多摩・武蔵野の“スリバチ”は「国分寺」「井の頭池」!
東京の多摩地域にお住まいの方、出身の方もそれ以外の方も大歓迎! 一緒に、一風変わった番組を楽しんでいただきたいという番組。
MCは土屋礼央さん(国分寺市出身)&林家つる子さん(八王子市の大学出身)。
今週も、NHK「ブラタモリ」の案内人を務めたこともある「多摩武蔵野スリバチ学会」会長の真貝康之さんをゲストに迎えて、“スリバチ”と呼ばれる地形に注目! 多摩武蔵野エリアの“スリバチ”「国分寺」「井の頭池」の土地の記憶に迫ります!
多摩・武蔵野の“スリバチ”は「国分寺」「井の頭池」!
“スリバチ”のフィールワーク、街歩きとは!?
土屋:今週もゲストのご紹介です、先週に引き続き「多摩武蔵野スリバチ学会」会長の真貝康之さんです!
真貝さん:よろしくお願いします!
土屋:先週は23区の“スリバチ”について聞くという、番組史上最も“多摩”というワードが少ない放送回でした。
つる子:(笑)。
土屋:そもそも“スリバチ”とは何か!? 復習として、つる子さんからお願いします。
つる子:“スリバチ”というのは、東京の凸凹の地形から名付けられました。そして、「スリバチ学会」は学術団体ではなく、皆さんが自由にまち歩きをして、凸凹の地形を味わい、楽しむ方たちの集まりです。真貝さんは多摩エリアのスリバチを楽しむ「多摩武蔵野スリバチ学会」の会長さんです。
土屋:先週の話で、“スリバチ”には1級、2級、3級とあって、二方向が坂で窪んでいると3級、三方向だと2級、四方向だと1級、と呼んでいる時もあったと。
真貝さん:今でも言ったりはしますね。
土屋:その分け方はわかりやすいよね。そして真貝さんはフィールドワークもやっていらっしゃっって。最近は夏が暑いですけど、参加者の方はどれくらいの方が多いんですか?
真貝さん:50代、60代の方が多いですね。
土屋:フィールドワークの1日の時間とか距離はどれくらいですか?
真貝さん:13、14キロを5、6時間かけていますね。有料の街歩き講座ですけど、3時間で6、7キロくらい。
土屋:フィールドワークがしやすい季節でいうと?
真貝さん:やっぱり秋から。秋、冬、春まで。夏はちょっとね。今年も暑かったですから。
土屋:有料の街歩き講座は、散歩気分で参加していいんですか?
真貝さん:散歩気分で十分ですよ。歩きやすい格好と靴でおいでいただいて。
つる子:気軽に。
土屋:真貝さんの話を横で聞いて?
真貝さん:そうですね。フィールドワークは歩き慣れた方や知り合いも多いので、解説はほとんどしません。先導しますので、みなさん勝手についてきてください、クルマ、自転車、歩行者に気を付けてついてきてください、と言う感じでやっていますね。
つる子:そうなんですね。
土屋:<ここに坂があるね! いいね!>みたいな?
真貝さん:それは参加者が、坂が好きな方もいらっしゃれば、暗渠が好きな人、マンホールが好きな人と色々といらっしゃるので、みなさん、勝手にそれぞれ楽しんでいますね。
土屋:鉄道好きの集まりと一緒でした(笑)。それぞれの好きな分野について語り合うという。
つる子:(笑)。
真貝さん:そうです。参加者もお互いに知り合いがいたりしますから。
つる子:初めての人でも・・・?
真貝さん:参加していただくと、すぐに馴染んで。
つる子:フィールドワークや街歩きに、これを持っているといいよというアイテムありますか?
真貝さん:私らがよく使うのが、スマホのアプリで“スーパー地形”・・・
土屋&つる子:“スーパー地形”!?
真貝さん:地形がわかるアプリで高低差がわかって。これは必須アイテムです。
なぜ、「多摩武蔵野スリバチ学会」なのか!?
土屋:真貝さんが会長を務める「多摩武蔵野スリバチ学会」ですが・・・「多摩」と「武蔵野」、これは分かれるものなんですか?
真貝さん:基本は多摩地域を歩いているわけなんですね。なんで武蔵野なのかと言われると、ちょっとつらいところがあるんですが(笑)。狭い意味で言うと「武蔵野市」だし、広い意味では「武蔵野台地」だし。さらに言うと、昔は「武蔵国」という、埼玉も入れば神奈川も入っちゃうという。
土屋:はいはい。
真貝さん:「多摩武蔵野スリバチ学会」を設立して今年10年になるんですね。「東京スリバチ学会」の皆川さんのフィールドワークに参加しているうちにやってみたいと思うようになって。私は育った多摩地域をやりたいな、と。皆川さんに名乗っていいというOKをもらって。
土屋&つる子:おお!
真貝さん:その時に「多摩スリバチ学会」にするか、「多摩武蔵野スリバチ学会」にするか悩んだんですね。私が生まれたのが世田谷だし、多摩地域に隣接している杉並・世田谷・練馬の街歩きをやるだろうと考えたんですね。
土屋:はいはい。
真貝さん:私は今の住まいが「中央線」沿線なんですね。西に行けば「立川」、東に行けば荻窪・中野。中学高校も井の頭沿線だったものですから、そっち方面も歩きに行くだろうなと思って。“同じ武蔵野台地だ!”ということで、それで「多摩武蔵野スリバチ学会」と名乗ろうと。
土屋:素晴らしい! こんなこと言える立場ではないですけど、認めましょう(笑)。
真貝さん:(笑)。
土屋:多摩のためには、武蔵野もチェックした方が良い場合もありますから!
多摩・武蔵野のおすすめ“スリバチ”①「国分寺」
土屋:ようやくお待たせしました! 多摩・武蔵野を含めたスリバチのおすすめ、行ってみたらいいよというスリバチを教えてもらえますか?
真貝さん:1番目は「国分寺」ですね!
土屋:お! 「国分寺」なんだ!? 「国分寺」は“スリバチ”なんですか?
真貝さん:有料講座で街歩きをやっているんですけど、そこで参加者の皆さんに配っている資料をお持ちしました。
土屋:ああ、「国分寺駅」の南口だ!
真貝さん:有料講座の街歩きは、ちゃんと説明します! 資料を配ってイヤホンマイクできちんと3時間解説して歩いています。
土屋:「国分寺駅」の南口の地図で高低差がありますけど、なぜここが“スリバチ”なのか、教えてもらえますか?
真貝さん:地図の真ん中あたりが「国分寺駅」ですね。ベージュ色になっている所が標高の高い所。グリーンが低い所と色が分かれています。
土屋:けっこう唐突に緑色だったりする。
つる子:そうですね!
真貝さん:この地図を見て、どう思われます?
つる子:いきなり緑色で高低差が激しいなって。
真貝さん:ベージュから色が変わるところ・・・これが「国分寺崖線」なんです。
土屋:これが有名なんですよね。西から東に直線になっていますね。
真貝さん:「国分寺駅」を下りて、すぐ崖になるんです。
土屋:急に高低差!
真貝さん:多摩地域は、東京都心のような谷と窪地が連続するところが少ないんですよ。どちらかというと平坦な所が多い中で、「国分寺」は崖が多いんですね。
土屋:今年、「国分寺崖線」を歩いたんですけど、一気に高低差があって。見事に違いますよね!
真貝さん:ちょうどこの辺は街歩きをやるところで。高低差が非常によくわかる所ですね。
つる子:はい。
真貝さん:この「国分寺崖線」が作られた要因は、「多摩川」なんですね。「多摩川」が扇状地を作る中で、流れの位置を変えていくわけですね。その中で段々と南の方に遷移していくんです。その過程で気候や土地のいろんな要因によって侵食していったんですね。“側方侵食”と言います。
土屋:この西から東のラインに、多摩川があったと捉えればいいんですね。「崖線」って聞くと、地震などで地割れしたのかなと思ったんですけど?
真貝さん:そうではないですね。「国分寺」から「小金井」にかけて、ずっと。
土屋:じゃあ、「国分寺」の近くが「国分寺崖線」ってことではないんですか?
真貝さん:「国分寺」の近くだけではなくて、「三鷹」とか世田谷の方とかにずっと続いているんですよ。
つる子:へえ。
真貝さん:「国分寺」がユニークなのは、「国分寺崖線」に入り込む谷がいくつかあるんです。
土屋:そうなんです、ただの直線じゃなくて・・・言い方は悪いですけど脱腸のような。
真貝さん:それが「国分寺崖線」では珍しい。あと、「深大寺」もそうなんですよ。「深大寺」も「国分寺崖線」に入り込んでいる谷の中に「深大寺」というお寺さんがあるんですよ。
土屋:そこに「多摩川」が流れ込んだからということですか?
真貝さん:おそらくそこに水が湧き出したから。「多摩川」の流れがありますから、その記憶というか。
土屋:なるほど。湧き出したのが、そのまま流れて「多摩川」に合流して・・・
土屋:基本、谷が出来るというのは水の流れがあってできていると思うんですよね。それが複雑に地形としてできているのが、「国分寺」界隈。
真貝さん:あと、「国分寺」は「国分寺崖線」の下に湧水=湧き水が湧き出してきれいですよね。
土屋:「国分寺崖線」などが横に逸れるなどの特徴などがあるから、「国分寺」は歩いていて楽しいと。
真貝さん:それと、「国分寺崖線」は、明治の終わりから昭和の初期にかけて別荘がいっぱい出来たんですよ。
土屋:別荘地だったんですか!?
真貝さん:「国分寺」から世田谷方面にかけて30くらいの別荘ができて。
土屋:なぜですか!?
真貝さん:それはやっぱり都心の空気が悪くなってきて、健康志向がでてきて。さらに鉄道=交通網が発達してきて「国分寺崖線」沿いに良い土地があって別荘が出来た。特に、崖線沿いの斜面に庭園を作ったり。
土屋:じゃあ、「国分寺駅」前にある「殿ヶ谷戸庭園」もそうですか? 駅前にひっそりとした庭園があって。
真貝さん:「殿ヶ谷戸庭園」は昔の別荘なんです。
土屋:確かに崖になっていますね。
真貝さん:下から水が湧いて池になっているという。あとは「日立中央研究所庭園」。
土屋:ああ、ありますね!
真貝さん:あそこも昔は別荘だったんですよ。
土屋:そうなんですね!
真貝さん:それを「日立」が買い取って研究所にしたんですね。
土屋:「日立中央研究所庭園」は中に入れないんでどういうところかわからないんですよ。
真貝さん:「日立中央研究所庭園」は、今は春と秋の11月に一般公開します。
つる子:そうなんですね!
土屋:「日立」の研究所があるから、「国分寺市」の税収も良いのかなと思ったら、話に聞いたら研究所だから「国分寺市」には一銭も落ちないって。
つる子:(笑)。
土屋:私、「国分寺の観光大使」なんですけど、今日は目から鱗です! 国分寺の交通網の良さばかりPRしてたけど。こういう所があって。
つる子:(笑)。
多摩・武蔵野のおすすめ“スリバチ”②「井の頭池」
土屋:多摩・武蔵野のスリバチ、まだまだあるみたいなんですけど、他におすすめは?
真貝さん:やっぱり、「井の頭池」ですね。
土屋:言われてみれば、「井の頭池」まで下っていきますね!
つる子:「鳥良」や「いせや」などの焼き鳥屋さんの間!
真貝さん:そう!
土屋:あ! 反対側も上って下っていきますよね! “2級スリバチ”ですね!
真貝さん:標高50メートルの所に、水が湧き出すポイントあるんですよね。それが「井の頭池」。あと、杉並に善福寺池、石神井公園の三宝寺池も標高50メートルラインで水が湧き出す所で池を作っていた。「井の頭池」の場合、それが「神田川」になって、江戸時代は神田上水として江戸の町に引っ張っていったと。
土屋:それでは足りなくなって、「玉川上水」が出来るようになったと。そういう目線で井の頭公園に行って無かったなー。女の子を口説くことに必死になってた(笑)。
つる子:(笑)。
真貝さん:「吉祥寺」の街のすぐ近くに大自然があって、素晴らしいですよね。
“スリバチ人生”は超楽しそう!
土屋:お時間ということで。真貝さんのお知らせはありますか?
真貝さん:不定期開催のフィールドワークはSNSはフェイスブックやインスタグラムをやっていますのでチェックしていただければ。あと、街歩きの有料講座は、まいまい東京、目黒学園カルチャースクール、朝日カルチャーセンター立川教室、ainiというプラットフォームでやっていますので、こちらもチェックしてもらえれば。
土屋:あとは、本も出ているんですよね?
真貝さん:昭文社さんから出した「多摩・武蔵野凸凹地図」「多摩・武蔵野スリバチの達人」、それと新刊が11月25日に実業之日本社さんから「多摩・武蔵野スリバチ散歩 地形の楽しみ方ガイド」が出ます。
土屋:真貝さんの人生、超楽しそうですね! いつも笑顔で!
つる子:(笑)。
真貝さん:健康で喋れるうちは、やっていきたいなと思っています!
(TBSラジオ『東京042~多摩もりあげ宣言~』より抜粋)