遅れてきた中日の新4番・福永裕基、悔し涙から10年後の飛躍へデータで見る強みと弱み
広角打法で急上昇のプロ2年目
2013年から昨年までの11年間でAクラス1度のみと長期低迷に陥っている中日。今季も5位に沈んでいるが、Aクラスまでそれほど差はなく、新戦力も徐々に台頭している。
福永裕基もその一人。天理高から専修大、日本新薬を経て、2022年ドラフトの支配下選手では最後となる7位指名を受け、26歳でプロ入りした右打ちの内野手だ。ルーキーイヤーの昨季は97試合に出場して打率.241の成績を残した。
2年目の今季はここまで打率.287とさらに上昇。最近は細川成也に代わって4番で起用されており、7月13日の阪神戦ではタイムリー2本を含む3安打2打点。翌14日には第2打席で阪神の先発・西勇輝に17球投げさせる粘りを見せ(結果は二ゴロ)、存在感を放った。
持ち味はコースに逆らわない広角打法。打球方向を3分割すると、レフト方向が41.7%、センターが33.9%、ライト方向が24.4%と打ち分けている。 さらにデータを深堀りすると、強みと弱みが見えてきた。今季の状況別成績は下の通りとなっている。
ファーストストライクは打率.393
まず、左腕に対しては打率.323と強いが、右腕に対しては.265にとどまっている。
また、0ストライクと1ストライクでは打率.372と高打率を残しているが、2ストライクでは逆に.209と別人のような成績だ。初球打率は.214だが、ファーストストライクの打率は.393のハイアベレージ。追い込まれる前に積極的に振っていることが好結果につながっている。
ただ、ストレートに対しては打率.322をマークしているのに対し、変化球に対しては.267どまり。そこで球種別の打率も調べてみた。
カーブやカットボール、チェンジアップなど緩い変化球や曲がりの小さい変化球には対応できているが、スライダーは打率.174と打てていない。さらにフォークも.200、ツーシームを含むシュートも.230と低打率だ。
このあたりの課題を克服しないと、相手投手はファーストストライクから変化球で攻めてくるだろう。克服するのは簡単ではないが、キャリアを積みながら改善を繰り返す以外にない。
岡本和真擁する智弁学園に敗れた夏から10年
天理高3年夏の2014年奈良大会では決勝に進みながら、現巨人の主砲・岡本和真を擁する智弁学園高に敗退。岡本が目の前で3ランを放った一方、自身は5打数無安打に終わり、甲子園には出場できなかった。
大学を経て日本新薬入社後もプロ入りを夢見ながら2020、21年と2年連続でドラフト指名漏れ。悔し涙を流したあの夏から10年が経ち、すでにプロで本塁打王3回のスラッガーとようやく同じ舞台に立った。
遠回りした分、1分1秒も無駄にしている暇はない。遅れてきた強打者は遅咲きの花を咲かせるか。本当の勝負はこれからだ。
※成績は7月15日終了時点
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記事:SPAIA編集部