“君と過ごした夢のような1日” 韓国「セウォル号沈没事故」を題材に、2人の少女の恋模様を描く『君と私』特報映像
昨年12月に発表された「第45回青龍映画賞」で、最優秀脚本賞と新人監督賞の2部門を受賞した『君と私(英題:The Dream Songs)』が、11月14日(金)より、公開される。このたび、ティザーポスターと特報映像が解禁となった。
セウォル号沈没事故を題材に、2人の少女の恋模様を描く
本作は、2014年4月に韓国で発生したセウォル号沈没事故を題材に、済州島行きの修学旅行を明日に控えた2人の女子高生セミとハウンが過ごす、夢のような1日を描いた物語。韓国映画界で最高峰の名誉と伝統を誇る「青龍映画賞」では、最優秀作品賞の『ソウルの春』、アカデミー賞ノミネート作品『パストライブス/再会』など名だたる作品をおさえ、新人監督ながら最優秀脚本賞受賞という快挙を果たした。さらに、「第60回百想藝術大賞」では、女性の多様な人生と感情を描き出した秀作をテーマに、ファッションブランド「GUCCI」が選出する<GUCCI IMPACT AWARD>を受賞するなど高い評価を得ている。
監督・脚本を手掛けたのは、ドラマ『D.P.-脱走兵捜査官-』など、名バイプレーヤーとして多種多様な役柄で活躍する俳優チョ・ヒョンチョル。およそ7年にも及ぶ月日をかけて完成させた、長編監督デビュー作となる。チョ監督は本作の制作のきっかけを次のように語っている。「2016年に、個人的な出来事を経験する中で、『死を目前にしたある学生の物語』がふと頭に浮かび上がりました。当時はまだ、具体的な形もビジョンもありませんでしたが、『どうしても語らなければならない物語』として、自然と心の中に定着していきました。その後、何かに突き動かされるように脚本を磨き続け、撮影中も協議を重ねながら修正を加えていき、初期から変わらなかった部分もあれば、時間とともに構想が変化した部分もありました」その言葉からは、センシティブな題材を扱うことに対し、真摯に誠実に向き合う様子が窺える。
胸に想いを秘めるセミ役には、映画『スウィング・キッズ』や『サムジンカンパニー1995』での好演が光ったパク・ヘス、セミが想いを寄せるハウン役に、日本でも社会的ブームを巻き起こしたドラマ『イカゲーム』シーズン2 、映画『あしたの少女』で迫真の演技を見せたキム・シウン。チョ監督が絶大な信頼を寄せる若手実力派の2人が、10代の揺れ動く心情を、自然体な演技で見事に体現している。撮影には、これまでドキュメンタリーや広告映像、MVなどを中心に手がけ、長編映画ほぼ未経験の、新進気鋭の映像作家DQMを抜擢。音楽を、日本でも人気の高い4ピースバンドHYUKOH/ヒョゴのリーダー兼メインボーカルを務めるOHHYUK/オヒョクが手掛け、韓国カルチャーシーンを牽引するクリエイターが集結。
修学旅行を明日に控えた高校生のセミ(パク・ヘス)は、教室で不思議な夢を見た。不吉な胸騒ぎを覚えたセミは、足の骨折で入院中のハウン(キム・シウン)のもとへ向かう。長い間、心に秘めていた思いを、今日こそ伝えなければいけない気がしたからだ。しかし、どうしても一緒に修学旅行に行きたいセミと、どこか煮え切らない態度のハウンは、些細な口喧嘩をきっかけに、お互いの気持ちを伝えられないまま、すれ違っていってしまう——。
ティザーポスターは、淡い光に包まれながら、草むらに横たわる主人公・セミの横顔と、破れた靴下から覗くかかとをとらえたショット。特報映像では、同じくセミの横顔のカットから始まり、繊細な感情の揺らめきを予感させる、淡い質感の映像が続いていく。どちらも詩的な雰囲気を感じさせる印象的な仕上がりとなった。
<チョ・ヒョンチョル監督プロフィール>
韓国芸術総合学校映像院映画科在学中に発表した短編映画が、富川国際ファンタスティック映画祭、ソウル独立映画祭、ミジャンセン短編映画祭などに招待され注目を集める。その後は、俳優として、映画『コインロッカーの女』や『サムジンカンパニー1995』など個性溢れる演技力で存在感を高め、Netflixシリーズ『D.P.-脱走兵捜査官-』では“韓国のジョーカー、ホアキン・フェニックス”と呼ばれ話題に。同作にて、第58回百想芸術大賞テレビ部門助演男優賞、第20回ディレクターズ・カット・アワードで今年の新人俳優賞を受賞。そして今回、自ら脚本も手がけた初の長編監督作『君と私』が、国内外の映画祭に多数招かれ、高い評価を得ている。
<セウォル号沈没事故>
2014年4月16日、韓国・仁川港から済州島へ向かっていた大型旅客船セウォル号が沈没。当時セウォル号には、修学旅行中の生徒と引率の教員を含む計476人が乗船しており、299人が死亡、5人が行方不明となった海難事故。
『君と私』は11月14日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開