【注意喚起】ヤマダデンキから「報酬15万のPR依頼」がTikTokで送られてきたから広報に確認してみた結果
暇つぶしにTikTokで動画を配信している私(中澤)。バズる動画を作ろうという趣旨じゃなく「どこまでできるのかやってみよう」くらいの軽い気持ちなので3カ月くらい放置することもあるけど、2025年9月現在、4455人のフォロワーがいる。
そのDMは、突然送りつけられてくるゴシップ系動画のシェア、出会い系詐欺、スキマ時間で副業しよう的な文言でLINE誘導するものなど、基本スルーが大半の治外法権状態だ。でも、今回来たDMはそれらと少し様子が違った。ワンチャン、ガチか? 私がそう思ったメッセージは以下の内容であった。
・メッセージの内容
「ご多忙中、お時間を頂き誠に恐れ入ります。この度は貴重なお時間を頂き、心より感謝申し上げます。
株式会社ヤマダデンキの池田大(やまだでんき の いけだ だい)です。現在私たちはMomentum True Wireless 3 イヤホンのプロモーションを行っています。
拝見した貴殿のTikTok動画では、【独創的なアプローチと細やかな映像表現(他にはない動画スタイル)】に深く感銘を受け、ぜひコラボレーションの可能性を探りたいと考え、ご連絡差し上げました。
コラボレーション概要
タイプ:製品プロモーション
(Momentum True Wireless 3、ブラック、グラファイト、ホワイトの3色展開)
報酬:宣伝費100000~150000円 + 商品提供
期間:1ヶ月以内でのご対応。必要に応じて2ヶ月まで延長可能です。
ご興味をお持ち頂けましたら、詳細な契約条件をご案内致します。」
──株式会社ヤマダデンキて……。ヤマダデンキ自体がこんなことしてるわけがないだろ。池田大という名前も偽名臭い。
そもそも私のTikTokは弾いてみたか旅写真をまとめただけのものが大半だ。そんな独創性も影響力もない個人アカウントに宣伝費10万~15万は普通に考えたら高すぎる。これは99%詐欺……でも、1%詐欺とは言い切れなかった理由が以下だ。
・PR案件を解説する風の知らん人の動画
TikTokのおすすめをスワイプしていると、顔は見たことがないけど影響力はありそうな人がPR月何本で何百万儲けましたみたいな動画がたまに流れてくる。解説してる風で金の話ばかりなので広告の仕組みは分からないけど、いいねも何千もついてるし「そんなバブリーな世界もあるんだなあ」と思わされる。
そういう系の動画で一時期流れてきたのが、フォロワーが少なくても月何百万稼いでますみたいなパターンだ。おそらくTikTokコンサルとして企業と組むみたいな話だと思うんだけど(実際にそういう人に会ったことがあるため)、その動画も解説に見えて解説はしてないため詳細は分からず、とりあえずバブリーな世界なんだなあと思ったものだ。
しかしよく考えたら、私のアカウントのフォロワー数は今やその動画で言っていたフォロワー数の4倍以上いる。ひょっとしてバブリーなPR案件も来る頃合なのだろうか?
・1%は否定しきれない
TikTokって基本的には金を稼げるツールじゃないと思うだけに、その金稼ぎの方法の不明さが気になる。ひょっとしたら、一見怪しいPRメールでもガチのものが紛れていたりするのかもしれない。99%ないにしても、もしこれがガチだったとしたらライターとしては得難い経験値だよなあ……。
そう考えると、日本語が微妙に怪しいのも中国企業とかだったらありえるかもしれないように思えてきた。Momentumって聞いたことないし。なお、送られてきたアカウント名も「Momentum」でフォロワーは30人だった。
・ヤマダデンキに聞いてみた
迷惑メール評論家のGO羽鳥に確認してもらったところ、GO羽鳥も「このパターンは初めて見た」のだとか。「おそらく詐欺でしょ」とのことだったけど、なんか明確な決め手が欲しい。なにせ、こっちも99%詐欺だと思ってて1%を消したいだけなのである。そこでヤマダデンキに行って聞いてみることにした。
私「TikTokのDMにヤマダデンキからPR案件の依頼のメールが届いたんですが、これって本物ですか?」
店員さん「ヤマダデンキがそういうメールをTikTokに送ることはありません」
──念のため、ヤマダデンキの広報にも聞いてみたところ、以下の回答が得られた。
・そのようなメールを送っている事実はない
・似たような事例の報告がいくつかある
──はい、クロでした。ついでに、渋谷店のイヤホンコーナーで確認したところ、Momentumのワイヤレスイヤホンも取り扱ってないらしい。
また、この時知ったんだけど、Momentumのワイヤレスイヤホンって、かの『ゼンハイザー』から出てる代物みたいだ。音響機器の歴史的メーカーでスタジオとかプロフェッショナルの現場でも使われているゼンハイザーはさすがにこんなメール送らないだろう。
・「送る側が悪い」だけでは被害を受けることもある
そんなわけでPR案件という存在が浸透しすぎたゆえに登場した今回の詐欺メール。ちょっとフォロワーが増えてきたユーザーで、「PRは美味しい」としか思っていない場合、引っかかる人もいるかもしれない。
今のTikTokの土壌はそういう狩場になっているとも思うため注意が必要だ。便利な技術も楽しいシステムも結局使うのは人。迷惑メールに関しては悪いのは確実に送る側だけど、知識がないのに人生をハックしようという考えも利用される原因だ。実害をこうむることもあるので使う側も十分気をつけよう。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.