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2024年問題に2025年問題…人材確保が一層困難に 特に正社員不足が深刻な業種は?

Shizuoka

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■正社員不足は企業全体の半数以上 情報サービスは71.9%でトップ

幅広い業種で人手不足が深刻な状況となっている。2024年問題により拍車がかかり、2025年問題で一層の労働力不足が予想されている。正社員が足りないと感じている企業は全体の半数を超え、中には7割を超えている業種もある。

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民間の調査会社・帝国データバンクが7月に実施した調査の結果、「正社員が不足している」企業の割合は51.0%で半数を超えた。昨年同月比で0.4ポイント低下、過去最高だった2018年11月時点の53.9%よりは若干下がっているが、依然として高い水準となっている。

業種別ではITエンジニアの不足が目立つ「情報サービス」が71.9%でトップだった。企業側からは「ソフト開発案件は首都圏を中心とした案件が地域に向けても多く出ているが、スキルマッチした要員が不足しており受注に至らない」、「人手不足が原因で、引き合いも増えている中でお断りすることも多く、新しいこと にチャレンジする時間も確保できない」といった声が多いという。

「情報サービス」に次いで高かったのは、「建設」で69.5%だった。時間外労働の上限規制が強化された「2024年問題」の影響もあり、前年同月から1.2ポイント増加した。

次いで、「メンテナンス・警備・検査」の65.9%、「旅行・ホテル」の65.3%、「運輸・倉庫」の63.4%となっている。「メンテナンス・警備・検査」は若年層の不足が顕著で、「旅行・ホテル」は過去最多と勢いのある訪日客のインバウンド需要に人材確保が追いついていないという。

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■人手不足による倒産は過去最多ペース 2024年問題が直撃

深刻な人手不足は企業経営を圧迫している。人手不足による倒産は今年の上半期(1~6月)で182件と、過去最多を大幅に上回るペースで推移している。そのうち、53件が建設業、27件は物流業と2024年問題の影響が色濃く表れている。

来年は団塊の世代が後期高齢者になって労働力不足が加速する「2025年問題」により、人材確保は一層難しくなる予想されている。また、総務省の調査では2023年時点の転職等希望者は過去最多となる1035万人に上り、転職市場は活発になっていることから、帝国データバンクは今後を次のように予測している。

「より魅力のある企業へ労働力移動が活発化し、労働者から『選ばれる会社』としての勝敗がこれまで以上に鮮明になるだろう。業界を問わず、人材の流出を防ぐには自社でしか得られないスキルや経験、給与水準などの差別化が欠かせない。企業にとって最も重要な経営資源ともいえる人材の確保・定着に向け、企業の人事戦略は一層重 要性が増しているといえよう」

帝国データバンクは7月、全国2万7191社を対象に「人手不足に対する企業の動向調査」を実施した。1万1282社から回答があり、回答率は41.5%だった。

(SHIZUOKA Life編集部)

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