宮台真司に世間と選挙のことを聞いてみた「全部皆さん理解できたと思います」
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組、『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 10月25日の放送は、近田春夫氏がプロデュースした自伝『聖と俗 対話による宮台真司クロニクル』が発売中の社会学者、宮台真司氏が出演。金曜パートナーの壇蜜とともに今一番聞きたい世間のことを伺った。
大竹「ご本のことも伺いたいんですが、その前にちょっとだけ世間のことも伺ってよろしいでしょうか」
壇蜜「あさってのこともあるしね」
大竹「急に降って湧いたような2000万円のお話もありますし、この辺をどう考えたらいいのか伺いたいんですが」
宮台「政治の話をざっくりしましょう。保守という言葉には4つの意味があります。そのうち2つが今では重要です。それは経済保守と政治保守です。経済保守というのは国民を豊かにする。これは簡単に言うと結果勝負なので、マックス・ウェーバー(法学者・経済学者・社会学者)が言う結果倫理に従うんです。それに対して政治保守は、勇ましいことを言って国民をすっきりさせる。だから「気分すっきり火遊びバーン」となりやすいんです。自民党はもともと自由党が主流でした。吉田茂、白洲次郎図式と呼んでいますけど、90年代まではそうでしたね。ずっと傍流だったのが、岸派、福田派、清和会ですよね。こんなのもし主流だったら日本の戦後はなかったんですよ。ところが、世紀が変わると政治保守の「気分すっきり火遊びバーン」みたいなのが前面に出てくることになった。それは、国民が豊かになって、実際にはアメリカの半分以下の所得なんだけれど、例えば、道路・交通網、放送網、通信網が、田中角栄の時代にほぼ完全に整備されたんですよね。そうすると所得が低くても、昔のインド東南アジアみたいな貧乏な風景の中にいないでしょ」
壇蜜「便利ですよね」
宮台「そうです、困らないんですよ。どんなに孤独でもコンビニエンスストアとEコマースがあるからね。そうすると人々の不満は、貧乏のような分かりやすいものではなくて、うっ屈した、つまんない、むしゃくしゃする、むかつく、みたいなことになる」
壇蜜「精神的なもの」
宮台「そこで「気分すっきり火遊びバーン」、悪いのは中国だ、悪いのは黒人だ、みたいなことになる。日本だけではない。今世紀に入ると、正確に言うと95~6年ぐらいから、ほとんどの先進国ではこの動きが展開している。石破茂さんが総裁になったときにおもしろかったのは、僕は株と為替を見てたんです。そしたら株も上がった、為替も上がった。経済プレーヤーにとって政治保守、つまり「気分すっきり火遊びバーン」は困るんですよ。なぜかというと、投資を可能にするような予測可能性が失われるからだよね。逆に、経済保守は、結果に責任を持つということで、だから為替と株が上がったんですよね。ということで今、日本の政治の話をしたけど、アメリカの大統領選挙の話も含めて、もう全部皆さん理解できたと思います。要するように「気分すっきり火遊びバーン」に寄り添う、感情の政治を行う者たちの人気が出てくるので、それをポピュリズム政治と言ってるんですよね」
壇蜜「トランプさんなんて、その申し子みたいなもんですよね」
宮台「全くそうです。〇〇も〇〇も関係ない」
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