下寺尾官衙遺跡群 国史跡10周年で記念事業 同時指定2市の関係者も
茅ヶ崎市北西部と寒川町にまたがる遺跡で構成される「下寺尾官衙遺跡群」が国の史跡に指定されて10周年となるのに合わせ、記念事業が3月9日(日)、茅ヶ崎市役所分庁舎6階コミュニティホールで開催される。当日は、県内で同時に史跡指定をうけた川崎市、横須賀市の関係者も招かれ、専門家の講演や10年間の歩みと今後の保存・活用に関するパネルディスカッションが開催される。
下寺尾官衙遺跡群では、約1300年前の役所(官衙)の跡や寺院跡、船着き場、祭祀場が発見された。相模国・高座(たかくら)郡の中心だったとして、2015年3月10日に国指定史跡となった。
実はこの時「史跡橘樹官衙遺跡群」(川崎市)と、明治から昭和前期に当時の陸軍が首都・東京を防衛するために建設した砲台群で構成される「史跡東京湾要塞跡」(横須賀市)も同時に国史跡となった。
「偶然だが、県内で3カ所の史跡が同時に国史跡になることは滅多にない。史跡保護に関する10年の歩みとこれからについてともに考えたい」(茅ヶ崎市社会教育課)と事業が企画された。
専門家の講演など
記念事業「史跡のかこ・いま・これから―つながり・つなぎ・つたえる―」は3市教育委員会と神奈川県考古学会が主催。当日は3部構成で、第1部(午前10時から午後0時10分)では、文化庁の主任文化財調査官の近江俊秀さんが「史跡指定から10年を迎えて」、東京大学大学院准教授の松田陽さんが「史跡の活用」と題して、記念講演を行う。
第2部(午後1時から3時20分)では、各史跡の指定までの道のりや指定後の取り組みについて、それぞれの市から事例報告が行われる。
また第3部(午後3時30分から4時50分)では、松田さんをコーディネーターに、近江さんや報告者による史跡の保存と活用をテーマにしたパネルディスカッションが行われる。
茅ヶ崎市社会教育課では「文化財の価値を守り受け継ぐことを考える機会になれば」と話す。
入場は無料で別途資料代1000円(県考古学会員500円)。予約不要で、定員は当日先着200人。(問)同課【電話】0467・81・7226