堀江家の「世代を結ぶおせち&ごちそう」【きょうの料理】
今年の「きょうの料理」年末年始特集は「堀江家の 世代を結ぶおせち&ごちそう」。故・堀江泰子さん、堀江ひろ子さん、ほりえさわこさんが3代にわたって料理研究家として活躍してきた堀江家のお正月には、家族や親せき、友人たちが大勢集まって、新しい年を祝います。
本記事では、堀江家の年末年始の恒例行事、餅つきやおせち作りの様子お届けします。
『きょうの料理』12月号より
一年の集大成!堀江家のおせち
泰子さんから、ひろ子さん、さわこさん、そして子どもたちへとつながる、おせちづくりのバトン。世代がかわっても、家族の絆は変わらず続いていきます。
堀江家のお正月は、家族総出の一大イベント。ひろ子さんの父がご健在だった2年前まではひっきりなしに来客があり、目が回るほどの忙しさでした。多いときには100人以上のお客さんが来たこともあるのだとか。おせちの仕込みは29日から、レシピを冷蔵庫にズラリと貼り出し、子どもたちも手伝いながら、大みそかに間に合わせます。人数が多いので、家では重箱に詰めず、1種類ずつ鉢盛りにするスタイルです。
そんなおせちづくりは、ひろ子さんにとっても、さわこさんにとっても、幼いころからの恒例行事。さわこさんの高校生時代には、親せきや友人たちもおせち修業に来ていたそうです。つくるものは基本的に毎年同じ、泰子さんの代から伝わる定番のおせち。2人とも、これまで何十回とつくっていても、毎年きちんとレシピを確認しながら、おせちづくりに臨むといいます。
「お正月だけのものだから、いつも大事に、丁寧につくりたいと思っています。レシピを見ない年はないですね」と、ひろ子さんが語れば、「年に一度、みんなが楽しみにしてくれているので、間違いなく変わらない味を用意していたいんです」と、さわこさん。そんな思いがあるからこそ、おせちを口にするお客さんの顔にも笑みがこぼれます。なかには、「堀江家のおせちを食べないと年が明けない!」という声も。
ようやくお客さんが帰ったら、家族で今年のおせちの感想を口々に言い合い、最後は「私たち天才じゃない?」と互いを称え合いながら、後片づけ。毎年繰り返される、忙しくも幸せな年始めです。
年末恒例! 堀江家の餅つき
毎年12月28日は「餅つきの日」。これはひろ子さんが幼いころから続いている堀江家の伝統行事だそう。ひろ子さんの父、正夫さんがご健在だった2年前までは、今では珍しくなったきねとうすで多い年には約40㎏もの餅をつき、160人以上が参加したこともあったといいます。つき手は当初はひろ子さんの父の勤め先の部下たちでしたが、ひろ子さんの夫の教え子の学生、さわこさんの友人たちなど、時代とともに変遷。一方、近年餅のかえし手を務めるのは、「趣味も特技も餅つき」というさわこさん。「毎年12月になると、早くお餅つきをしたくてソワソワ。なめらかに仕上げるには手水の加減が肝心。手水といってもけっこう熱い湯なので、いつも熱さに耐えつつやっています(笑)。でも、つきたてのお餅に勝るおいしさはありません!」。
ついたお餅は、まずお飾り用の鏡餅をつくり、続いてお雑煮用に白い丸餅に。これらの作業が終わると、集まった子どもたちも参加してよもぎを混ぜた草大福をつくり、みんなにふるまいます。残った端っこは柔らかくして納豆や大根おろしをからめてパクリ。やがて餅つきが一段落すると、忘年会が始まるのがいつものパターン。親せきもご近所さんも見知らぬ人も一緒に「おつかれさま〜」と乾杯。
こうしたにぎやかな餅つき時代を経て、今は家族だけでゆっくりと過ごしているそうです。
堀江ひろ子
料理研究家、栄養士。母の故・堀江泰子さん、娘のさわこさんと、母娘3代で料理研究家として活躍。「きょうの料理」では「強火で行こうぜ!」の講師としても不定期で出演中。
ほりえ・さわこ
料理研究家、栄養士。料理研究家の祖母、母から受け継いだ伝統的な味に新たなアイデアをとり入れ、時代に合わせてつくりやすく進化させた家庭料理を提案している。
■NHKテキスト『きょうの料理』2024年12月号より抜粋
■撮影・木村 拓(東京料理写真)/スタイリング・坂上嘉代