直筆50点を含む作品が集結!「異端の奇才——ビアズリー展」が2月15日~5月11日に『三菱一号館美術館』で開催
19世紀末の欧米を騒然とさせた奇才オーブリー・ビアズリー(1872-1898)。初期から晩年までの挿絵や希少な直筆の素描、彩色されたポスターや同時代の装飾など、約220点を通じてビアズリー芸術を展覧する「異端の奇才——ビアズリー展」が2025年2月15日(土)~5月11日(日)、東京都千代田区の『三菱一号館美術館』で開催される。TOP画像=オーブリー・ビアズリー《アーサー王は、唸る怪獣に出会う》1893年 『ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館』 Photo: Victoria and Albert Museum, London
英国の奇才、ビアズリーとは何者か? 約220点の作品で迫る
『ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)』との共同企画によりオーブリー・ビアズリーの歩みをたどる本展。1852年に「産業製品の博物館」として設立した『ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館』には、5000年にわたって人類が創造してきたあらゆる分野の作品280万点が所蔵されている。
ビアズリーの原画を擁する世界有数の国立コレクションで知られるこの博物館の全面協力を得て、ビアズリー作品150点が一挙来日、大回顧展が実現した。出世作のマロリー著『アーサー王の死』や日本でもよく知られるワイルド著『サロメ』、後期の傑作ゴーティエ著『モーパン嬢』をはじめ、約220点を通じてビアズリーの芸術を展覧する。
6章に分けてたどるビアズリーの波乱万丈の人生
本展では、彗星のごとく現れた時代の寵児・ビアズリーの生きざまと画業を全6章に分けて振り返る。
結核により25歳という若さで他界したものの1000 点以上もの作品を残したビアズリー。第1章では家庭を助けるため16歳から事務員として働くかたわら独自に絵画を学び、肺結核の進行と闘いながら、制作活動に没頭した彼の初期の傑作《「ジークフリート」第2幕》や諷刺画の小品を展示。彼が生涯参照したA.マンテーニャの版画や幼少期に愛好したK.グリーナウェイの絵本とともに紹介する。
第2章では『アーサー王の死』の挿絵一式を依頼された以降、自身の画風を開花させた初期のビアズリーに肉薄。第3章では、オスカー・ワイルドの英訳版『サロメ』の挿絵画家に抜擢されて一躍時の人となった全盛期の活躍を伝え、さらに第4章では彼の人生の転機となったワイルドの『サロメ』の多様な描かれ方に迫る。
彼は一時的な名声や取り巻きを失ってからも、新たな支援者や仲間を得て、起死回生をはかった。その試みは『髪盗み』や『ヴォルポーネ』などの洗練された装丁や挿絵、前衛的な文芸雑誌『サヴォイ』に発表された多彩な作品となって結実した。肺結核が悪化し、25歳と半年という若さで他界するまで時代を駆け抜けたビアズリー。そのドラマティックな生涯に改めて触れ、圧倒されそうだ。
開催概要
「異端の奇才——ビアズリー展」
開催期間:2025年2月15日(土)~5月11日(日)
開催時間:10:00~18:00(祝を除く金・会期最終週平日、第2水・4月5日(土)は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし2月24日・3月31日・4月28日・5月5日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
アクセス:JR東京駅から徒歩5分、地下鉄千代田線二重橋前〈丸の内〉駅から徒歩3分、JR・地下鉄有楽町駅から徒歩6分、地下鉄都営三田線日比谷駅から徒歩3分、地下鉄丸ノ内線東京駅から徒歩6分
入場料:一般2300円、大学生1300円、高校生1000円、小・中学生無料
※障害者手帳をお持ちの人は半額、その介護者1名は無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏ 050-5541-8600
公式HP https://mimt.jp/ex/beardsley/
取材・文=前田真紀 画像提供=三菱一号館美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。