「下限は厳守で上限は目安!」シマアジ釣りにおける【指示ダナ】の考え方と魚を喰わせるコツとは?
船に乗ってまきエサ釣りで狙うシマアジ釣り。前回は仕掛けについて解説しました。今回からは、いよいよシマアジの釣り方をお話していきます。メインのテーマはずばり「タナ」について。泳層(レンジ)をどう探り、どう見極めるかを掘り下げます。
指示ダナの考え方
シマアジ釣りでは、船長から「指示ダナ」がアナウンスされます。
たとえば「12から7」とアナウンスがあった場合、道糸のメーターマークを見ながらビシを水深12mまで沈め、そこから7mまでの5m間を、竿をあおるシャクリを入れながら徐々に巻き上げていく。これが基本操作です。
下限厳守で上限は目安
このとき、下限の12mより下へ沈めるのは厳禁。一方で、上限の7mは「自己責任で超えてもよい」範囲です。たとえば8m付近で仕掛けに何かが触るチェイスを感じたとき。私はさらに上、5mあたりまで丹念に探ります。
実際、こうした指示ダナより若干上の層でハリ掛かりするケースが多いのも事実です。つまり、指示ダナは下限は厳守・上限は目安。この考え方一つで、釣果が大きく変わることを何度も体感してきました。
シャクリの間隔とスピード
口を使うレンジの次に大切なのが「シャクリのパターン」です。50cm上げて巻く動作もあれば、1m上げて巻く動作もある。50cmずつ三段で巻いて静止させる場合もあれば、1.5m上げて長い間を与える釣り方もある。この「動と静の間」の取り方で、魚の反応がまるで変わります。
その日の魚のコンディションによってパターンは変わるので、シャクリの引き出しが多いほど有利ですが、釣れている人の真似をするのも一手。ただし「アタリがよく出るシャクリ」と「大型の個体を引き出すシャクリ」は、必ずしも一致しません。その違いを見極め、最適解を見出すことこそ、この釣りの面白さなのです。
魚に食わすアクション
また、シャクリを単なるまきエサを振り出す動作と考えず、「魚に口を使わせるためのアクション」と捉えると、釣果が大きく変わります。この発想の転換は、ここ数年の修業釣行のなかで得た大きな学びでした。
魚が口を使う水深
実釣を重ねて気づいたのは、アタリの出る層は魚探の反応より上にあるということ。ビシの位置で水深を測っても、ハリはそこから仕掛けの長さ分(2~3m)ほど下。それでも、実際に口を使うのはさらに上の層であることが多いのです。なぜなら、ハリ掛かりする魚は上層まで仕掛けを追い掛けて来る積極的な個体であるためだと思われます。
積極的にタナを引き上げる
魚探に出る反応の上限が10mでも、私は迷わずその上、7m、5mと探っていきます。この「10mの壁」は、魚の習性というよりも釣り人の心理にある限界かもしれません。アタリが出ない時こそ、タナを引き上げて魚に追わせる。仕掛けを上げてきてクラッチを切る水深が、その日を釣果を分けていると意識することから、私のシマアジ釣りは好転していきました。
次回は、まきエサを「寄せ餌」ではなく「トリガー」として使うための基本を整理します。
<川添法臣/TSURINEWSライター>