ハロウィンで仮装するのは人間だけではない⁉ 仮装した街の店頭人形を追う
昭和の時代にほとんど注目されてこなかったハロウィンは、今ではすっかり日本でもおなじみの行事となった。10月末のハロウィンは、七夕からクリスマスまでの行事閑散期を補うイベントでもあるし、お菓子を配ったり仮装したりという内容が日本人好みでもあったのだろう。
10月になって仮装をし始めた店頭人形たち
2024年も10月最後の週末には、各地でハロウィンイベントが行われたようで、思い思いの仮装をした子供たちを街で見かけることができた。
ところで、仮装するのは何も人間ばかりではない。これまで商店の店頭に設置されてきた人形たちも、ハロウィンの時期に仮装をしていることがある。ハロウィンのために、カボチャや、
ガイコツ、
オバケなどが特別に置かれる場合もあるのだが、いつも置かれている店頭人形たちが、10月だけ仮装をするというのが趣深い。
今回はこうした「10月になってハロウィンの仮装をし始めた店頭人形たち」を見ていこう。
ハロウィンはクリスマスに並ぶ日本の行事になった?
街に飾られている人形や銅像の中には、ハロウィンの時期に限らず、年じゅういろいろな衣装に着替えるものがある。
たまたま10月だから、ハロウィンっぽい格好をさせたのだろうと思われる。
一方、めったに着替えなさそうな店頭人形たちが、ハロウィンの時期に仮装をしていることがある。こうした人形が仮装をするのは、だいたいハロウィンとクリスマスの年2回である。今やハロウィンは、クリスマスに並ぶ日本の行事になったわけだ。
商店街を挙げてハロウィンイベントを行うような地域では、店頭人形の仮装にもいっそう力が入る。子供にお菓子を配るハロウィンイベントを行った戸越銀座では、商店街のキャラクターである戸越銀次郎が、素敵な衣装に身を包んでいた。
ソフトクリームをオバケにもできる
ここまで、既存のキャラクターがハロウィン仮装をする様子を見てきた。しかし、そもそも店頭に飾っている人形がハロウィンっぽい存在だった場合はどうなるだろうか。そう、ガイコツを飾っている整骨院である。
以前にも整骨院のガイコツについて触れたコラムで紹介したが、神田の整骨院の入り口に飾られていたガイコツは、カボチャのかぶりものを付けられていた。
冒頭に紹介した店が、わざわざハロウィンのためだけにガイコツを用意しているのに対し、整骨院では、何もしなくてもハロウィンらしさが演出できるのだ。
自分の店の店頭にある人形は、全くハロウィンらしくない……と思っている店主さんたち、心配するには及ばない。上に挙げた戸越銀座を歩いていた際、「ハロウィンだからオバケのオブジェを置いているな」と思ってある店に近づいてみると、なんとそれは、ソフトクリームに目鼻が付いたものであった。
店側の創意工夫で、ソフトクリームをオバケにもできるのだ。
ハロウィンも終わると、続いて街はクリスマス準備に入っていく。ハロウィン仮装をしていた店頭人形たちが、今度はどのようなクリスマス衣装を身にまとうのか、今から楽しみである。
イラスト・文・写真=オギリマサホ
オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。