昭和の子どもの心を掴んだ!ロボット玩具として忘れられない!?「マグネモシリーズ」とは
SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回はロボット玩具として忘れられない!?「マグネモシリーズ」についてお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん
手足が入れ替え可能!? 小学生の心を掴んだマグネモシリーズ
玩具というのは「プレイバリュー」が大事です。プレイバリューというのは「遊びがい」のことです。玩具は遊べないとダメだし、いろんな遊び方ができればできるほどうれしいもの。例えば「武器を発射できる」とか「自由にいろいろなポーズが取れる」というのもプレイバリューのひとつです。
合体や変形もプレイバリューのひとつになるわけですが、70年代のいわゆる「スーパーロボット」ジャンルに分類されているロボットがいろんなギミックを搭載しているのは、これらの作品が玩具と二人三脚でできていて、ロボット玩具のプレイバリューを探った結果というわけです。
その中で今回取り上げたいのは「マグネモシリーズ」です。1975年の『鋼鉄ジーグ』、その後番組の『マグネロボ ガ・キーン』、さらにその後番組の『超人戦隊バラタック』という3作品、そこに制作会社の異なる『ゴワッパー5 ゴーダム』を加えて4作品で、タカラから「マグネモシリーズ」という冠で玩具が発売されました。
この「マグネモシリーズ」というのは関節のところが磁石を仕込んだ球形の金属になっており、関節が自由に外せるようになっています。球形の関節なので自在にいろんな方向へ変えられて、ポーズを自由につけることができます。また、作中のパワーアップに合わせてパーツを差し替えることでも遊べました。
さらに言うと、2体買ってもらったらミックスビルドもできます。ジャンルでいうと超合金の仲間なのですが、手と足を入れ替えて変な姿にしたり、ブリッジとか変なポーズも取れるので、小学生にとってはそれだけでも面白いんですよね。そういう意味では、玩具市場でもインパクトの強いアイデアだったと思います。
この商品、世に出るまでの経緯もおもしろいです。タカラは元々、ミクロマンなどで磁石を使ったギミックを試していたそうなんですが、磁石を使った球体関節というギミックを、どういう形で世に出すかをかなり模索していたようです。
試作品を作ったところ『テレビマガジン』の編集長がそれを見て、玩具として面白いから、商品にするためにはキャラクター性を持たせようと、そこでダイナミックプロへ話を持っていったそうです。そこで永井豪先生と安田達也さんで出たアイデアが「鋼鉄ジーグ」。なので、こうして雑誌の采配でダイナミックプロがデザインしたロボットのアイデアが生まれ、それがアニメ化されたという流れです。
『鋼鉄ジーグ』はアニメの人気はほどほどなんですが、玩具はミリオンセラーになりました。そこで翌年はアニメオリジナルで『マグネロボ ガ・キーン』、『超人戦隊バラタック』まで作られたというわけです。
後に合体や変形のいろいろなギミックが出て、磁石も積極的に使われるようになるのですが、関節に使ったこのシリーズはかなりユニークな存在かつ、玩具発でアニメになっていったという経緯も含めて記憶に残るアイテムかなと思います。