阪神・前川右京がオープン戦三冠王!歴代の強打者に重なる打撃開眼への道程
オープン戦打率5割、3本塁打、6打点
阪神・前川右京が絶好調だ。7日のDeNAとのオープン戦に3番レフトで先発出場し、開幕投手に決まっているDeNAの左腕・東克樹から3号2ランを放つなど2安打。まだオープン戦4試合とはいえ、16打数8安打の打率.500、3本塁打、6打点で三冠王となっている。
智弁学園高から2021年ドラフト4位で入団して4年目の21歳。2023年に33試合に出場すると、昨季は116試合と出場機会を大きく増やし、プロ初本塁打を含む4本塁打、42打点、打率.269をマークした。
そして今年。期待されてきたホープがいよいよ本格化の兆しを見せている。大山悠輔、佐藤輝明、森下翔太に続く若手スラッガーがスタメンに定着すれば超強力打線となるだろう。
左投手を苦にせず広角に打ち分ける器用さ
通算37本塁打をマークした高校時代は長距離砲として注目されたが、176センチとそれほど大きくない体や、左打者にとっては逆風となる浜風が強い甲子園をホームとすることもあり、プロではバランスの取れた中距離打者として育ちつつある。
昨年のデータを振り返ると対左投手が打率.271、対右投手は打率.268と左投手も苦にしない。2023年の最多勝左腕・東克樹の逃げていく変化球をうまくミートしてライトスタンドに運んだのがそれを証明している。
しかも引っ張り一辺倒ではない。昨季の打球方向を3分割すると、引っ張りが42.5%、センター返しが26.5%、逆方向が30.9%と打ち分けている。パワーに頼らず、コースに逆らわない技術を持つからこその三冠王と言えるだろう。
一発だけでなく打率も残せるという意味では、近藤健介(ソフトバンク)のようなタイプに育つ可能性もある。
青木宣親、浅村栄斗、大山悠輔らもオープン戦で首位打者に
少し気が早いが、開幕を待てない虎党のためにオープン戦の歴代首位打者の成績を調べてみた。2006年以降のオープン戦首位打者のシーズン成績は以下の通りとなっている。
見ての通り、意外なほど強打者が名を連ねている。2006年は中島裕之(西武)と二岡智宏(巨人)の2人が打率.390でオープン戦首位打者に輝き、シーズンでも中島は初の打率3割、二岡も.289、25本塁打、79打点の好成績を残した。
2007年の青木宣親(ヤクルト)はオープン戦打率.451で首位打者に輝くと、シーズンも打率.346で首位打者。2008年は稲葉篤紀(日本ハム)、2009年は栗山巧(西武)、2011年は浅村栄斗(西武)、2012年は松山竜平(広島)、2015年は秋山翔吾(西武)、2016年は鈴木大地(ロッテ)と各チームの主軸が揃っている。
そして、2020年には大山悠輔(阪神)がオープン戦打率.378をマークし、シーズンでも打率.288、28本塁打と大きく飛躍した。2021年のオープン戦打率4割だった島内宏明(楽天)は、シーズン96打点で打点王のタイトルを獲得している。
そう、オープン戦首位打者のタイトルは決してフロックではない。シーズンの活躍に直結すると言っても過言ではないのだ。
藤川球児監督も絶賛する前川右京の成長ぶり。もしかしたら、我々は新たなスター誕生への過程を見ているのかもしれない。
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記事:SPAIA編集部