【高校野球静岡市内大会決勝】静岡高が東海大翔洋高に雪辱V 竹下の3ランで打撃戦制す
第21回静岡市高等学校野球大会(通称・市内大会)は11月4日、決勝と3位決定戦を西ケ谷球場で行った。決勝は静岡が、今秋の県大会4強の東海大翔洋との打撃戦を9−6で制して頂点に立ち、3位決定戦は静岡商が4−2で静岡市立に競り勝った。昨年までは静岡市の主催大会だったが、今年から各出場チームが運営費を負担して大会を継続することになり、18校17チームが参加した。
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決勝
静岡 004 203 000 9
東海大翔洋 203 010 000 6
(静)磯部、鈴木颯、吉田―石垣
(東)小松原、渡辺、坂本、谷口―川島
決勝は今秋の県予選上位校決定戦と同じ顔合わせ。上位校決定戦では静岡が翔洋に0−1で敗れて上位校になれなかったため、県大会の組み合わせに恵まれず、初戦で難敵・常葉大菊川にいきなり当たる巡り合わせとなった。後に県優勝、東海準優勝で来春の選抜出場をほぼ手中にした常葉大菊川に県大会初戦で0−8、8回コールド負け。それ以来、静岡は「落ち込んでいる暇はない」(石橋咲人主将)と打力強化に取り組んできた。
この日の翔洋の先発は県予選上位校決定戦と同じエース左腕、小松原健志。「前回は三塁すら踏ませてもらえなかったので、(選手は)気持ちが入っていたと思う」と静岡の池田新之介監督は言う。7番中堅で出場した竹下健太は「先発が小松原君と知って意識した。対策というより、初球からどんどん振っていこうと」。その言葉通り、2点を追う三回、先頭の竹下は初球を強振し右翼線への二塁打で反撃の口火を切った。鈴木幸祐の四球、石橋の死球で1死満塁とし、和田元基の2点適時二塁打で同点、続く名取凜人の左前打で勝ち越した。
両軍合わせて19安打。互いに取られては取り返す乱打戦となったが6−6で迎えた六回、石垣大輝、唐国晃輔の連打で1死一、三塁と広げた好機に、竹下が最初のストライクをとらえて右翼越えの3ランを放ち、一気にリードを広げた。
高校通算4本目。浜松高台中時代は全国大会にも出場し、新チーム発足当初は主軸を担っていた竹下。池田監督は「力のある子。ただ実戦で力を出せていなかった」と試合ごとに打順を入れ替えて、浮上のきっかけをうかがってきたという。竹下は「長打力を求められ、自分も(長打力を)生かしたいと思ったけれど、まだ技術が足りないと感じている。安定感がなく、信頼されていないので、ここから力を付けてチームに頼られる存在になりたい」と話す。
県大会初戦では常葉大菊川の左腕・大村昂輝から1点も奪えなかった。主将の石橋は「(大村に対し)合わせにいって振れなかった。とにかく初球からフルスイングすることを心がけて練習してきた」という。打撃練習の時間を増やし、例年は冬に行うロングティーを秋から取り入れるなど、強く振る、スイング軌道を正すといった意識付けに取り組んできた。池田監督は「けが人が戻ってくれば外野手争いは熾烈になる。出場するためには攻撃力だよと明確に示している」と、競争を促す。
県予選で敗れた相手に雪辱し、「シーズン中に(翔洋に)やり返せたことは自分たちにとって大きい」と石橋。2年生には残り1回しかない甲子園出場のチャンス。「課題は明確。意識を高く持って夏につなげていく」
(編集局ニュースセンター・結城啓子)