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外来種だけど減ると困る【東京湾のホンビノスガイ】 食用としての地位を確立?

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本来は外来種であるホンビノス(提供:PhotoAC)

日本国内で繁殖を続ける外来種の生き物たち。その多くは邪魔者として扱われ、駆除の対象となっています。しかし、外来種にもかかわらず食用としての地位を獲得し、プライドフィッシュにも選定された生物がいます。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

プライドフィッシュとは

プライドフィッシュとは日本全国の漁師さんが選んだ本当に美味しい海産物のことです。

主に海に面した都道府県から海産物が選定されており、プライドフィッシュという名前が付いているものの、魚だけではなく貝類や甲殻類、海藻なども対象となります。

ホンビノスガイ

現在、千葉県では11種もの海産物がプライドフィッシュに選定されています。その中の一つ、春に旬を迎える「東京湾のホンビノスガイ」は本来、日本には生息しない二枚貝です。

本種の原産地はアメリカ東海岸ですが、現在は日本に定着しており、食用としての地位を獲得しています。千葉県の船橋市地先の三番瀬はホンビノスガイの漁場と知られ、船橋漁港は県内で一番の漁獲量を誇ります(東京湾のホンビノス貝-プライドフィッシュ)。

原産地・アメリカではクラムチャウダーの原料として知られており、日本では浜焼きや酒蒸しで食べられています。

ホンビノスガイの発見は意外と最近

今でこそ、食用二枚貝として一般化したホンビノスガイですが、日本ではいつ頃から見られるようになったのでしょうか?実はホンビノスガイが発見されたのは意外と最近のことです。

1999年、本種と同定されるホンビノスガイの幼貝が東京湾から発見。2003年には東京内湾のアサリ漁場で見られるようになり、年々漁獲量は増加。2017年の三番瀬では1676トンもの漁獲量を記録しました。

日本に侵入した経緯

では、なぜ北米原産のホンビノスガイが日本へやってきたのでしょうか?

実は侵入した経緯は外航船のバラスト水と考えられています。バラスト水とは荷物を積載していない船を安定させるたねに船内に貯めこむ水のことです。バラスト水にはその地域の海水で使用されることから、到着後の排水に含まれる外来生物が問題となっていました。

2017年、バラスト水に関する国際条約(バラスト水管理条約)が発効され、船舶は承認されたバラスト水処理装置での処理が義務付けられています(船舶バラスト水規制管理条約の現状について-環境省)。

外来種だけど減ってしまうと困る

ホンビノスガイは千葉県船橋の新名物となり、2017年には1676トンもの漁獲量を記録。漁獲量増加に伴って流通量も増加、市場でもごく普通に見られる貝類となりました。

飲食店での取り扱いも増え価格も次第に高騰しています。かつて、「白ハマグリ」として安価なハマグリのような位置づけでしたが、現在のホンビノスガイに安価なイメージはありません。

調理されるホンビノスガイ(提供:PhotoAC)

そんなホンビノスガイですが、三番瀬での漁獲量は2017年のピークを境に減少傾向といいます。

船場市ホームページで公開されているホンビノスガイの漁獲量を見ると令和元年772トン、令和2年438トン、令和3年199トン、令和4年81、令和5年53トンと著しく減少していることが分かります(船橋の漁業-船橋市)。

ホンビノスガイの減少の原因はいくつ考えられており、バラスト水管理条約により日本へ移入するホンビノスガイが減少したとの指摘もあるようです。

本来、外来種は駆除の対象となるため、ホンビノスガイのような例は珍しいと言えます。現在では、国内での資源量が減少し水産業者にも影響が及んでいます。今後、ホンビノスガイがどのような立ち位置になっていくのか目が離せません。

参考

(「新江戸前の貝図録」-一般財団法人東京都内湾漁業環境整備協会)

(ホンビノスガイについて-千葉県)

(<ちばライブ>「江戸前の新名物」水揚げピンチ 三番瀬ホンビノスが激減 専門家「資源再生着手を」-東京新聞)

<サカナト編集部>

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