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湯(い)の花トンネル列車銃撃空襲 50人目の犠牲者判明 遺族が現場を慰霊

タウンニュース

現場となったトンネルを見つめる三津子さん

太平洋戦争末期に八王子市内で発生した「湯(い)の花トンネル列車銃撃空襲」(中央本線419列車空襲)で、50人目の新たな犠牲者が判明。2月19日、遺族の娘姉妹がはじめて現場を訪れ、慰霊の碑に手を合わせた。

「まさか今になってわかると思ってなかった。ここだったんだと実感する。もっと早くわかれば母を連れてきてあげたかった」と話すのは、姉の松本三津子さん(88)。父親・田村米藏さんが銃撃に倒れた現場を妹の井澗(いたに)裕子さん(81)と訪れた。

テレビ報道を見て「浅川近くのトンネル、銃撃、8月5日でピンときた」と三津子さん。事件は1945年8月5日、新宿から長野へ向けて走行中の列車が裏高尾町にある湯の花トンネル付近で発生。米軍戦闘機の銃撃を受け、乗客133人が負傷、52人が亡くなった。戦時下の情報統制で詳しい被害が公表されなかったこともあり、身元がわからないまま葬られた遺体も少なくなかった。

当時、米藏さんは鋳物工場の経営者で、軍需産業を担う1人だった。北区神谷町にあった工場が焼けてしまい、移転を検討するため山梨へ視察に行く途中だったと思われる。8歳だった三津子さんは祖母と高崎に疎開中だったため、家に帰ると白い骨壺が仏壇の前に置いてあり、父の死を悟ったという。「死亡確認などは会社の人がやってくれたらしい。母からは骨壺の中は石だったと聞いている。この線路の石だったのかな」と三津子さん。

毎年8月5日に現地で献花による慰霊を行ってきた「いのはなトンネル列車銃撃遭難者慰霊の会」の齊藤勉会長は「30数年新しい犠牲者はわからなかったので戦後80年が目途かと考えていたが、諦めてはいけないんだと感じた。訪れていただくのが供養だし、続けてきてよかった」と話した。

同会は2025年1月、30年ぶりに判明した犠牲者を含む4人の名前を新たに碑に刻んだ。今年8月に開催予定の慰霊の集いは42回目となる。

齊藤会長(左)から説明を受ける三津子さん(中央)と裕子さん

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