厳島神社 15年ぶり神輿を修復 例大祭でお披露目
新町厳島神社(茅ヶ崎市新栄町2の10)の神輿がこのほど、15年ぶりとなる修復を終えた。4月18日には式典が開催され、関係者や地域住民にお披露目された。
同神社では1918年の作と伝わる神輿が長く使われてきたが、老朽化が進んだことから2010年に新たな神輿が作られた。同社の責任役員代表を務める和田高伸さんは「装飾の美しさから、浜降祭に出ると他の神社関係者から『夜道では厳島神社の神輿が一番目立つ』と言われるほど」と話す。
ただ15年が経過し、浜降祭で海水に浸かる金属部分にサビや傷みが目立つようになったことから「令和の大修復」を行うことが決まった。
神輿は昨年9月から、千葉県の工房で修復作業が進められ、4月18日に同神社へと戻った。
当日は記念式典が行われ、櫻井貴基宮司が祝詞を読み上げ、神社役員らが玉串を奉納した。
神輿は5月5日(月・祝)に行われる例大祭でお披露目される(宮立は午前9時、宮入は午後4時30分頃)予定で、和田さんは「無事に修復を終えられてほっとした。より美しく荘厳になった神輿を例大祭で見てほしい」と話した。
土士田さんが揮ごう
今回の修復に当たり、4カ所に設置した鳥居の装飾に、神社名を記した「額」が取り付けられた。揮ごうしたのは土士田スミ江さん(81)だ。
土士田さんは茅ヶ崎ショッピングセンター内の漬物・惣菜の店「土士田漬物店」のおかみとして、夫や子どもたちとともに1935年創業の老舗を長く支えてきた。
67年に結婚した後は、早朝から深夜まで働く日々が続き「趣味を楽しむ時間は全くなかった」という。
小学4年生から数年間習っていた書道を再開したのは、50歳を過ぎてから。戸上白逕さん(現・茅ヶ崎市書道協会会長)に師事し、市内外の作品展に出品してきた。
額の揮ごうは、そうした評判を聞いた神社関係者から依頼されたもの。約2週間、仕事を終えた後に練習を重ね、120枚以上を書き上げたなかから、納得のいく3枚を手渡した。
記念式典にも出席し、神輿に取り付けられた額を目にした土士田さんは「依頼を聞いた時は驚いたが『地元の人にこそ書いてほしい』と言われ、引き受けることを決めた。このような形で多くの人に作品を見てもらえることは本当にうれしい。商売も書道も長く続けてきたからこそ、こうした機会をいただけたと思う」と笑顔を見せた。