冬の生活習慣における「糖尿病」の“3つのNG行為”と予防策#医師解説
さまざまな合併症があるため、予防のためには日ごろの生活習慣の見直しが重要な「糖尿病」。リスクが高まる冬場の時期には、特に意識すべきことがあるのだそうです。今回は、糖尿病専門医の松本和隆先生に「糖尿病と、その合併症のリスクを高めてしまうNG行為と予防策」を教えていただきました。
教えてくれたのは……松本和隆(まつもとかずたか)先生
三重県生まれ。医療法人松徳会・松本クリニック院長。日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医。
2016年、三重県松阪市に医療法人松徳会松本クリニックを開院。地域では数少ない「糖尿病専門医」として毎日多くの患者の診療を行っている。著書出版、講演、テレビ出演など多数。
糖尿病の合併症リスクを高める「冬の生活習慣」3つのNG行為
前回の記事では、「糖尿病リスクを高めてしまう年末年始の過ごし方」や「感染症との関係」について伺いました。その他にも、冬の生活習慣が糖尿病へ与える影響があるのだと、松本先生は言います。予防のために注意したい「3つのNG行為」を教えていただきました。
NG1.水分が足りていない
松本先生:冬は、寒さから水分摂取量が必然的に減少しがちです。当院へ通院される患者さんでも、夏は熱中症予防から積極的に水分摂取を行うけれど、冬はほとんど水を飲まないと話される方もいらっしゃいます。
水分不足で脱水傾向となると、いわゆるドロドロの血液になり、血栓ができやすくなるため、脳梗塞など糖尿病の合併症のリスクを高める可能性があります。冬であっても、こまめな水分補給を心がけましょう。
NG2.乾燥している
松本先生:暖房器具の使用により、室内が乾燥しやすくなります。乾燥は喉の粘膜を弱め、風邪など感染症にかかりやすくするため、加湿器などを併用して適切な湿度を保つように心がけましょう。
NG3.生活習慣が乱れている
松本先生:その他のNG行為としては、暴飲暴食、過度な飲酒、喫煙、夜更かしなどが挙げられます。これらは血糖コントロールを乱すだけでなく、合併症のリスクを高めるため、控えるようにしましょう。
糖尿病予防のために「運動」「食生活」「睡眠」を見直そう
糖尿病リスクが高まる冬の期間に、生活習慣の面から予防していく場合、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。松本先生によると、主に「運動」「食生活」「睡眠」の3つのことを意識することが大切なのだそうです。
運動
松本先生:冬は寒さから外出が億劫になりがちですが、運動不足は血糖コントロールを悪化させる大きな要因となります。室内での軽い運動(ストレッチ、筋トレ、ヨガなど)や、天気の良い日中のウォーキングなど、できる範囲で体を動かすように心がけましょう。
私は患者さんに「テレビを観ながらでも良いので、リビングなどで踏み台昇降を毎日30分ずつ行う」ようにお勧めしています。こたつで長時間過ごすことは避け、意識的に活動する時間を設けましょう。
食生活
松本先生:年末年始は、食事の量や内容が偏りがちです。暴飲暴食は血糖値の急上昇を招くため、食事のバランスに注意が必要です。特に、年始のおせち料理には塩分が多い食品がたくさんあり、血圧の上昇が懸念されます。糖質が非常に多いお餅を必要以上に食べ過ぎることは、血糖コントロールを悪化させる原因となるため、できるだけ避けたほうがよいでしょう。
野菜や食物繊維を積極的に摂るように心がけることが理想的です。食物繊維には、血糖値の急上昇を抑える効果があります。また、アルコールの飲み過ぎにも注意が必要です。
睡眠
松本先生:睡眠不足は血糖コントロールにも悪影響を与えるため、十分な睡眠時間を確保し、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
糖尿病を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。自分や家族の未来の健康を守るためにも、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
shukana/webライター