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<高校サッカー>東海大翔洋にかつて日本中を沸かせた元日本代表MFの長男が2人も!全国高校サッカー選手権出場で“父超え”なるか

アットエス


高校サッカーのU-18静岡県Aリーグで首位を快走する東海大翔洋に、かつて日本中を沸かせた元日本代表の父を持つ選手が2人いる。

ワールドカップに2度出場した三都主アレサンドロさんの長男アラン(3年)と、現在もアスルクラロ沼津でプレーする現役最年長Jリーガー伊東輝悦選手の長男昊輝(こうき、2年)。

両選手とも今は途中出場の試合が多く、もうすぐ開幕する全国高校選手権県大会に向けて定位置奪取に燃えている。第2シードの東海大翔洋は10月12日の1次トーナメント3回戦から登場する。

>>>集大成の時を迎えた東海大翔洋の太田恒治監督と長男・走の“父子鷹”

MF三都主アラン(3年)

「バモス!、バモス!」

東海大翔洋の試合を観戦しているとスタッフからもピッチの選手たちからも、こんなポルトガル語が盛んに飛ぶ。日本語に訳すと「いくぞ、やろうよ」。

ベンチから飛び出して、ピッチに向かってひときわ大きな声を上げているのが、三都主アレサンドロさん(以下アレックスさん)の長男アランだ。仲間を鼓舞しようとブラジルにいた頃と同じように「バモス」を使っていたら、いつの間にかチームのみんなが口にするようになったという。

「本当にこのチームが大好きで、とにかく試合に出ている選手たちにパワーを与えたいんです」。ムードメーカーや元気印といった言葉がぴたりと当てはまるキャラクターだ。

ピッチに投入された時の役割はサイドアタッカー。父のアレックスさんは左利きの名手で知られたが、アランは「両利き(笑)」。父親譲りの精度の高いクロスと、迫力あるドリブルを武器にする。

アランは父が浦和レッズでプレーしていた2005年に生まれ、次の移籍先となった名古屋グランパスの下部組織でサッカーを始めた。父の移籍に合わせて栃木SC、FC岐阜のアカデミーを渡り歩き、小学3年生の時に家族でブラジルに渡った。

父アレックスさん(右)との思い出を語るアラン


サッカー大国で小中学時代を過ごしたアランに転機が訪れたのは、ちょうどブラジルの中学を卒業して母の実家がある静岡に遊びに来ていた2022年1月。古川陽介らを擁する静岡学園が全国高校サッカー選手権で躍動するシーンがテレビで流れていた。

心のざわつきが止まらなくなった。「自分も選手権に出たい。お父さんと同じように日本の高校でチャレンジしてみたい」。心配する母親を必死に説得した。

「決まっていたブラジルの高校をキャンセルして、そのまま自分だけ日本に残ったんです。『よくそんなことができたな』と今も自分で思います(笑)」。静岡県内のあちこちの強豪校の練習に参加させてもらい、最終的に東海大翔洋の寮に飛び込んだ。

今は両親や妹、弟たちに会えるのは静岡に帰省してくる年末だけ。ブラジルでサッカースクールを経営する父には電話などでアドバイスをもらっているという。

「昔はサッカーのことになると本当に厳しくて、いろいろ言われて嫌いでした。『またかよ』って(笑)。でも今は、その大切さを感じています。クロスやコーナーのアドバイスをしてくれます」

中盤両サイドはチーム内競争が激しく、定位置確保に苦戦している状況だが、「翔洋を選んで本当に良かったなって思っています。後悔は一切ないです」と笑う。

「みんなサッカーに懸けていて、熱いんです。だから自分も、選手権まで誰にも負けないぐらい強くなりたい。この最高のチームで、全力で優勝を取りにいきます」。地球の裏側で祈ってくれている家族に、吉報を届けるつもりだ。

MF伊東昊輝(2年)

「笑い方と走り方は『似ているね』とよく言われます(笑)」。ニヤリとした時の表情は、50歳になっても現役を続ける最年長Jリーガーの父親とそっくりだ。

誕生日も8月31日で父と同じ。「プレーについては『似てる』と言われたことはあまり…」と首をかしげるが、2列目からの飛び出しや走力を持ち味にするプレースタイルは、1996年のアトランタ五輪で「マイアミの奇跡」を起こした頃の父と重なる。

父のポジションは中盤だが、昊輝は左サイドバック。ビルドアップに加わった後、周囲と絡みながらトップスピードで前線まで駆け上がっていく。「自分には走ることしかないですから」。苦しい顔を見せず、愚直に上下動を繰り返すレフティーだ。

幼い頃は父の移籍に合わせて、AC長野パルセイロやブラウブリッツ秋田、清水エスパルスのスクールなどで技術を磨いた。小学5〜6年は静岡市のヴィヴァーチェFC、中学時代は清水エスパルスジュニアユースでプレーし、東海大翔洋高へ。

「(父は)自分が小学生の頃までは、試合を見に来てくれていたけど、中学時代はコロナ禍で見に来られず、たぶん高校に入ってからは一度も見にきたことがないのでは(笑)。でも家では一緒に海外サッカーを見て、いろいろ喋ってます」。

選手権予選に向けて意気込む伊東昊輝(左)と、清水エスパルス時代の父輝悦


まだ伸びしろ十分の2年生。新人戦の後にAチームに昇格し、自分の居場所を確保しようと必死にアピールを続けている。

「ベンチを含めて、チームの雰囲気はめちゃくちゃいい。今は誰が出場してもいいプレーができているので、自分たちがやるべきことをしっかりやれば、上までいけるかなと思います」。

偉大な父が一度も立てなかった全国選手権のピッチ。今、決して遠くはないところにいる。

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