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green bird(グリーンバード)福山 ~ ゴミ拾いは目的ではなくきっかけ!ボランティアから「できる」が広がる

備後とことこ

green bird(グリーンバード)福山 ~ ゴミ拾いは目的ではなくきっかけ!ボランティアから「できる」が広がる

“ゴミを拾うこと。街をきれいにすること。
それ自体が、私たちの目的ではありません。
大切なのは「ポイ捨てをしない」社会を生み出すことなのです。(green bird ホームページより)”

2002年に東京で産声をあげた特定非営利活動法人 green bird(グリーンバード)は、街のゴミ拾いをおこなう団体です。その特徴は、誰でも自由に気軽に参加できること。
2023-2024第21期活動報告書によると、現在国内に61チーム、海外に9チームがあり、3万人近くが活動に参加しています。

green bird 福山チーム(以下、「グリーンバード福山」と記載)が活動を始めたのは、2023年9月18日。以来、2024年11月までに27回の活動を重ねてきました。
グリーンバード福山は「ポイ捨てをしない」社会だけではなく、「できる」を広げることも目指しています。
活動のようすと、グリーンバード福山の皆さんの想いを紹介します。

集合は釣り人像前

福山駅前を中心に、月2回活動している グリーンバード福山。2024年10月26日の活動の集合場所は、福山駅南口の釣り人(五浦釣人:いづらちょうじん)像前でした。

グリーンバード福山のリーダー 藤井佳奈(ふじい かな)さんと、サブリーダーの越智早苗(おち さなえ)さん、サブリーダーの中土由美子(なかど ゆみこ)さんたちが、この日のコースを相談しています。

グリーンバード福山リーダー 藤井佳奈さん
グリーンバード福山サブリーダー 越智早苗さん(左)と中土由美子さん(右) この日はお休みだった小林千裕(こばやし ちひろ)さんを含め、3人でサブリーダーを務めている

「今日も天満屋から三角公園、宮通り、アイネスのコースにする?」
「駅裏のほうがゴミが多いかも」
「人数にもよるし、20人くらいなら駅裏コースにしようか」
状況によって、コースも変わるようです。

軍手やトング、ゴミ袋は用意されているので、参加者は手ぶらの参加でOKです。

グリーンバードオリジナルのおしゃれな軍手
ゴミ拾いが楽しくなりそうなカラフルなトング
このゴミ袋の素材は「ライスレジン」という、食用にも飼料用にもできない米からできたプラスチック

これらの道具やビブスは、パートナー企業の提供によりグリーンバードから送られています。
この日の参加者は、20人くらい。常連の人も、初めての人もいます。通りがかりに参加する人も歓迎です。

来た人から緑色のビブスをつけ、トングなどを持って活動に備えます。
みなさーん、用意はできましたか。

活動前の説明が始まりました。

ゴミ袋は3種類あります。グリーンバードのロゴがついたゴミ袋は燃えるゴミ用。白いお花の絵のゴミ袋は燃えないゴミ用です。それ以外の缶や瓶、燃えるのか燃えないかわからないゴミは透明のゴミ袋に入れてください。

一人が持つのは一つのゴミ袋です。たとえば、燃えるゴミの袋を持っている人が燃えないゴミを見つけたら、燃えないゴミの袋を持っている人いますかーと声をかけて、その人のところに持っていきます。
ゴミ拾いをしながら他の人とコミュニケーションを取ってもらうことも、グリーンバード福山の目的だからです。

今日は駅裏を回ってゴミ拾いをします。車や自転車も多いので、移動やゴミ拾いのときには周りに気をつけてください。車椅子ユーザーもいるので、皆さんの協力が欠かせないチームです。どうぞよろしくお願いします。
それでは、始めましょう!」

ゴミ拾い開始

スタートの合図とともに、始まる前から気になっていた、植え込みの中のゴミを取りに行った参加者さん。
「取れたー!スッキリした!」
と、うれしそうです。

駅裏に移動して、ゴミ拾いを始めます。

「やっと取れた」
「やったぁ!すごい!」

「燃えないゴミの袋を持っている人ー?」
「はーい!」

「燃えるゴミ、もらいます!」
「ありがとう」
あちこちで声を掛け合いながらのゴミ拾いです。

この日はゴミが少なかったようです。ふくやま美術館方向に移動しました。

石垣の隙間にゴミを発見。
「こういうところのゴミは、取りにくいんですよね」
と言いながら、器用にトングでゴミをつまみ出しました。

いろいろなゴミが見つかります。

側溝の中のゴミを取るのには、少し苦労します。

塀の隙間のゴミも取りにくそうですが、皆さん器用!

「ここにゴミがあるよ」
「これ?」
「うん」
見つける人と拾う人。できる人ができることをするようすに、グリーンバード福山らしさを感じました。

バス乗り場も回ります。

「最近どうしてる?」ゴミ拾いの合間に近況をたずねる

そろそろ終わりの時間です。再び釣り人像の前に集合しました。

「みなさん、お疲れさまでした!手を消毒してくださいね。カードに参加のスタンプを押しますので、初めての人はカードを受け取ってください。ボランティア証明書の必要な人はこちらで配ります」

スタンプ10個でバッジ、20個で今治タオルが配られる
学校や会社に提出する「ボランティア証明書」を受け取る人も
この日拾ったゴミ。この分だけ、駅前がきれいになった

最後に写真を撮りました。皆さん、いい笑顔です。

参加者やリーダーたちの想い

ゴミを拾いながら、参加者に話を聞いてみました。

・Aさん 今回初参加。会社の方針で地域の清掃ボランティアをすることになり、検索して見つけたグリーンバードに来た。やってみると清々しい気分。
・Bさん 高校3年生。初回以来、来られるときは参加。ゴミ拾いはカッコいいと思う。学校の友達も、ゴミ拾いに限らずボランティアをしている人が多い。いろいろな人とコミュニケーションを取れるのが楽しい。
・Cさん 知り合いがグリーンバードに参加しているのを見て声をかけて以来、活動日に仕事がなければ参加している。ゴミを拾うと気持ちが良い。
・Dさん グリーンバード岡山にも参加している。同じグリーンバードでも、リーダーの考えによって方針が違っていておもしろいと思う。

藤井佳奈さん(左)と藤井莉子さん(右)

そもそもなぜ、グリーンバード福山のリーダーである藤井佳奈さんは、このチームを立ち上げたのでしょうか。

グリーンバード初の『親子でリーダー』になるためです(笑)。
リーダーとしては娘の莉子(りこ)が先輩ですね。アメリカ留学中、莉子は地域の人たちと日本人留学生たちが仲良くなるために、ボランティア活動をしようと考えました。グリーンバード岡山チームの後藤寛人(ごとう ひろと)さんに相談して立ち上げたのがグリーンバードコスタメサチームです。2023年2月が第1回の活動日でした。

そのとき、福山にはまだチームがありませんでした。莉子や後藤さんの話を聞いてグリーンバードの想いに共感したので、『じゃあ、私が福山のリーダーになる!』。
誰かがやると言えばリーダーが決まっちゃう。親子でリーダーは初めてだから、手をあげたんです」(佳奈さん)

「私が手伝う間もなく、気がついたときにはグリーンバード福山が立ち上がっていました」
と莉子さんは笑います。仲の良い親子は、行動力と人を惹きつける力がよく似ています。

佳奈さんがやるならと、越智さんや中土さんら佳奈さんの友人がサブリーダーを引き受けました。
何かできたらいいな、という気持ちは多分みんなありましたが、きっかけがなかったんです。佳奈さんがきっかけとなって、佳奈さんの想いに乗っかりました」(越智さん、中土さん)

2023年9月。グリーンバード福山の初めての活動日には、60人もの人が参加しました。

車椅子ユーザーである私がゴミ拾いをできるのなら、周りの車椅子ユーザーも『自分も参加できるかな』と思えるんじゃないか、とも考えました。
2014年に交通事故に遭い、車椅子生活になってできなくなったことのひとつがゴミ拾いです。けれども、トングを持って仲間と一緒に街に出たら、ゴミ拾いができました。
車椅子ユーザーの人や他の障がいのある人も大勢参加してくれているのは、グリーンバード福山の特徴です」(佳奈さん)

グリーンバード福山 第1回福山駅前そうじのようす(画像提供:グリーンバード福山)

ゴミ拾いをきっかけに仲良くなった車椅子ユーザーの小学生の夢を実現するため、車いすダンスのワークショップを開催したり、手話ダンス甲子園に参加したりと、佳奈さんの活動範囲も広がっています。

ゴミ拾いは目的ではなくて、きっかけにすぎません。障がいのある人が外に出るきっかけだったり、コミュニケーションを取るためのきっかけだったり。
どこから来たの、今どういうことをしているの、といった話から何かが始まればいいなと思うんです。
できることを広げたい。最終的には、障がいのあるなしにかかわらず、何でも選択できる社会になればいいなと思っています」(佳奈さん)

ゴミ拾いから始まるコミュニケーション

緑色のビブスをつけてゴミ拾いをするグリーンバード福山の存在は、福山駅前の人々に認知されてきています。
缶や瓶のゴミはうちに置いてってくれたらいいよ、と言ってくれるお店の人や、きれいにしてくれてありがとうと声をかけてくれる街の人。地域とのコミュニケーションが広がってきました。
福山市の環境総務課や公園緑地課など、他団体とのコラボレーションも始まっています。

「ゴミ拾いをして福山の街がきれいになると、心もきれいになります。ポイ捨てはカッコ悪い、ゴミ拾いはカッコいい、というグリーンバードの理念が広がっていくといいですね」(佳奈さん)

もし時間があえば、手ぶらで気軽にゴミ拾いに参加してみてください。
ゴミ拾いをきっかけに、「できる」が広がるかもしれません。

取材協力・撮影・取材協力:香村みゆき

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