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上司とケンカで職を転々。仕事は好きなのに自分の居場所を見つけられない。コーチングとウェルビーイングを学んで、人事のトップに

新しい働き方メディア

仕事そのものは好きなのに、職場に馴染めない。上司と意見がぶつかり、転職を繰り返してしまう。特に女性の場合、結婚や出産といったライフイベントがキャリア選択に影響を与えることも少なくない。

岡真喜子さんもかつてはその一人だった。上司との衝突や職場文化への違和感、そして女性としてのライフプランとの葛藤に悩みながらも、コーチングとウェルビーイングを学び、現在はグローバルIT企業ザ・プラント株式会社の最高人事責任者(CHRO)を務めている。波乱のキャリアを経て、岡さんがどのように自分の居場所を見つけ、組織の中でリーダーシップを発揮するようになったのか。その軌跡をたどる。

上司とケンカ。職場を転々とした30代

岡真喜子さんのキャリアは、アメリカの大学からスタート。卒業後、マンハッタンのホテルに勤務し、接客やチームワークの重要性を学んだ。だが、帰国後に日本企業で働き始めると、上司や組織文化との衝突が続いた。

「仕事そのものは好きだったんです。でも、上司に納得できないことがあると議論せずにはいられない性格でした。『なんでそうなるんですか?』と問い詰めることも多かったです」と岡さんは語る。

「子どもはどうするの?」仕事と生き方に悩む

30代は職場を転々とした時期であり、岡さんにとって「迷走」の時期でもあった。派遣社員を含め6社を経験したが、日本企業の「年功序列」や「和を乱さない」文化になじめず、自己嫌悪に陥ることもあったという。「自分が悪いわけではないのに、なぜうまくいかないのかと悩みました」。

また、女性としてのライフイベントにも悩まされた。「30代の頃は周りから『子どもをどうするの?』『結婚しても仕事を続けるの?』といったことをよく聞かれました。それがプレッシャーでした」と振り返る。キャリアだけでなく、女性としての生き方にも迷いを感じる時期だったという。

軽い気持ちで1日1時間のお手伝い

岡さんがザ・プラントと出会ったのは2009年、共通の知人を介してのことである。CEOから「1日1時間のお手伝いをしてほしい」と誘われ、軽い気持ちで始めたのがきっかけだった。当時、岡さんはパートナーの転勤で東京に引っ越したばかり。職場環境を整える余裕もなく、「東京に慣れるため」という理由でスタートした。

その後、業務範囲が徐々に広がり、1カ月後には正社員となった。「最初は本当に『何でも屋』でした。プロジェクト管理、クライアント対応、経理、備品管理など、必要なことは全て引き受けました」と振り返る。

ザ・プラントでは、自分の能力を存分に活かせる環境があり、岡さんは仕事への意欲を取り戻していった。しかし、社員数が増える中で、経験だけでは乗り越えられない新たな壁に直面する。「ただ経験を頼りに指示を出すだけではダメなんだと気づきました」と語る。

コーチングとウェブビーイングとの出会い

女性リーダーとして、岡さんはチームの中で信頼を築く新しい方法は何かないかと常に模索していた。その中で出会ったのがコーチングとウェルビーイングである。

「コーチングを学び始めたのは、自分のマネジメントスタイルに限界を感じたからです。非暴力コミュニケーション(NVC)の考え方を取り入れたことで、感情的な衝突を避け、冷静に対話を進めるスキルを身につけました」と語る。

また、ウェルビーイングの概念を学んだことが、自身のキャリアだけでなく、プライベートのバランスを見直すきっかけにもなったという。「仕事だけでなく、自分自身の心の健康や幸福感を大切にする視点が得られました」と話す。

リスキリングが副業に

岡さんはコーチングを副業として実践することで、学びを深めた。最初はスクールの後輩たちを対象に個別セッションを行っていたが、口コミで評判が広がり、次第に企業研修や講師依頼へと発展した。「副業を通じて、全く異なる業界の人々と出会うことができました。本業では得られない視点や気づきを得られたのは本当に大きな収穫でした」と語る。

また、副業で得たスキルは本業にも還元された。「たとえば、傾聴のスキルを活かして、顧客が何を本当に求めているのかを掘り下げることができました。本質的な課題を引き出す力が身についたことで、より効果的な提案ができるようになりました」と語る。

女性リーダーが作る「居場所」

現在、岡さんは人事最高責任者として、従業員100名を支えている。その90%は外国人で、文化や価値観の違いがチームの中に存在している。「グローバルな環境では、『仲が良い』だけでなく、『一緒に達成する』という意識が重要です」と岡さんは強調する。

また、岡さん自身も「居場所」の重要性を痛感している。「かつては自分が職場に居場所を見つけられずに苦労しました。でも今では、私が他のメンバーにとって居心地の良い場所を作る役割を担っています」と語る。

「副業のコーチングでもよくお伝えしますが、女性だからこそ直面する壁はありますが、それを乗り越えるための方法はたくさんあります。『事務しかできない』ではなく、『事務ができる』と考えることが第一歩です」。

自分自身の居場所を作る試行錯誤を経て、岡さんがたどり着いた答えは、「自分を信じ、磨き続ける」ことだった。

取材・文/長谷川恵子

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