出す強さ
鬼頭:毎年強いんですけど、今年は特に何が強かったんですか?
中村:良さを引き出し合うのがすごくうまかったです。支え合いがよくできてるチームでした。ここぞっていうときに爆発力が出てくる。
インターハイもそうでしたけど、選手権もやってみて、決勝で神村学園にあれだけ大勝するっていうのは、僕の予想を上回ってきました。
ヒデ:点が入る入る。
中村:スタートから今までに見たことないモチベーションとパワーで入ったゲームだったと思いますね。先制点がそれを物語っていました。
ヒデ:本当そうですね。申し訳ないけど、勝負が決まっちゃったなと思いました。
藤枝駅前、V3パレードに1000人が集結
ヒデ:パレードしましたね。どうでしたか?
鬼頭:2月1日に藤枝駅前をパレードされたんですね。すごい数の方だったと。
佐藤:人が多くてびっくりしました(笑)スタジアムの時よりは少ないけど、地元であれだけ人が集まるのは嬉しかったし、初めてでした。
ヒデ:お友達とか知り合いとかはいました?
佐藤:たくさんいました。
ヒデ:ちょっと照れくささもあったりとか?
佐藤:はい。
ヒデ:愛実ちゃんはいかがですか?
植本:思ってた人数の倍ぐらいいました。500人集まればいいぐらいなんじゃない?って思ったのに、1,000人も来てくださって驚きでした。
鬼頭:たくさん優勝している順心ですが、今回が初めてのパレードだったということです。何かきっかけがあったんですか?
中村:多分史上初の3連覇っていうのが一番大きいんじゃないですかね。
ヒデ:あのパレードを見て、「私もいつか」って思ってる子どもたちもいらっしゃるでしょう。すごい勇気を与えたと思います。
「山あり谷ありの濃くて最高な3年間だった」
ヒデ:2人とも卒業が近づいてきました。どんな3年間でしたか?
佐藤:山あり谷ありの濃くて最高の3年間だったなって思います。
植本:今振り返っても苦しかったことの方が多かったんですけど、最後こうやって笑顔で終われて最高です。
ヒデ:最高だよね。もうみんなが知ってる学校のサッカー部のキャプテン。
鬼頭:負けたことないんですよ。
ヒデ:そして進路は…。
佐藤:大学でまた4年間…。
ヒデ:JD!?………全然ウケないってことは、もうJDって言わないんですね。
鬼頭:中村監督だけ笑ってます(笑)今大学生のことなんて言うの?
佐藤:え、大学生…。
ヒデ:そのままだよね。超恥ずかしい。俺知ってるでしょ?みたいな感じで言っちゃった。
鬼頭:大学でもサッカーを?
佐藤:続けます。
ヒデ:それは嬉しいね。
植本選手はジェフ千葉レディースに加入
鬼頭:植本キャプテンはもう千葉で新しいチームにいらっしゃるんですね。
ヒデ:雰囲気とかはどうでしょう?慣れた?
植本:今日初めて参加してきました。
鬼頭:WEリーグのジェフ千葉レディースに加入ということで、今千葉からオンラインで参加しています。初日ってちょっとドキドキですね。1人部屋?
植本:1人部屋です。
鬼頭:大人の女性たちの中に入ってどうだった?
植本:みんな優しかったんで、めっちゃやりやすかったです。
ヒデ:こっから部屋にポスターとか貼るの?
植本:貼らないです。
ヒデ:貼るでしょうが!!
鬼頭:ヒデさん、もう時代が違う(笑)
ヒデ:俺のポスターを送りますから。
鬼頭:いらないって(笑)
大学でやりたいこと
鬼頭:これからの目標は?
佐藤:まず大学で一人暮らしをするんで大学生活に慣れて。
鬼頭:もうマンション決めた?
佐藤:決めました。
ヒデ:まずはセキュリティだから。俺もJKの娘が家を出ようとしてるからさ、絶対出さんって決めてる。
鬼頭:出してあげてください(笑)ところで、サッカー以外に何やってみたいの?
佐藤:とりあえず、ちゃんみなのライブに行きたいです。
鬼頭:いいよね。ハマってるんだね。
中村監督ってどんな人?
ヒデ:監督は新たな卒業生を送り出す時、いつもどういう心境なんですか?
中村:それぞれの道に向かって頑張ってほしいなって思ってるんで、活躍を見るのは毎年楽しみですね。それを知るとすごく自分の励みにもなります。大学のチーム、WEリーグのチーム、なでしこもチェックしたりしてます。
ヒデ:佐藤キャプテンからご覧になって、どんな監督でしたか?
佐藤:最後の最後までいじってくる監督でした(笑)
ヒデ:距離感いいね。
植本:いじられっぱなしの3年間でした(笑)
ヒデ:これが強さだわ。相思相愛でちゃんと信頼し合って。
中村:楽しいですよ、毎日。
ヒデ:監督冥利につきるよね。
静岡への誇りと感謝を胸に
鬼頭:最後にメッセージを頂戴したいと思います。
中村:順心が頑張っていいニュースを届けることで、静岡を盛り上げられたらいいなと思います。藤枝のチームですけど、藤枝に限らず、静岡県が一体になって喜び合う絵をどんどん描いていきたいなと思っています。
佐藤:最後この1年間、優勝2回していい報告ができたことをとても嬉しく思います。これから県外でサッカーをすることになるんですけど、今まで静岡で育ってきたからこそ、どの県に行っても静岡の誇りを持って、サッカーをこれからも頑張っていきたいと思います。
植本:最後の選手権では、今までにない地元の応援を感じてて、すごくそれが選手の励みになりました。その恩返しとして、自分がWEリーグで活躍して藤枝順心を広めて、藤枝にいい報告ができるように頑張ります。