『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』ヴォルデモートのマルフォイへのハグはアドリブ、「鳥肌が立った」
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011)には、ヴォルデモート(レイフ・ファインズ)がドラコ・マルフォイ(トム・フェルトン)にハグするシーンが登場する。これはファインズのアドリブであり、予告なくハグされたフェルトンはゾッとして「鳥肌が立った」という。当時の様子や心境を、自身の回顧録で詳細に振り返っている。
同シーンは『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』の終盤、 “ホグワーツの戦い” の中で登場。ヴォルデモートはホグワーツの生徒・教師たちの前で「ハリー・ポッターは死んだ」と宣言し、自分に忠誠を誓うか死ぬかの二択を迫る。マルフォイ夫妻が息子のドラコを呼び寄せると、ドラコは複雑な表情で両親の元へと歩みを進める。その間に立つヴォルデモートは「いいぞ ドラコ」と言って両手を広げ、「よくやった」と言いながらドラコにぎこちなくハグをする。このシーンはファンの間で「不気味」「ゾッとする」と話題になり、一部では「気まずさが笑える」としてミーム化されている。
同シーンの撮影について、フェルトンは著書『Beyond the Wand: The Magic and Mayhem of Growing Up a Wizard』にてこう振り返っている。「あの歩みを30回か40回は繰り返したと思う。ほとんどのテイクで、僕は同じことをした。距離を保ち、ゆっくり歩き、うつむき、少し恐怖を感じながら、ヴォルデモートのそばを歩くんだ」。
一方、ファインズは毎回違った演技をしていたらしく、「時に笑顔を見せたり、見せなかったり。時にモノローグを中断して、僕に戻るように言ったり」と回顧。続けて、「あるテイクの途中で、僕が何度目かの歩みを進めると、彼が少し腕を上げたんだ。それはほんのわずかな動きだったが、僕の動きを止め、“彼は僕をハグしようとしているのか?”と考えさせるものだった」と、ファインズのアドリブに動揺したことを明かした。
確信が持てないまま、ファインズに近づいていったというフェルトン。「すると彼は僕に腕を回し、映画史上最も歓迎されないであろう(uninviting)ハグをしたんだ。撮影現場にもかかわらず、僕は寒気を覚えた。ヴォルデモートからのハグは、ドラコにとって恐怖だったし、トムにとっても同じくらい気まずいものだった。あの時は鳥肌が立ったし、今でも思い出すと鳥肌が立つ」。
また、米のインタビューでは、ハグされる直前の自身の心の声を明かしたフェルトン。気まずそうな笑顔を浮かべながら、「彼は何してるんだ?」「まさかハグするわけじゃないよな?」「さあ来たぞ」とユーモアたっぷりに再現している。
フェルトンによると、ハグされたのは計50テイク中の1テイクで、本編を観るまで「あれが使われるとは知らなかった」とのこと。ロンドンのプレミア上映では、同シーンで「観客が完全に静まり返っていた」といい、「あの瞬間は非常にぎこちなく、ヴォルデモートの歪んだ愛情表現を見るのは間違いのように感じられた。周りの誰もが、居心地悪そうに息を殺しているのがわかった」と綴っている。
Source:Beyond the Wand: The Magic and Mayhem of Growing Up a Wizard (via ),