負けっぱなし怪人がヒーローをぶっ潰す! 『戦隊大失格』ザ・ショーが開幕、ゲネプロ&囲み取材レポート
『戦隊大失格』ザ・ショーが2024年9月11日(水)、東京ドームシティ シアターG ロッソにて開幕した。原作・春場ねぎによる異色のヒーローバトル漫画を舞台化。ヒーローショーの聖地で繰り広げられる大迫力ショーのゲネプロ公演、直前に行われた囲み取材の模様をお届けする。
地上を守るヒーロー“竜神戦隊ドラゴンキーパー”に戦いを挑む怪人たちが、毎週末に侵攻を試みては毎度敗れ去る展開は、じつはヒーロー側と結んだ秘密の協定によるものだった——そんな茶番劇に嫌気がさした怪人の下っ端戦闘員が、ヒーロー像とはかけ離れた大戦隊をぶっ潰すために立ち向かっていくストーリー。脚本は『宇宙戦隊キュウレンジャー』など数多くの代表作をもつ毛利亘宏、演出は『仮面ライダー鎧武』などの特撮出演経験がある久保田悠来が務める。
悪役である怪人視点から描かれる本作。本拠地である巨大浮遊城はすでに陥落しており幹部も全滅、残った下っ端たちが目玉となる怪人を毎回必死に考案している……ヒーローを引き立たせるために必ず負けることを強いられている怪人たちの実情はなかなか切ない。そんな現状を変えるべく立ち上がったのは、怪人・戦闘員D(富永勇也)。戦闘員F(エル・デスペラード)との対話シーンは繊細に。荒々しい大立ち回りを目の当たりにした後だからこそ、こみ上げるものがあった。
戦闘員Dは、謎めいた戦隊員・桜間日々輝(菊池修司)や錫切夢子(まるぴ)と出会い、戦隊本部へ潜入していくが……。戦闘狂であるレッド部隊・朱鷲田隼(関 隼汰)や浮遊城を任されたブルー部隊の碧流亜乱(宮脇 優)との対峙も見逃せない。竜神戦隊ドラゴンキーパーのリーダーかつレッド部隊を率いるレッドキーパー/赤刎創星(武子直輝)の絶対的ヒーロー感も圧巻だ。
やがて、戦闘員Dと桜間はとある目的のために行動を共にしていく。底抜けの明るさとストレートさがまぶしい富永と、柔和ながらもミステリアスさを儚く醸し出す菊池。W主演を務める2人の絶妙なバランス感覚が光っていた。
上演されるシアターGロッソは、50年以上にもわたって数々のヒーローショーが繰り広げられてきた“聖地”。三階相当の高さまである空間を生かした立体構造ステージ、巨大スクリーンを使った映像演出は冒頭からフルスロットルで活用される。ハイテンションの戦闘BGM、アクロバットを駆使したアクションも加わったヒーロー対怪人のバトルはパワー全開。該当のシーンでは来場者特典の応援ハリセンや声援でぜひヒーローたちにエールを送ろう。
ゲネプロ公演前には囲み取材が行われた。W主演を務める富永勇也と菊池修司のほか、武子直輝、まるぴ、関 隼汰、宮脇 優、エル・デスペラードが登壇。開幕に向けた意気込みなどを語った。
ーー初めて脚本を読まれたときに感じたことは?
富永:純粋に面白いなと思いました。掛け合いや伏線となるセリフが秀逸だと感じました。原作でいうと1、2巻を中心としたエピソード。僕らなりにどういうふうな見せ方をしたら良いかを考えてやってきました。
菊池:脚本を読んで「この表現を舞台でどうやるのだろう?」と思っていたところが、公演名にもある“ザ・ショー”にふさわしい舞台ならではの表現方法になった。すごく見応えのある作品になっていると思います。
ーーシアターGロッソに立った感想をお願いします。
武子:僕自身も初めてこの劇場に立たせていただくのですが、高低差がすごい。3階まであるということで、大きなアクションがシアターGロッソならではの醍醐味。『戦隊大失格』ならではの素晴らしいアクションを生かせる場所なので、ダイナミックな表現をお届けできたら。
ーー本作の見どころをお願いします。
まるぴ:全員が主人公になるような壮大なストーリーが魅力。個人的には、メインの夢子以外にもいろんな役を演じさせていただきますのでギャップが見えるはず。夢子もまるぴ自身も大好きになってもらえるよう大切に演じたいです。初舞台ということで緊張しかないのかなと思っていましたが、この座組で初日を迎えられることが幸せです。
関:やはり、この顔ですかね(笑)。なかなかこういったメイクをすることがないので光栄。自分もレッド部隊ということで、神具を使ったのシーンが見どころ。どういった見せ方になっているのか、楽しみにしていただきたい。
宮脇:見どころがたくさんあり絞るのが難しいのですが、一点挙げるならヒーローショー。戦隊とダスターズとの戦いが1階から3階まで使った迫力のあるステージになっています。
エル・デスペラード:昨日の場当たりでは、アンサンブルの井本(涼太)くんと菊池さんとまるぴさんのシーンを客席で見学して、菊池さん(の色気)について変な盛り上がり方をしていました(笑)。初めての舞台出演。今まで稽古場でたくさんの人に教えてもらったり引っ張っていただいたりしたことを全力で出し切りたい。
ーー最後に、初日への意気込みをお願いします。
菊池:舞台としての最初の『戦隊大失格』を見せられる機会。桜間と戦闘員Dの二人でW主演として、その責任をもって今後も作品が愛されるよう頑張っていきます。最後まで応援よろしくお願いします。
富永:稽古が終わった後もみんなで残って、ずっとこの作品を良くするために奔走していた座組。自慢のカンパニーであり、その一員でいられることを光栄に思っています。熱量が皆さんに届くような作品になっているはずですのでご期待ください。
(C)春場ねぎ・講談社/『戦隊大失格』ザ・ショー製作委員会
取材・文・撮影=潮田茗