ポン・ジュノ、『エイリアン』をミュージカル映画にしたい?
映画監督ポン・ジュノは、もしかすると自分が撮れるミュージカルの形を探しているのかもしれない。
最新作『ミッキー17』は、ポン・ジュノにとって『スノーピアサー』(2013)『Okja/オクジャ』(2017)にとって3度目のハリウッド映画だ。常に自らの作風を大切に映画を作っているだけあって、ハリウッドの人気フランチャイズに携わりたいという欲望はあまりないらしい。
もっとも、米では「フランチャイズ映画に魅力を感じてはいませんが、以前は『エイリアン』を撮りたいと思ったことがあります」と告白。少しだけ間を置いて、「ミュージカル版の『エイリアン』を」と付け加えた。
© 2024 20th Century Studios.
確かに『エイリアン』は、リドリー・スコットやジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン=ピエール・ジュネ、そして『エイリアン:ロムルス』(2024)のフェデ・アルバレスという高い作家性をそなえたフィルムメイカーが手がけてきたシリーズだ。SF映画にも積極的に取り組むポン・ジュノだから、『エイリアン』との親和性は高いかもしれない──のだが、問題は“ミュージカル”だ。
実はポン・ジュノ、これまでにもミュージカルが苦手であることを明かしてきた。2020年3月の時点で、「ミュージカル映画を作ってみたいです。登場人物が歌いはじめると、“くそっ、わざとらしい!”と思って歌うのをやめてしまう、というものを」と述べ、アンチ・ミュージカル的なミュージカルのアイデアをが、すべては「観ていて恥ずかしくなる」からだという。
その思いは現在も変わらないようで、米国のテレビ番組「」に登場したポン・ジュノは、「ミュージカルをやりたいと思いますか?」との質問に笑いながら肩をすくめた。「ミュージカルは大好きですよ。『ジーザス・クライスト・スーパースター』や『オール・ザット・ジャズ』が特に好きで──だけど、僕には作れない。人物が歌い出す瞬間に耐えられないから」。
スタジオの観客と司会者を大いに笑わせたが、映画への愛情深さで知られるポン・ジュノである、“ミュージカルが苦手である”ことと、“ミュージカルを撮ってみたい”ことはきっと両立するのだろう。あらかじめ強度の高いフィクションである『エイリアン』ならば、同じく虚構性の高いミュージカルにすることができるかも……そんなふうに一瞬でも思ったのだとしたら、映画ファンにとっては非常に夢のある話だ。
映画『ミッキー17』は2025年3月28日、日本公開。
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