従業員エンゲージメント向上には、賃上げよりも働き方改革やウェルビーイングが重要 NTT調査
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(東京都品川区)は3月6日、NTTデータ経営研究所(東京都千代田区)と共同で、NTTコム リサーチ登録モニターおよび協力企業を対象に「働き方改革2024」に関する調査を実施し、その結果を公表した。企業では賃上げにとどまらず、働き方改革やウェルビーイングの推進、リスキリングへの取り組みにおいても二極化している実態が明らかになった。
記録的な賃上げにもかかわらず、半数以上は「満足度していない」と回答
近年の物価高騰や経済環境の変化を受け、国内企業では継続的な賃上げ機運が高まっている。2024年の春闘では賃上げ率は5%を超え、33年ぶりの高水準となった。こうした状況を踏まえ、今回の調査では、賃上げに対する満足度について聞いた。
2023年または2024年の月給・賞与で賃上げを経験した従業員(N=538)を対象に、賃上げ後の賃金が「物価上昇に対して追いついているか」「自身の業務に見合っているか」を質問したところ、「大いに感じている」または「感じている」と回答した人の割合は、物価上昇に対して15.8%、自身の業務に対して19.7%にとどまった。
一方、「あまり感じていない」または「感じていない」と回答した人の割合はいずれも過半数を上回った。
賃上げはあくまでも衛生要因、働きやすさやウェルビーイング向上に向けた施策がより重要に
続いて、賃上げが従業員エンゲージメントや勤続意向に与える影響について調べた。
全回答者(N=1080)を対象に、働き方改革、ウェルビーイング経営、能力開発・支援などの取り組みが与える影響を調査した結果、これらに取り組んでいる企業は、取り組んでいない企業に比べて、従業員エンゲージメントや勤続意向が約2倍から3倍高いことが判明した。
調査を実施したNTTデータ経営研究所は、賃上げは衛生要因に過ぎず、働きやすさやウェルビーイング向上の取り組みがなければ、従業員エンゲージメントや勤続意向は高められないとし、人材の流動性が高まる中、企業はこれまで以上に従業員の流出に対して危機感を持つ必要があるとコメントした。
調査の名称は、NTTコム オンライン共同調査「働き方改革2024」。2024年11月5日から2024年11月11日にかけて、経営者・役員含む従業員規模10人以上の企業で働く20歳代~50歳代の正社員(ホワイトカラー職種)を対象に調査を実施し、1080人(男性591人、女性489人)から回答を得た。
調査の詳細は同社の公式リリースで確認できる。