動きケア®による予防と改善! 新発想の身体部分分けと基本運動①眼【スポーツ障害予防の教科書】
身体の部分分けと基本運動① 眼
パフォーマンスに大きな影響を与える眼
眼についてですが、動きケア®では、まず動きに直接関係する筋に目を向けています。具体的には眼球を動かす「外眼筋」と遠近の調整などを行う「毛様体筋」などの「内眼筋」になります。外眼筋を使う基本運動は眼球を次の方向へ動かすものです。
①上
②下
③左
④右
⑤左斜め上から右斜め下(その逆)⑥右斜め上から左斜め下(その逆)
⑦右回し
⑧左回し
また、内眼筋を使う基本になる動きのひとつが「寄り目つくり」です。こうした眼の基本運動が十分にできないとパフォーマンスを思うように発揮できなかったり、スポーツ障害につながったりするので注意が必要です。
例えば跳び箱が跳べない子がいました。その子は身体を支える腕の筋力や脚を開く柔軟性も持っています。それでも跳び箱が跳べない原因は眼にありました。遠近を調整する眼の筋がうまく機能していなかったため、跳び箱にスムーズに手をつくことができなかったのです。また、眼の機能低下は姿勢や動きの偏りにも関係します。あるアスリートは眼球運動をチェックすると左側の方が視野が広く、右側の視野が狭いという結果でした。続けて頸部:右回旋・左回旋(首を左右にねじる運動)をチェックしてみると、眼球運動の偏りとは逆で、頸部は右回旋の方が可動域大きく、左回旋の方が可動域少ないという結果でした。つまり眼球運動の視野が狭い右側は頸部右回旋の可動域を大きくして視野を確保し、バランスをとっていることになります。頸部をねじる動きに偏りがみられれば、当然、胸郭部の回旋にも左右差があり、股関節の内旋・外旋も左右差があり…と他部位の動きのアンバランスや姿勢にも影響を及ぼします。
このように眼球運動の偏りは他部位の動きや姿勢の偏りに関係し、スポーツ障害につながっている場合があるのです。特に近年はスマホやゲームの影響もあってか視力1.0未満の小中高生の割合が年々増加しているというニュースも目にします。すでに、日本でも高いパフォーマンスのアスリートを育てるためには、眼の機能を高める「スポーツビジョントレーニング」が必須科目になっていると思いますが、まずはここに紹介した眼の基本運動からチェックしてみてください。
9つの眼の基本運動
CHECK ここが基準!
まずはこれらの基本運動を見てもらいましょう。明らかに可動域が少ないと感じる動きがあったり、左右で大きな違いがある場合は専門家に相談しましょう。
出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』