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住宅ローン変動金利が16年ぶりに上昇。家を買う人はどうすべき?

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【画像出典元】「JOURNEY STUDIO7/Shutterstock.com」

2025年4月、住宅ローンの変動金利が16年ぶりに引き上げられました。これまで続いてきた超低金利時代が終わりを迎える兆しに、住宅購入を検討している人の間では不安の声も広がっています。とりわけ、変動型を選ぶ方にとっては、将来的な返済負担や市場の動きを見極めることが欠かせません。

そこで本記事では、金利引き上げの背景や今後の見通しを整理しつつ、自分に合ったローンの選び方について考えていきます。

住宅ローンの変動金利が上がった背景とは

【画像出典元】「Dontree_M/Shutterstock.com」

変動金利が引き上げられた背景には、日銀の政策転換をはじめとした金利環境の変化がありました。

金利引き上げのきっかけになった日銀の政策転換

住宅ローンの金利は、日本銀行(=日銀)の金融政策に強く影響を受けます。これまで日銀は、景気を下支えするために「マイナス金利政策」を導入し、金利を極端に低く保ってきました。銀行が企業や個人にお金を貸しやすくなることで、経済を活性化させようという狙いがあったのです。

しかし、物価の上昇や賃金の変化などを受けて、日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、政策金利を0.1%に引き上げました。これに伴い、銀行が基準とする「短期プライムレート(優良企業向けの短期貸出金利)」も上昇し始めます。

住宅ローンの変動金利は、この短期プライムレートに連動しているため、政策金利の変化が私たちの暮らしにも直接影響を与える結果となったのです。

住宅ローン金利はどれくらい上がったのか?

多くの銀行では、住宅ローンの変動金利を短期プライムレートに連動させて設定しています。短期プライムレートとは、銀行が企業に短期間でお金を貸す際に使われる代表的な金利のことで、日銀の政策金利が上がれば、それに応じてこのレートも上がる仕組みとなっています。

今回、日銀の政策金利が引き上げられたことで短期プライムレートも上昇し、その結果2025年4月には各銀行が変動金利を0.3~0.5%程度引き上げる動きに出ました。では、この金利の変化が毎月の返済額にどれほど影響するのか、具体的に見てみましょう。

【試算条件】
・借入額:3000万円
・返済期間:35年(420カ月)
・元利均等返済(毎月の返済額が一定)


元利均等返済の毎月の返済額は、次の式で求められます。

【計算式】
・毎月の返済額 = 借入額 × 月利 ÷ [1 − (1+月利)^−返済回数]

金利が0.4%から0.7%に上昇した場合、返済額は以下のようになります。

【試算結果】
・金利0.4%の場合:約76,557円/月
・金利0.7%の場合:約80,556円/月
・差額:約4,000円/月の増加

変動金利型ローンは今後どうなる?

【画像出典元】「takasu/Shutterstock.com」

金利は今後どう動くのか、そして変動金利を選ぶ際に注意すべきことは何かを考えてみましょう。

今後さらに金利は上がるのか

現在の変動金利は、歴史的に見てもまだ低い水準にあります。たとえ0.7%まで上がったとしても、2000年代前半の2~3%台と比べれば、まだまだ控えめな数字です。ただし、金利は一度上がり始めると、どこまで上がるかを正確に予測することはできません。

特に今回のように、日銀がマイナス金利政策を解除し、政策金利を引き上げたというのは大きな転換点です。今後も物価や賃金の動向によっては、さらなる利上げが行われる可能性もあります。仮に政策金利が段階的に引き上げられれば、それに連動する短期プライムレートも上がり、変動金利もじわじわと上昇していく可能性があります。

つまり、「今はまだ大丈夫だから」と安心せず、これからの金利の動きにも注意を払っておくことが重要だと言えます。

金利上昇で返済額はどう変わる?

変動金利型の住宅ローンでは、金利が上がると返済額も増えていきますが、多くの金融機関では「5年ルール」や「1.25倍ルール」といった仕組みが用意されています。たとえば「5年ルール」では、金利が上がっても5年間は返済額が変わらず、「1.25倍ルール」では見直し時に返済額が最大で1.25倍までしか増えないように制限されます。

ただし、これらのルールはあくまで急激な返済負担を緩和するための仕組みであり、金利上昇リスクを完全に回避できるわけではありません。金利が大きく上がった場合には、毎月の返済額では利息を賄いきれず、「未払い利息」が発生する可能性もあります。

また、これらのルールが適用されない金融機関や商品も存在するため、自分がどのようなローンを契約しているのか、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。変動型を選ぶ際は、金利変動リスクをきちんと理解し、繰上返済や固定期間型との比較も検討しておきましょう。

変動金利を選ぶなら、どんな人が向いている?

【画像出典元】「SuPatMaN/Shutterstock.com」

変動型の住宅ローンにはメリットもリスクもあります。ここでは、どんな人に向いているのかを整理します。

リスク許容度とライフプランで考える選び方

変動金利型の住宅ローンは、金利が低い時期であれば、毎月の返済額を抑えられるため大変魅力です。ただし、今後の金利動向によっては返済額が急激に増える可能性もあるため、ある程度の「リスク許容度」がある人に向いています。

たとえば、収入に余裕があり、金利が上昇しても家計を圧迫しない範囲で対応できる人。あるいは、短期間で繰上返済する予定がある人や、ローン期間そのものをかなり短く抑えている人なども、変動型を選ぶメリットが大きいでしょう。

さらに、共働きで家計にゆとりがある場合や、ライフプラン上、教育費がかかるタイミングと返済が重ならない人も、金利変動リスクを管理しやすくなります。

逆に、将来の収入が不安定だったり、長期でローンを組んだりする場合は、リスクが読みにくい変動型よりも、固定期間型などの選択肢を検討する方が安心と言えるかもしれません。

借入額・返済年数による影響の違い

変動金利型ローンを選ぶ際には、「借入額」と「返済年数」が、将来の金利上昇による影響の大きさを左右します。一般的に、借入金額が多くなるほど、金利が上がった時の利息の変動幅も大きくなります。

たとえば、2500万円を20年で借りたケースと、4500万円を35年で借りたケースで比べると、同じ0.3%の金利上昇でも、後者の方が総返済額の増加は何倍にも膨らむ可能性があります。

ただし、これはあくまで一例に過ぎず、実際の影響は借入条件や金利変動のタイミングによって変わります。大切なのは、「借入額が多く、期間が長いほど、金利リスクも大きくなる」という構造を理解しておくことです。

数字にとらわれすぎず、自分の返済計画に合ったリスクの取り方を意識することで、より納得のいくローン選びができるでしょう。

まとめ

住宅ローンの変動金利は、金利が低い時期には月々の返済額を抑えるメリットがありますが、金利が上昇した場合のリスクが常に伴います。特に、借入額が大きく返済年数が長くなるほど、金利変動の影響は大きくなります。

そのため、変動金利を選ぶ際は、金利が上がる可能性を念頭に置いて、自分の収入やライフプランを見据えたリスク許容度をしっかりと考慮することが大切です。

自分に合った金利タイプを選び、計画的に返済していけば、将来の不安を減らし、無理なくマイホームを手に入れることができるでしょう。

※本記事の内容は、執筆者の個人的見解です。住宅ローンに関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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