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「脚本の中に引きずり込まれる感覚」世界が注目する奇才アーロン・シンバーグ監督は何者か?『顔を捨てた男』

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「脚本の中に引きずり込まれる感覚」世界が注目する奇才アーロン・シンバーグ監督は何者か?『顔を捨てた男』

セバスチャン・スタン主演×アーロン・シンバーグ監督、A24が贈る映画『顔を捨てた男』が、7月11日(金)より公開される。

目の前に現れたのは、“かつての自分”にそっくりな男

顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」にそっくりな男オズワルドだった。その出会いによって、彼の運命は想像もつかない方向へと逆転していく——。

メガホンをとったのは、本作の脚本も手掛ける気鋭アーロン・シンバーグ。<外見が変われば幸せになれるのか?>という普遍的なテーマを、「他者からの見られ方」や「自分の見せ方」を過剰に追い求める現代に問う、異色の不条理スリラーとして誕生させた。

『顔を捨てた男』© 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督3作品目にして、世界で受賞を重ねる奇才アーロン・シンバーグ

ニューヨークを拠点に活動するシンバーグは、『Go Down Death(原題)』(13)で長編監督デビュー。続く、長編2作目『Chained for Life(原題)』(18)では、本作のキーパーソン・オズワルドを演じたアダム・ピアソンを主演に迎え、高い評価を受けた。そして、長編3作品目となる本作『顔を捨てた男』(23)では、シンバーグの才能に惚れ込んだA24と初タッグを組み、主演に『サンダーボルツ*』『アベンジャーズ』シリーズのセバスチャン・スタン、共演に『わたしは最悪。』のレナーテ・レインスヴェ、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』アダム・ピアソンら実力派を迎え、独創的なアプローチで「ルッキズム(外見至上主義)」をブラックなユーモアを効かせながら痛烈に風刺した。

シンバーグ監督は、過去に両唇口蓋裂の治療を受けた経験から外見やアイデンティティをめぐるテーマを描き続けてきた。「私の顔の変形のコンディションはごく一般的なものですが、作品においては、私のような人間は否定的で侮辱的な描写でしか見たことがありません。物心ついたときから、どうすれば自分のような人物を肯定的に、少なくとも自分自身の経験をリアルに見せることができるだろうかと考えていました」と振り返る。個人的な経験に着想を得ながらも、ひねりを効かせ、予想し得ない方向へと突き進む展開を主演のセバスチャン・スタンも「物語の展開に驚愕した。脚本の中に引きずり込まれる感覚だった」と大絶賛。

本作でシンバーグ監督は、スタンを「第74回ベルリン国際映画祭」最優秀主演俳優賞(銀熊賞)、「第82回ゴールデングローブ賞」最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ)受賞に導いたほか、「第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭」では最優秀脚本賞、「第34回ゴッサム・フィルム・アワード」では最優秀作品賞、「第36回パームスプリングス国際映画祭」では注目の監督賞を受賞するなど、その手腕が高い評価を受けており、今後の活躍にも大きな注目が集まっている。

『顔を捨てた男』© 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

シンバーグ監督の才能に目を付けたのが、『パスト ライブス/再会』(23/セリーヌ・ソン監督)のプロデューサーとして知られるクリスティーン・ヴェーコンだ。ヴェーコンは、『KIDS/キッズ』(95/ラリー・クラーク監督)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(02/ジョン・キャメロン・ミッチェル監督)、『キャロル』(15/トッド・ヘインズ監督)など、これまで30年近くにわたり100本以上の映画をプロデュースしてきた、インディペンデントから才能を見出す目利き。そこに、『ミッドサマー』(19)、『LAMB/ラム』(21)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)などの独創的な作品で映画史を塗り替えてきたスタジオA24も賛同。気鋭アーロン・シンバーグ監督との初のタッグで誰も観たことのない衝撃の異色作が誕生した。

メイキングカット
『顔を捨てた男』© 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『顔を捨てた男』は7月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

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