横須賀市予算案 災害対策などに重点配分 一般会計1795億円 過去最大
横須賀市は12日、2025年度の当初予算案を発表した。一般会計は前年度比6・3%増の約1795億9千万円で、横須賀芸術劇場を建設した1993年度を上回り、32年ぶりに過去最大を更新した。昨年元日に発生した能登半島地震を念頭に防災備蓄基地や物資配送拠点の整備など防災対策を拡充。児童手当の拡充や保育士の処遇改善など、教育や保育の充実や経済的負担の軽減にも重点的に充当した。
歳入では全体の3分の1を以上を占める市税が前年度比約26億円(4・3%)増の約623億4200万円で過去最大。個人市民税は約22億円(10・2%)増で、定額減税が減少した影響(約15億円)や賃上げによる所得増(約7億円)が影響したほか、固定資産税は建て替えや設備投資により約6億円(2・3%)増となる見通し。ふるさと納税は返礼品の充実が奏功し、約10億円の寄付額を見込む。
市債は前年度比約37億円(29・7%)増の約160億円。災害時に備えた市役所本庁舎の発電機整備(約16億円)、市内防災行政無線を3カ年で整備する更新事業(約13億円)、横須賀芸術劇場の天井改修(約11億円)に充てる。
貯金にあたる財政調整基金は前年度比2億円増の57億円を取り崩す。25年度末残高は約90億円を確保する見込み。
歳出では、人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費が約953億円を突破。歳出に占める比率は53・1%で前年度比1・2%減となったものの、額面では約918億円だった前年度を上回り、過去最大となった。社会保障関連に充てる扶助費が増加の一途を辿っているのが要因で、約469億円に達した。
能登半島地震を踏まえた防災対策の拡充では約41億円を重点配分。防災備蓄基地=関連記事=や物資配送拠点の整備、三浦半島4市1町の広域防災の調査検討などを盛り込んだ。投資的経費では(仮称)南こども園の整備(約7億円)や三笠公園のリニューアル(約3億円)などを計上した。
25年度当初予算案は17年に初当選した上地克明市長が横須賀再興に向け取り組んだ2期8年の集大成と位置づける。同日の定例会見では「8年の総括、総仕上げとするべく、この予算を編成した」と説明した。
一方、2月1日現在の人口は36万9459人で52年ぶりに37万人を割り込んだ。自然減を中心に人口減少に歯止めがかからず、上地市長は「大変ショックだ。さまざまな施策を展開しているが、地政学的な要因もある」と心境を述べた。
長坂に防災備蓄基地
横須賀市は大規模災害発生時に備え、避難所に支援物資を搬送する防災備蓄基地=写真=を長坂のごみ処理施設「エコミル」の敷地内に整備する。2025年度当初予算案に関連費用として約3億1400万円を計上した。
延べ床面積約1290平方メートルの平屋建てで、水や毛布、携帯トイレなどを一元管理し、迅速な搬送を図る。25年度中に着工し、26年度の運用開始を予定している。