「買取大吉バレーボールネーションズリーグ2024 福岡大会」開催記念!! 大山加奈×迫田さおり SPICE特別対談<第1回 女子バレーの魅力とは>
バレーボールの国際大会、ネーションズリーグで熱戦が展開されている。世界各地で行われる中、その熱い戦いが日本にもやってくる。場所は、福岡・北九州。一足先に男子が6月4日に開幕し、女子は11日からスタートする。女子は日本代表にとって、実質残り4枚しか残されていないパリ五輪への切符を獲得するための最後の戦い。それぞれの誇りと意地がぶつかる激戦となるのは間違いない。そんな女子バレーの魅力を日本代表として活躍した大山加奈と迫田さおりに語ってもらった。
――女子バレーのおもしろさはどういうところでしょうか。
迫田さおり(以下、迫田)「ラリーが続くのは一つの魅力ですね。女子はスパイクのボールが速いんですが、男子と違って目で追えるスピードなんですよ。なので、バレーを見慣れていない人でも楽しめます。見やすいし、面白いし、ハラハラもするし、ということはよく言われます!」
大山加奈(以下、大山)「中高生や一般でバレーをやっている男子の選手が、女子の代表選手を参考にするということを聞きます。男子の代表戦だと、選手の体格やスピードが違うけど、女子選手だと取り入れやすい、参考にしやすいということも聞きますね」
――ご自身がプレーしているときは、バレーボールのどこに楽しさを感じていましたか?
迫田「私はレシーブが苦手だったので、綺麗に上げられなくても、2本目を触る人がつないでくれて、助け合いで1点をみんなで取るのが楽しかったです。助けてもらったから、次は私が助けたいな、と思っていました。1点をどうやったら取れるかをみんなで考えながらやっていくのが好きでした。それが生きているという感覚につながって、すごく楽しかったです」
大山「できなかったことができるようになった時に1番喜びを感じましたね。ストレートのスパイクが苦手で、でも自主練を重ねに重ねて…。それが試合でできた瞬間はやっぱりすごくうれしかった記憶があります」
――現役時代で思い出に残っている試合はありますか?
大山「アテネ五輪の世界最終予選です。最初は先発じゃなくて、私だけ出場機会をなかなか与えられなくて…。やっと出場したときの、あの歓声は忘れられないです。みんなが待っていてくれたんだ、と思いました。名前を呼ばれた瞬間のあの歓声を思い出すと、今でも泣きそうになります。あれにどれだけ励まされたことか。本当に勇気づけられましたね。歓声が上から降ってくるんですよ。会場が割れんばかりの歓声っていうのは、こういうことなんだと思いました」
迫田「リオデジャネイロ五輪の世界最終予選兼アジア予選のタイ戦、あれはやばかったです」
――負けたら五輪に出られない試合で、フルセットにもつれ、最終セットもリードされた試合ですね!
迫田「そうです!もう無理だと思いましたよね?みんなも無理だと思っていたんじゃないかな。あれは本当によく勝てたなと思います。あんな心臓に悪い試合は一生のうちであれだけだと思います(笑)」
――日本で行われるバレーの国際大会も減少し、今回は貴重な機会となります。テレビや配信の画面で見るのと、生で実際に見るのは違いがあると思いますよね。
迫田「プレーもそうですが、身長の高さは実際に生で見るとびっくりすると思います。目の錯覚?こんなに大きいの?と思う選手もいれば、こんなに小さくて海外の選手と戦っているの?と思う選手もいます。実際に見て感じることは会場じゃないとできません。身長だけでなく、ジャンプの高さ、一瞬の判断もその空間にいるからわかることがあります」
――大きい選手だけでなく、そこまで背が高くない選手も日本代表として戦っていますね。
大山「石川真佑選手は174センチでそんなに高いわけではありません。相手の海外の選手たちと比べて見てもらいたいです。テレビではなかなかその比較ができませんからね」
迫田「思っている以上に海外の選手は大きいですからね!」
大山「普通に生活していて190センチ以上の女性に出会うことってなかなかないですよね」
迫田「本当にびっくりすると思います。『え?こんなに大きいの?』と驚きます。本当に背が高いですから」
大山「ネットを挟んで試合すると、めちゃくちゃ感じますよ。(エカテリーナ・)ガモワ(元ロシア代表、身長202センチ)を見たときは衝撃でした。こんな選手が前にいたら、もうスパイクは打てないよ、と思いました」
迫田「ブロックの時は、それで手を上げられるわけですからね。『はははー』と笑ってしまうほど大きかったのを覚えています。隣を歩いていて『どうやってこの人と戦えばいいんだろう』と思いました(笑)」
――会場で観戦するのは、そういった選手たちのすごさを身近に感じられるのも魅力ですね!国際大会への出場経験は豊富ですが、観戦した経験はありますか?
大山「よく行っていました。シドニーの五輪の世界最終予選を観客として見に行っていたんですよ。高校生だったんですが、会場でお会いした役員の人に『次はお前だぞ』って言われて『何を言っているんだろう』と思っていたんですけど、その翌年に代表に選ばれたんです。まさか自分が次の五輪の予選を戦うなんて思っていなかったですね」
――観客として見に行ったのはどんな経験でしたか?
大山「会場に入った瞬間のワクワク感は、自分が経験したことのない雰囲気でした。いろんな大会に出場していましたし、テレビでもずっと見ていましたが、お客さんのワクワクする感じと緊張感が張り詰めている空気って何とも言えないですよね。肌で感じるのは全然違うなと思いました」
迫田「私はないんです。鹿児島育ちだったので、なかなかそういった環境がなくて…。バレーはテレビで見るもの、と思っていました。引退後に見に行く機会がありましたが、学生の時に会場で見たら人生変わるんじゃないかと思うぐらい違うと思います。本当に全然違いますから」
――会場に行くと打球音もダイレクトに聞こえるので、迫力がありますよね。
大山「自分自身もよく言われました。『スパイク打つとこんなにすごい音がするんだ』と言ってもらったことがあります。先ほど、迫田さんが言っていたジャンプの高さもテレビで見るのとは全然違うと感じると思います」
迫田「見に来た人に『跳んでるね』と言ってもらったことが私もありますね」
――アップからダウンまで全部見ることができるのもいいですよね。
大山「代表選手がどんな動きをしているか、どんなアップをしているか、じっくり見てほしいです。一つ一つの練習を120%の集中力で、自分と向き合いながらやっているのを感じてほしいです。ペッパー(対人パス)は、子供もやるし、代表の選手もやる練習です。バレーをしているならみんながやる練習なんですが、トップの選手がどれだけ高い意識を持ってやっているかも見てほしいですね」
――トップ選手を見ることで上達につながることも多いですよね。
大山「ボールの見方や目線の使い方が全然違うんです。それを変えるだけでプレーが変わることもあるので、目の使い方を見てほしいですね」
――テレビではなかなか映らないベンチの選手がアップゾーンで何をしているかも見ることができます。プレーしている人たちには役立つことが多そうですね。
迫田「私が代表の時は、コートの外にいる方が多かったんです。いつ呼ばれるか分からないし、でも入るときはチームの流れを変えないといけないという役割でした。どうやったら自分の最高のパフォーマンスができるかを考えて、アップゾーンでジャンプをしたりしていました。コートの中はテレビでも見られると思いますが、サブのメンバーが試合中にどういう動きをしているのか、どういう声かけをしているのか、タイム中にどういう動きをしているのかっていうのは、学生の方にも役立つことだと思います。それも会場にいるからこそ見ることができると思います」
――迫田さんはベンチにいるときにどんなことをしていましたか?
迫田「ずっと立っているだけだと動きにくくなるので、ゴムチューブを使って体を動かしたり、タイムアウト明けに腹筋したり、アップゾーンでできることを工夫していました。最近だと井上愛里沙選手が縄跳びしたりしていますよね。それぞれの選手が自分のやり方を持っているので、いろんな選手のやり方を見て、自分に合うものを探してほしいです。日本選手だけでなく、海外の選手のものも見ることができますからね」
写真・文:Masaki