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「税金納める気を失う」、「若者流出が加速するのでは」 静岡市と市民に大きなズレ

Shizuoka

■静岡市の2025年度当初予算案 一般会計は過去最大の3885億円

静岡市は2025年度当初予算案を発表した。市は人口減少対策を最重要課題とし、未来に夢や希望が持てるまちづくりを掲げた。一般会計は過去最大を更新する予算案となったが、市民が望む税金の使い方との隔たりが浮き彫りとなった。

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静岡市が発表した2025年度当初予算案は、一般会計が過去最多の3885億円で前年度から9.9%増加した。市が最重要課題とするのは人口減少対策。昨年9月に公表した市独自の将来予測では、今のまま何も対策を講じなければ現在67万人の静岡市の人口は2050年に50万人を割り込む。

人口減少に歯止めをかけるため、市は「安心感がある温かいまち」と「未来に夢や希望が持てるまち」の実現を掲げている。子どもや若者が静岡市に住み続けたいと思うまちづくりに向けて予算案を組んだ。

例えば、「アリーナ整備・東静岡地区まちづくり推進」に11億3000万円、「駿府城跡天守台野外展示」に4億8000万円、「静岡駅北口地下広場大規模改修」に2億2000万円を計上している。

難波喬司市長は会見で「変革加速予算」と銘打ち、「まちづくりや企業誘致につながる事業を積極的に予算化した」と自信を見せた。東静岡駅北口に整備を計画しているアリーナについては「若者が魅力を感じるまちづくりを進める」と説明した。

静岡市は市議会2月定例会に予算案を提出する

■「市民の感覚とズレている」 静岡市と市民に大きな隔たり

だが、難波市長の熱量とは対照的に、今回の予算案に冷ややかな市民は多い。人口減少対策に有効な事業なのか、市民からは次のような疑問の声が上がる。

「いい加減にハコモノ予算から脱却してほしい。アリーナもローラーパークも費用に見合う効果があるとは思えない。維持費もかかる。次の世代に負担をかけるだけ」

「本気で若者の流出を食い止めたいなら、働きたいまちや子育てしたいまちに大きく舵を切るべき。過去最大規模の予算案と言っても、結局いつもと同じで市をどうしていきたいのか見えない」

「こんなに市民感覚とずれていると、市に税金を納める気を失う。自分自身もこのまま静岡市に住み続けたいと思えなくなるし、人口減少対策どころか若者の流出は加速するのではないか」

「アリーナといい、静岡駅北口地下広場大規模改修といい、一体誰のための事業なのか。アリーナの稼働日数は限られるし、建設費や維持費をかけるだけのにぎわいが生まれるとは考えられない。地下広場は店があるわけでもなく雨除けの通路でしかないのに、駿河竹千筋細工を連想するデザインにするなんて税金の無駄」

「今回の予算も清水区が置き去りにされている印象。人口減少が最も深刻なのは清水区なのに、何の対策も講じられていない」

市は2025年度の当初予算案を2月10日に開会する市議会2月定例会に提出する。予算案に盛り込んだ事業費の一部は、借金にあたる市債を新たに発行してまかなう。市の市債残高は前年度から29億円ふえて4536億円となり、市民1人当たり67万4000円を借金している形となる。

(SHIZUOKA Life編集部)

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