「ため息はハラスメント」の「分断」にのらず、新しい対処法で!
6月1日(土)13時からの生放送『井上貴博 土曜日の「あ」』。「あのことニュース」では、コラムニストの犬山紙子さんが「ため息ハラスメント」についてお話ししました!
ニュース記事のキャッチーな見出しに「?」
犬山:今日のキーワードは、「ため息ハラスメント」。ハラスメントについて。先日、ニュース記事を見ていたら、「ため息はハラスメント」って書いてあったんですね。
井上:そうねえ。
犬山:でね、「フキハラ」って言葉は、もう結構前から出てたのかしら、「不機嫌になることがハラスメントになる」と。確かに、上司にあたる方とかがもう本当に不機嫌丸出しでいて、こっちも話しかけづらいしとか、何か聞こうものであれば「それぐらい自分で調べろ!」みたいな感じの、”不機嫌オーラ”を出すっていうのは、確かにそれは、ハラスメントっていうか、嫌。
井上:嫌だと思うなぁ・・・、私は苦手だなぁ。
犬山:私も苦手です。やっぱりそこは自分で、もう大人ですし、自分の機嫌はちょっとどうにか自分でね、対処して欲しいんですけど。「ため息はハラスメント」ってなった時に、何かそのタイトルだけを見ると、「え?!」って、ちょっともう・・・
井上:全てが全てかっていう話。
犬山:そうなんですよ。でも、確かにその不機嫌をずっとやってきた文脈の中で、「ハァァ~」って言われると、「あぁ、嫌だ」とは、なるじゃないですか。
井上:私、結構苦手です。アナウンサー研修とかでも「あ え い う え お あ お」とか言ってる中で、「ハアァ~」って言われると、「あ、ごめんなさい!ど、どこだろう?!」って、ドキっ!としちやう。私は結構苦手ですね。
犬山:私もそれは嫌です。だって、「ハアァ~」ってするんだったら、優しく注意すればいいじゃないですか。
井上:あの、言っていただきたですね。
犬山:「ここがこうした方がいいですよ」って。それを「ハアア~」って言われると分からないし。これは家庭内でもあるかもしれないですけどね(笑)
井上:そうそう、人間は結構ありますよ、仕事以外でも。
犬山:察して欲しいから、「ハァァ~」で何となくこうやっちゃうみたいな、ね。そうなんだけど、例えば自分が仕事にすごい熱中してる時に、「うわあ!データ全部消えた!」ってなった時に、「ハァァ~・・・」とかもあるわけじゃないすか、ため息って。
井上:今の「ハァァ」は、かわいい「ハァァ」だね(笑)
犬山:そうなんですよ。「これはじゃあ、ハラスメントになるの?」って一瞬思っちゃうじゃないですか。「ため息はハラスメント」って言われると。
井上:この見出しの立て方だと、ということですね。
犬山:はい。やっぱり、ハラスメントって、相手が「嫌だな」って感じたことがハラスメントになっていくという「文脈」があって。実際そのハラスメントに本当に苦しんでる方たちもたくさんいて。で、今やっとそれが可視化されてきて、「これはセクハラだから、本当にしんどいことなんだよ」とかあるじゃないですか。この中で、こういう、メディアがキャッチーな感じで「ため息はハラスメントだよ」とか、「この臭いはハラスメントだよ」とかっうてやっちゃうと、「分断」を招くような気がするんですよ。
井上:ちょっとメディアが面白がって「こういうのはありますよ」って出しちゃうと、本当に苦しんでる方が、声を上げ辛くなるというか。
本当は、「分断」ではなく「手を繋ぐ」べきところ
犬山:辛くなるし、「え?これもハラスメントなの?!」って怖くなる人は怖くなるじゃないですか。そこは、分断ではなくて、本当は「手を繋ぐべきところ」じゃないですか。でも、実際「ため息はハラスメント」っていう記事を見ちゃうと、「えー?!」とか「分かる!」とか、いろんな反応が絶対出てくるし、言ったらネットの中で炎上まではいかないとしても、すごい議論の場になると。で、私もこうやって取り上げるということで、ビュー数が稼げるわけじゃないですか。
井上:これ、難しいもんで、キャッチーな見出しになることでクリック数が増えて、やっぱみんなが見るっていう。これがねえ、悪循環になるんですよ。
犬山:ハラスメントって結構大事なやつで、それやって欲しくないなってすごい思うんですよ。
井上:なるほどねえ。だってもう今、「ハラスメントハラスメント」、「ハラハラ」みたいなのも出てくるわけじゃないですか。「ハラスメントって主張することが、ハラスメントになる」みたいな。もう「どっち?!」っていう。でもそれは、本当にハラスメントで苦しんでる方を救えてるのかっていうと、面白おかしくやることで、そこからこぼれ落ちてしまう方がいるっていう。
犬山:まさにそうだと思うんですよ。私達も、どっちも経験する立場じゃないですか。もう年齢的に自分がハラスメントしちゃう年齢でもあるし、まだでも、受けることもあるじゃないですか。本当に難しい立場なんですよね、ここ。
井上:しかも「ため息」で言うと、ため息ってリフレッシュする・リラックスするために、人間の生理現象として大切だ。やるべきだっていうこともあるわけじゃないすか。私、もう1つ苦手なのが、あの「貧乏ゆすり」とかも苦手なんですよ。人の貧乏ゆすりを見てしまって、なんかちょっと「ああ・・・」って焦ってしまうとか。でもあれも、足の血流を良くするっていうことで言えば、あれは別に生理現象として全然問題ないっていう。
犬山:そうなんですよ。だからやっぱり、これもね、例えば「貧乏ゆすりもハラスメント!」って書いてしまうと、それをやってる人の文脈がやっぱりそこでバツっと切れてしまって、「この事柄は、もうハラスメントですよ」って、反抗したみたいになっちゃうじゃないですか。それが、本当は話をすればお互い分かり合えるはずの人たちを、「いや、そんなん言われたら困るよ派閥」と、「いやいや困ってるんです派閥」にガッと深い溝ができてしまうから、ちょっとこう、面白がってこういうのを書くのをやめて欲しいっていう、はい、そんなことを。
犬山紙子編集長の見出しは?!
井上:どういう人が、どういう文脈でため息をしてるかってことによって変わってくるってことは、例えば、じゃあ犬山神子編集長だったら、このネット記事の見出しはどう立てるんですか?
犬山:でもね、これビュー数を稼がなきゃいけないんで(笑)
井上:あれ(笑)
犬山:ビュー数稼がないといけないんですけれども、でも、やっぱり人を傷つけてまで稼ぎたくないっていうのがあるので、だから、「ため息もハラスメントになるケースがある」、そういう書き方じゃないですかね。
井上:「か?」とかで濁すんじゃなくて。
犬山:そうそう、「ケースもある」。ビュー数もらえなさそう、稼げなさそうですけど(笑)イノさんでも、ため息つきそうになったら何します?
井上:私ね、でも、人のため息が苦手だから、極力もう「(ため息を)つかない体」になってます、多分。本当にそれが嫌で。
犬山:おお!深呼吸とかもね?
井上:深呼吸でしょ、だから深呼吸を代わりにしなさいって言われますね。
犬山:はい、だからね、私たちも「分断」に乗っからずに、「新しい対処法」でやっていきたいなあ、なんてことを今回、思いました!