神宮外苑の再開発。なぜ計画され、どこが問題視されている?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティーを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、6月17日の放送は「神宮外苑の再開発問題」について、ハフポスト日本版編集長・泉谷由梨子に話を聞いた。同問題には著名人も反対の声を上げ、見直しを求める署名も21万筆を超えた、という状況である。
長野智子「蓮舫さんは(神宮外苑の再開発問題を)都知事選の争点のひとつに持ってこよう、ということで。改めてどんな計画で、どんな問題があるのか教えてください」
泉谷由梨子「皆さんも坂本龍一さんが反対されていたとか、断片的にニュースで見たことあるかもしれませんけど、なかなかどういう計画なのかというところが、ご存じない方も多いのではないかと思います。明治神宮の外苑というところ、行かれたことありますよね?」
長野「もちろん。青春の現場です」
泉谷「デートスポットでもありますけど、本当に豊かな緑に囲まれて、あれだけ広くて東京の空を見渡せるって、貴重な場所だと思います。都市公園の未来のあり方をめぐって大きな論争になっている、といえるんじゃないかな、と。まず誰が開発しているのか。明治神宮の外苑というのは明治神宮が土地の大部分を持っています。そしてデベロッパーと呼ばれる三井不動産、伊藤忠商事、JSC(日本スポーツ振興センター)という、4つの事業者が今回の開発の主体となっています。東京都の土地なのかな、と思われるかもしれませんが、じつは民間の土地なんです」
長野「そうですね」
泉谷「神宮球場やラグビー場が老朽化したので建て替えが必要になっている、というのが始まりで。宿泊施設、商業施設、高層ビルなんかを建てて得られる費用で、建て替え資金をまかなおう、というのが再開発の構図になっているんですね。明治神宮としては、神宮には内苑という杜もあります。お社やそういったものを守る費用をまかなうためにも開発しないといけない、という財務上の問題もあるということです」
長野「明治神宮の財政問題だとか、あるいは小池百合子さんの『民間事業が……』とか、というのはその辺がバックグラウンドだということですね」
泉谷「はい。建設計画の中には高層ビルが3棟計画されており、うち2棟は100メートル近くという巨大なビルになる、ということで景観も変わりそう、というのがポイントのひとつです。まず再開発、反対の声が高まるきっかけとなったのが、2022年の2月だったんです。3メートル以上の樹木743本が伐採される、ということが判明したとき、一気に反対の声が高まりました。シンボルである4列のいちょう並木がありますよね」
長野「はい」
泉谷「さすがにあれを全部切ろう、という計画ではないんです。ただあのギリギリまで野球場の壁が迫ってくるので、木の根などへの影響が懸念される、というところです。亡くなられましたけど坂本龍一さんであるとか、村上春樹さん(が反対)。あとサザンオールスターズが曲をつくって、文化人も反対を表明して運動が大きくなっています」