【横浜市神奈川区】本覚寺ゆかりの寺 虚無僧行列を挙行 記念碑設置25周年で
かつて高島台にあった「虚無僧(こむそう)寺」西向寺を後世に伝える碑がある本覚寺で11月23日、「虚無僧追善供養尺八献奏大会」が開かれた。これに合わせて同日の朝、西向寺奉賛会による虚無僧姿での練り歩きも10年ぶりに周辺で行われ、尺八の音が地域に響き渡った。
西向寺は江戸時代初め1617(元和3)年、現在のJRや京急の線路がある付近の本覚寺南隣地に創建された。
虚無僧は禅宗の一派・普化宗(ふけしゅう)の修行僧。剃髪をしない半僧半俗の虚無僧は、江戸時代には、改易で行き場をなくした武士の行き着く姿でもあったと言われる。深編み笠を被り尺八を吹いて托鉢をする彼らによって、尺八の文化や技術が全国へ伝承されていった。
西向寺は1871(明治4)年に廃寺となったが、菩提寺であった本覚寺には住職の墓碑、文献など西向寺の存在を伝える文化財が残されている。
その歴史を伝えようと、尺八愛好家メンバーによる西向寺奉賛会(渡邊照洞代表)や全国組織の虚無僧研究会、本覚寺や縁寺の宗興寺=幸ケ谷=の協力により、2000年に「西向寺虚無僧之碑」が本覚寺境内に建立された。
以来、奉賛会では尺八文化を後世に伝えようと本覚寺で定期的に献奏会を行っているほか、5年に一度、虚無僧姿での練り歩きも実施している。5年前はコロナ禍で開催を見送ったため、今回は碑の建立から25周年を記念し、10年ぶりの実施となった。
尺八の音色、旧東海道に
当日、奉賛会の会員8人は朝8時半に本覚寺を出発。「調子」と呼ばれる尺八の曲などを奏でながら約1時間かけて旧東海道沿いを歩き、宗興寺を経由して地域を一周した。
沿道では珍しい光景に写真を撮る人や、合掌する人の姿も見られた。近隣に住む女性は「虚無僧といえば時代劇の悪者のイメージがありましたが、実際に見ると良いものですね」と話した。
練り歩きを終えて渡邊さんは「地域にこの音色を届けることが出来てよかった」と振り返った。