DOWAがアルムナイコミュニティ運用開始 現役社員のモチベ向上や組織文化の活性化にも期待
DOWAホールディングス(東京都千代田区)は9月29日、優秀な人材の拡充や、新たなビジネスの創出のため「アルムナイコミュニティ」の運用を開始した。
自社の文化や価値観を深く理解し、社外での新たな経験や知識を持つアルムナイが、現役社員と緩やかで継続的なつながりを築くためのコミュニティサイトとして機能させ、人的コミュニケーションの促進や採用力の強化につなげる。
まずは情報交換や協業を通じて緩やかにつながる
コミュニティでは、働き方改革や新たな人事制度など、アルムナイ在籍時からの変化を含め、自社の現状を伝えるトピックスを配信する。また、チャットルームなどを通じて現役社員との交流を促し、まずは業界動向についての情報交換やビジネスパートナーとしての協業など、多様で緩やかなつながりを広げる方針を示している。コミュニティ構築にはハッカズーク(東京都文京区)のアルムナイ専門サービスを活用した。
自社を理解し即戦力になり得るアルムナイは「代えがたい貴重な存在」
1884年創業の同社は、高い新卒定着率もあり「ある種閉鎖的な文化」だったと担当者は語る。2024年にキャリア採用を本格化したところ、採用人数は8倍に増加した。社内から好意的な反響があったこともあり「外部の知見を持つ人材との間で生まれるシナジーこそが、今後会社の成長に不可欠である」と認識。自社への理解が深く、即戦力となる人材を継続的に確保するための解決策として「アルムナイ採用」に着目した。
中期計画において同社は、2030年のありたい姿として「経済的価値と社会的価値との両立をはかり、成長し続ける人と組織をつくる」ことを掲げ、「勝ち抜ける人材層の拡充」「社内外に開かれた会社」「働きたいと思う組織づくり」という3つの方針を示している。今回の取り組みは、その実現に向けた採用力の強化や人的コミュニケーションの促進を進めるための施策としている。
アルムナイコミュニティの構築は、エンゲージメントを高める活動としての一面もある。同社はアルムナイについて「会社のよい点も課題も、そして外の世界の常識も知る、ほかに代えがたい貴重な存在」と言及。現役社員にとっても、アルムナイとの交流が視野を広げる機会になり、日々の業務へのモチベーション向上や組織文化の活性化につながるとしている。
若い世代ほど退職後も企業とつながりたい傾向が強い
退職後も企業とつながりを維持する人は多く、アルムナイ制度が戻りやすさを後押しする要因になっているという調査結果もある。ハッカズークの調査では、若い年代ほど退職者同士や企業とのつながりに対して肯定的で、過去に所属していた企業とつながりを持ちたいと考える人の割合は、20歳代では過半数に達する。
人材の流動化が加速する中、アルムナイ市場は急拡大している。SOMPOホールディングス(東京都新宿区)のように、ハッカズークのクラウド型SNSを活用してアルムナイのコミュニティを構築している企業が相次いでおり、同社は1月に経団連への加入を実現した。
発表の詳細はDOWAの公式リリースで確認できる。